そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ハマスと山上達也のあってはならない蛮行がなければ弱者の声は届かないのか

2023-11-14 | 石破茂
昨年7月統一教会に家庭を破壊された山上達也は、その広告塔として闊歩する安倍晋三を殺害した。山上達也の殺害行為は許されないものであるが、彼の狙いは思った以上の効果を日本社会にもたらされた。
国内のごく一部の人達は、岸信介から連綿と続く勝共連合の思想は、東側社会主義諸国が崩壊してもなお続けられてきた。この暗部を山上は、恐らくは彼の思った以上の効果をもたらした。
やっと動き出した報道は、統一教会と自民党の関係を具に流し始めた。ワイドショウではカメラの前でバレバレの嘘をつく大臣や、被害者家族の実態を延々と流す。おかげで自民党は解散命令の申請を東京地裁に出すという猿芝居まで演じた。
山上達也が銃殺事件を起こしていなければどうなっていただろう。悠々と統一教会は、日本の政治中枢に入り込んで、信者は献金に苦しみ二世信者に未来ははなくなるだろう。

今年10月7日に始まったハマスのイスラエルへの一斉奇襲攻撃は、まるで神風特攻隊のようでもある。初日に5千~8千発のロケット弾を雨のように、イスラエル要所に打ち込んだ。奇襲で1400名を殺害したがそれで終わりである。しかしこの1400名の死者は、4度ある中東戦争でもかつてない数字である。しかし、現在のようなイスラエルの圧倒的な兵力の逆襲を、ハマスは予測していたはずである。
そんな判り切ったこと以上にハマスが狙ったことがある。先ずはサウジアラビアとイスラエルが国交正常化目前であったが、これを阻止できた。これにはサウジのかつての遺恨の敵、中国の介在で握手したイランの存在が大きい。ハマスは中東の地図を変えようよとしている。
もう一つが、世界にイスラエルの悪行を、建国まで遡って世界が一斉に報道し始めてくれた。世界の目を一斉にウクライナから、パレスチナに移すことに成功した。
もう一つはこれまでなかった200名越えの人質の確保である。イスラエル内の政治犯の釈放を交換条件にした。ネタニアフはこれに応じていない。
そして何よりも、このところのイスラエルの国内での、イスラエル側のパレスチナ人地域への攻勢である。パレスチナ人のうっ憤を大いに晴らしてくれた。
しかし、いくらこれらのことを並べ立てても、ガザ市民の死者が1万人を越えているようでは、ほとんど意味をなさない。ハマスは思った以上の効果を得たかもしれないが、それに倍する反撃思った以上の非人道的反撃を受けているといえる。
それで、世界がこぞってイスラエルを非難するかに見えるが、相も変わらず欧米諸国は、イスラエル支持の姿勢から変るものがない。しかし、今回は天井のない監獄の実態や、イスラエルの残虐性などが広く知られるようになった。
ハマスの狙いの一つは叶った。奇襲以前とは比較にならないイスラエルの蛮行が世界に発信されるようになった。
世界は、山上やハマスのような蛮行、やってはならないことをしなければ、被害者の実態も、悲惨な被害者の叫びも見向きもしない。山上やハマスの行為を一方的に非難するべきではない。

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「国会運営に支障をきたすから」辞める、この三文芝居は自民党のDNAである

