石油の高騰を受けて、世界的にバイオ燃料を世界各国が開発し始た。良く知られているのは、ブッシュが進めた、アメリカのコーン(トウモロコシ)から採るバイオエネルギー政策です。ブッシュは、海外の石油依存からの脱却として、この転換に多大の補助金をつぎ込みました。同じようなことが、ブラジルのサトウキビでも行われこの2国が世界最大のバイオ燃料国家となりました。人様に食わせるものを、車に食わせる問題をこのブログで何度も指摘た経緯もある。
ところ昨年辺りから、石油価格も安定するようになり、アメリカがすっかり生産を落としてしまいました。2000年には僅か2万ガロンだったのが、2008年には700万ガロンまで延びました。ところが昨年(2009年)は、300~350万ガロンと半減してしまった。最大の顧客であるEUが国内産業保護のために関税価格を上げたのである。もともと割高なバイオ燃料は、国内的にも18%も下落した、石油燃料に太刀打ちできなかった。
更に、かんな屑やのこ屑によるバイオ燃料生産に5億ドルも補助金を出した結果、製紙会社の採算が悪化し雇用問題や製紙の生産に影響が出て社会問題化し、どうやらこのほう行き詰るようである。セルロースからのバイオ燃料生産は最も奨励されるはずであったが、政策がちぐはぐ であった。更に、ブラジルもサトウキビの不作と糖度の低下で、バイオ生産効率が落ちたことで一気に生産量が落ちた。
カナダでは、バイオ燃料の生産工程に係わる問題が指摘されている。生産物がエコであっても、生産過程は効率の悪い作業となっているというのである。環境問題の解決にはならないと結論されているようである。
価格の高騰を見込んだり、石油依存の国家体質の危うさの解決のために、本来人に与えられるべきであるものを燃料にしてしまうのは、考え方そのものに問題がある。燃料や食料に対する基本姿勢が、最も問われなければならないのである。今回のバイオ燃料生産の低下の問題を教訓にするべきである。