アメリカ同時多発テロから20年経った。あの日3時間の時差のあるロスアンゼルスでは、テレビはテロ行為の討論番組に切り替え放送した。「アメリカが侵略したことへの仕返しだ。過去の対外政策を見返すべきだ」という意見が大半だったと、当時朝日新聞ろロス支局長だった伊藤千尋氏は回想する。伊藤氏はアメリカの理性を見たと述べている。
その二日後アメリカは愛国心で一色にブッシュが変えた。アメリカは報復のみを選択した。
三日後、戦争する権限を大統領に一任する法律が通った。ブッシュは世界を、テロの側に立つか我々の場側に立つかの二つに分けた。日本はテロ特措法を通し、後方支援という形で恫喝するアメリカの側に下った。
アメリカは報復の論理をアフガニスタンとイラクにぶつけた。特にイラクについては、大量破壊兵器の存在を根拠にしたが、ブッシュは国連の制止を振り切って武力制圧した。
後日判明した実行犯19名中15名が、サウジアラビア人であったが何故か、アフガニスタンとイランに攻め入った。アルカイダが実行した確たる証拠もその後出てはいなあいし、サウジアラビア出身のオサマビン・ラディン命によることも確たる証拠は示されていない。
アフガニスタンでは武力でタリバンを追いやり政権を樹立はしたが、政情が安定したわけでもない。イラクではフセインを殺害したが、アメリカが軍隊を投入すればするほど、内乱や宗派対立が激しくなり、憎悪のカオスとなる。その後今日に至る、シリア内戦の元凶にもなっている。
20年経ちアメリカはイラクに続いてアフガニスタンを撤退した。20年間で膨大な戦力と220兆円の資金を投じたが、金のないタリバンはたった半年で首都カブールを落した。
6900人の兵士が戦死し、同時多発テロの死亡者数の倍を超えた。イラクとアフガニスタン国民の死者はこの10倍になる。アメリカ国民はベトナム戦争でも味わった、厭戦気分の中にある。何度味わえば済むのだろう。
この20年でアメリカは経済的には中国に猛追され、国内では格差社会がより一層進行する。そこで懲りないアメリカはより一層軍事力で中ロを圧倒するべく、宇宙へサイバー攻撃へと拡大する。
アメリカが去ったアフガニスタンは、経済は悪化しているが治安はずっと改善された。人権にかかわることや政治体制や産業について、不満はあっても彼らの治める国をどれほど外から注文付けられるかわからないが、少なくとも押し付けることはできないことを知らされた20年である。
9.11の時、なぜアメリカは攻撃されるのかを考えることこそが、いま求められているといえる。
9.11にしろ、真珠湾攻撃にせよ、アメリカの為政者たちは、巧みに国民の愛国心を煽って戦争へと突き進みましたが、実情は国益のためというよりも、ごく一部の強欲な人々の利権のためでしょう。特に軍需産業を潤すためでしょう。アメリカの善良なる市民は(「気のいい庶民」という言葉の方が合いそうです。)、好き好んで戦争はしたく無いでしょう。増して、戦争には行きたく無いでしょう。アメリカ人もイラク人も、アメリカの強欲なごく一部の人々によって殺されたといえるでしょう。