2023-11-13 | 岸田文雄
見慣れた三文芝居がまたまた繰り返される。
過去の税金滞納と差し押さえなどが問題となっていた自民党衆院議員で財務副大臣の神田憲次今日(13日)が辞任した。財務省は国民に納税の義務をお願いし、税金を運用する省庁で彼はこれを管理する立場である。
岸田政権ではこれまで、山田太郎文科政務官、柿沢未途法務副大臣が辞任しているが、それぞれの不祥事である。隠し通せなくなって辞任している。罷免ではない。
神田憲次の場合はこれらとは明らかに異なる。
上記の立場も許されるものではないが、本人は税理士の資格がありその事務所の脱税である。しかも四度も滞納している。このことだけでも異常である。
立場を利用した意図的で極めて悪質なことといえる。1度(2度?)は、差し押さえまで食らっている。ここまでくれば犯罪である。
しかも情けないことには、本人は知らなかったとも発言している。精査して報告するという。議員をやっていて多忙だというのである。議員辞めれば済むことである。
この神田税理士の事案は意図的な脱税を繰り返してきたという他ない。過去に発覚しなかった事例をいくつか経験しているものと推察される。
こうした大臣など国家の中枢に座る資質を著しく欠く人間が悪事が発覚すると、「職務を遂行することで責任を取りたい」先ずは述べる。任命責任者の総理は「遺憾に思う」程度で終えようとする。
そして乗り切れないと、「国会運営に支障をきたす」と辞任する。任命責任者が罷免して責任とるわけでもない。本人が謝罪しているのは、「国会運営を私事で止めるには忍びない」と言いうのである。悪事の反省などではない。
この男の辞任後は、何事もなかったように国会は粛々と審議に入るのである。何事もなかったように。
この三文芝居は自民党の体質というよりDNAそのものである。日本の議会制民主主義が、張りぼてになってしかも破れかぶれである。
追記:神田の税金滞納は9回に及び、差し押さえをされたのが4回であることが判明。最低の男である。
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日本と同じ憲法で軍隊を持たないコスタリカなのに日本は学ぶことだらけ

2023-11-12 | 平和
朝日新聞記者で、中南米特派員として勤務し、長年にわたって現地をつぶさに見てこられた伊藤千尋さんの著書である。「コスタリカ」高文研社・1,800円+税である。ネットで著者の伊藤さんにメールして先月署名入りの本書が届いた。ため息ばかりが出る。
今や世界は戦乱の状況が何のおくめもなく、連日報道される時代である。日本と同じように国が軍隊を持たない、中米の国コスタリカである。軍隊を持たないことは、ただ単に戦争をしないというだけではなく、平和の思想が国の容を創るという思いを、本書で再確認した。
コスタリカは軍隊の代わりに、領土を守るために国境警備隊と警察を持っている。国民は戦車も戦闘機も見たことがない。警官は銃さえ持っていない。兵士より教師を、教育費と医療は無料である。
一般国民でも小学生でさえ、国に対して憲法違反を訴えることも出来る。大学生が大統領を憲法違反で訴え勝利したこともある。日本の高学歴の、憲法判断もできない忖度裁判官に聞かせたいものである。
国会議員は任期は1期のみである。現職は立候補できない。国会の議場は地下にあって、国民を下支えする象徴となっている。会議を欠席したり、採決の時いなければ日当は出ない。詐病を語って逃げまくる日本の議員や、出席もせず国外にいても満額支払う日本と大違いである。
隣国のニカラグア軍隊が国境を越えて侵攻してきた時には、オランダにあるハーグの国際司法裁判所に訴え勝利して撤退させている。
国民はコスタリカ国民であることを誇りに思っている。小学生時代から政治論争を積極的に行っている。それらの中から平和憲法を持つ日本の若者に問いたいとある。「兵士になりたいか、いい教育を受けたいか。兵士になって上官に人殺しをやらされるのと、自分のモチベーションで人生を送るのとどちらがいいか」と。
国歌で称えるのは労働と平和である。国家や元首ではない。
平和の原点は人間であるという。人権を尊重してこそ平和であるという。
コスタリカの平和理念は、2016年エネルギーを100%自然エネルギーに変えさせた。75%が水力発電、13%が地熱発電、12%が風力である。太陽光発電は0.01%しかない。水力、地熱発電を支えているのが、日本の技術だというのも何とも皮肉である。2050年までに温室効果ガスをゼロにするという、世界初の気候変動目標を国として持った。
国連で核兵器禁止条約の批准に向け主導したのがコスタリカである。1978年コスタリカは国際平和大学を設け、世界の平和を広めるリーダーの養成を行っている。平和を輸出しようというのである。
産業として体験型の観光に力を注いでいる。エコツーリズム発祥の国と言われている。自然が豊富で、ナマケモや美しい鳥クアトルなどを抱え、赤道下でも高地で温暖であり中米のスイスと言われている。
コスタリカの憲法は、「常設の軍隊を持たない」と規定している。日本の平和憲法は軍隊を持たない交戦権も認めないとなっていて、数段上のはずである。
この国の現状を本書で見ると、日本で進む再軍備化は情けない限りである。ため息ばかりが出る読後感である。
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中国の介在なくしてイスラエル・パレスチナ戦争は先が見えない

2023-11-11 | 中東

このところ世界各国で活発な外交を展開している中国である。先ごろは、長年のライバル中東の二大大国、イランとサウジアラビアの国交回復に一役かっている。一帯一路戦略の延長上にあるかに見えもするが、西側諸国がこぞって無視できるような存在でもない。
今回のヒズボラのイスラエル攻撃で、イスラエルとサウジアラビアが国交回復しそうであったが、それを断念させる結果になっている。サウジアラビアの判断はイランの存在が大きい。親米であったサウジアラビアが今では、中国に寄り添うしイランの意向を汲んでイスラエルと距離を置いた。明日(12日)イランのライシ大統領が、サウジのジェッダで開かれるイスラム諸国機構(OIC)主催のガザ問題サミットに出席する。これまでなかった動きである。ハマスに強大な影響力のあるイランと、アラブ諸国で最もイスラエルに近いサウジアラビアが停戦案を出せば、一挙に停戦が現実化する可能性がある。
イスラエルの建国で国を追われたパレスチナ人は、ヨルダンやイラク、シリア、レバノン、エジプトに逃げ込んだ。現在も多くのパレスチナ人が周辺国家にいる。
ネタニアフの思い違いは、仮にハマスの戦闘員を全員殺害しても、生き残った南部の人達の中から新たなハマス生まれる。ハマスの戦闘員は個人の中に宿っているのではないからである。因みに、ガザ住人の平均年齢は20歳に届いていない。イスラエルは先進国の社会構造であるが、少子高齢化が徐々に進んでいる。世界中から”ユダヤ系”の国民を自国に招いたりして、少子高齢化対策に大わらわである。
ガザではこの一月で、子どもが4,300人死亡している。この数字は昨年難民で死亡した子供の数を越えている。いかにパレスチナに若い人が多いことかである。
イスラエルはこの戦争が勝てないことが分かっているのだろう、エジプト領のシナイ半島不毛の砂漠後にガザ市民を移設を検討していることが明らかになった。エジプトが200万もの難民を受け入れるわけがない。あるいは核兵器の使用さえ選択肢であると言い始めている。ガザの地を無人化し様というのである。狂気の沙汰である。
政権首脳はこの計画を否定しているが、核の保有を否定はしていない。ヒトラーのホロコーストを受けて世界の同情をかった民族とはとても思えない。
イスラエル・パレスチナ戦争はイスラエルの建国まで遡行してイギリスとフランス、それにアメリカが責任を強く受け止めなければならないが、ガザに同情する仕草で、イスラエルを支援するばかりである。
西側陣営は、習近平のウクライナ戦争の停戦の呼びかけた12項目にも拘らず、旧冷戦構造のまま否定する。その結果、中国をロシアの側に押し付けてしまうことになった。
今回もハマスとイスラエルの仲介に最も中国が最も適切な位置にいるが、ドバイやエチオピアあるいはインドと言った声もあるが、中国を望む声は少ない。中国の存在を見誤ってはならない。
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新たな戦前はもうすでに戦中にすらなっている

2023-11-09 | 戦争
昨年暮れの徹子の部屋で、終わる直前に徹子さんがタモリに、「来年はどんな年になるのでしょうかね」と聞いた。政治的発言は極力避けてきたタモリが少し考えながら、「新しい戦前になるのじゃないでしょうか」と答えた。タモリの思ってもみない発言に少々驚いた。彼が日本の終戦記念日の1週間後に生まれ、あのヘルメットゲバ棒で荒れた早稲田の只中での学生体験の反発であろうか、政治的発言を封印していた彼でも言わざるを得なかったのであろう。
「新しい戦前」は流行語大喪にもノミネートされている。軽薄な言葉と並べていただきたくはないが、大衆に知られることは警鐘になろう。ロシア・ウクライナ戦争、パレスチナ・イスラエル戦争と日本はアメリカの属国発言を繰り返し世界にその存在感すらない。
岸田文雄が野党からの質問で唐突に示した、「防衛予算の5年間の総額を43兆円に」が何とも奇妙な形である。そもそも予算を、予算額から発表するかつてない方法である。必要理由を積み上げて予算は決められるはずである。それを金額先行提示である。
この裏には、アメリカからの武器購入の金額の積み上げしかないからである。
FMS(Foreign Military sales )とは、メリカ国防総省が行っている対外軍事援助プログラムである。 Foreign Military Sales がどうして、「対外有償軍事援助」という訳なるのだろうか。そのまま訳すと、「外国への軍事販売」とでもなろうが、これはアメリカが、アメリカの武器輸出管理法のもと、アメリカ国防安全保障協力局(合衆国政府)が アメリカ製の兵器の取得や教育訓練等の役務を有償で提供を受けるものとなっている。支払いは前払いの即金となっている。防衛予算内では先送りとなる。早い話がリボ払である。43兆円の金額は実質50兆円越えとなる。
更に、維持管理はアメリカ側が行うとなっている。それを決めるのはアメリカ政府ということである。全く恣意的な選択が起きるし、金額は言いなりで、格落ちのかつての最新鋭を交わされる。
そんなにまでして、金額だけを決めてしまう。福祉予算や教育費でこんなに簡単には金額ですら決まらない。それほどまでしてこの国は、兵器を買わなければならないのだろうか。
そして一年前のタモリの予言は次第に現実味を帯び、新しい戦前はもう始まっているかとも見える。すでに新しい戦中になっていると、後年識者が指摘する現状にある。
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統一教会に解散命令など出るわけがない

2023-11-08 | 岸田文雄

統一教会(現世界平和統一家庭連合)が被害補償のために最大100億円を国に預ける考えがあると公表した。先手必勝というわけか、自公政権は財産保全に関する法規制の議論のなか、教団から「対案」とも見える財産保全を突き付けられた形である。陽動作戦である。
世襲坊ちゃん議員集団の自民党では、手も足も出ないであろう。その一方で公明党を抱える、連立政権である。それでなくても宗教法人への扱いは腰が引ける政権である。
被害救済に取り組んできた弁護士や元信者らは、資産隠しの恐れを指摘する世論をかわし、政府による解散命令請求の審理を意識した、統一教会側の猫騙し作戦といえる。
統一教会の田中富広会長は会見で、昨年7月以降に664件の返金要請に応じ、44億円を支払ったとも説明し、「個別の交渉には誠実に対応してきた」とアピールする。その一方で、認知症の母親が1億円超の献金をした例では、裁判で争う姿勢を示し返金に応じていない。記者会見を傍聴した、母が2億円寄付した人の場合も、全く応じてはいないとのことである。巨額の場合には、賠償には応じないということだろうか。
この会見ではっきりしたことは、被害者に金を払ったと言いながら、謝罪の言葉は全くなかったことである。会見冒頭に田中富広会長は「指導が行き渡らず、つらい思いをしてきた方々に率直におわびしなければならない」と述べた。が、その後のやり取りで、おわびはするが謝罪はしないとまで述べている。つまり指導が行きわたっていれば、何の問題も起きなかったというのである。
指導ってなんだ?
統一教会は最大100億円の供託金を国に預ける方針を示しているが、政府・与党内では「現行法制上は難しいのではないか」との意見が大勢を占め、困惑が広がっている。統一教会にしてみれば、そんなことはどうでもよいことである。有能な弁護士を抱える教会は先刻織り込み済みだろう。軽いジャブでしかないが、政権は困惑ぶりが愉快でもある。
第一ラウンドは統一教会側の圧勝である。こんなことでは、立憲民主党の提案の資産の差し押さえもできないだろう。
このままズルズル行って、多分萩生田たちが裏工作など恩返しをして、結局は解散命令などできずに統一教会は生き残ることになるだろう。
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しょぼくれた経済対策は単なる増税に向けた疑似餌でしかない

2023-11-07 | 岸田文雄

支持率低迷の岸田文雄が、自分では切り札と思い込んでいたろう「減税」を打ち出した。が、さらに支持率が下がるという、かつてない事態になっている。ネット上では「増税メガネ」から今や「減税ウソメガネ」とも呼んでいる。政府の経済対策は国民に見透かされて、期待感はまったく高まっていない。岸田文雄が目先のことしか考えていないことが見え見えだからである。
支持率が過去最低になったのは、「1人につき4万円の定額減税」や、低所得者への「1世帯あたり合計10万円を目安に支援」を打ち出したが、疑似餌であることは誰でも知っている。その結果でしかない。
威勢よく43兆円(実際は50兆円越え)の軍事予算をぶち上げた勢いに比べて、何ともショボイ経済対策であることか。
疑似餌の対策など見向きもしない。軍事がまずは金から出してきたのは、アメリカの販売計画にのとったものでしかないからである。必要な軍事設備を積み上げて出された43兆円(実際は50兆円)でないことも見透かされている。つまり超大増税をしなければ、こんな金は出てはこない。
消費税を20%程度にしなければ達成できない数字である。人気取りのために、国際を乱発するであろうが、財政規律など眼中にない。
財政規律が票にならないが、目の前の道路が整備されるのは票になるからである。変な民主主義の制度は自民党を使って、歪な国家日本を創りあげてきた。岸田の支持率低迷は、ようやく国民がその一端に気が付いたのかもしれない。選挙になれば、それでも自民党が票を集めるでろう。愚かな国民がきっと投票する側に回るであろうからである。
なんちゃって減税を経済対策と呼ぶ、報道の側にも問題がある。これは減税などではなく、疑似餌でしかない。それは税収減にもつながると報道して頂きたいものである
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アメリカも大型化した畜産をCAFOと命名摘発し始めた

2023-11-05 | アニマルウエルフェアー
上図「動物工場」ダニエル・インホフ編:井上太一訳:緑風出版3,800円+税の本である。とても高価でお勧めいたしたくはない。執筆者が32名もいて、それぞれの専門家のようであるが、まとまりに欠けるし一貫性がない。資料としての価値はある。
本ブログで紹介した、家畜密飼給餌制度CAFO(Concentrated Animal Feeding Operation ) の解説書である。
アメリカ環境保護庁(EFA)は、大型畜産農家CAFOを、飼料を他から購入し収容する大型施設と定義する。そして、牛は1000頭、豚は25キロ以上は2500頭で25キロ以下なら1万頭、七面鳥は5万5千羽、肉用鶏12万5千羽、採卵鶏8万2千羽としている。
巨大畜産施設は、何よりも糞尿の処理ができないままである。地下水を汚染し大気を汚がすなど周辺の環境に悪臭を放ち続けている。経済的に弱い周辺の人は我慢するか、逃げだすしかない。家畜も糞尿まみれである。
家畜が集約的に飼養されると当然のように経済効率が優先される。肉用牛では合成成長ホルモン、抗生物質、廃鶏の羽根を処理したもの(フェザーミール)、豚や魚の蛋白質、鶏糞なども与えられる。他の家畜も地域の特性ある様々な残滓などが与えられている。
工業型畜産が安価であるように見えるのは、国の支援や健康でなくなった時の代償など考慮していないためである。環境汚染のコストなども考慮されていない。工業的に生産された畜産製品には社会的コストが加算されていない。
日本も大きくは変わらない。特に政治的経路を通じたコストは、あたかも善良な対応のようにすら見えたりもする。それは国民自らが負担して、不健全な食料を生産しているのである。
これらの問題を克服するためには、消費者が何よりも実態をしてもらう必要がある。そして牛は当然のことながら放牧などして、健康な管理をするべきであるとする著者の紹介もある。
アニマルウエルフェアについての配慮などはなく、CAFOはヨーロッパのアニマルウエルフェアに抗するものかとも勘ぐりたくなる。
本書の訳者は畜産の現場について無知に近い人物である。多くの誤解を呼ぶような表現や、実態を知らないがゆえの誤訳が兎に角目に付く。とても我々専門家の評価に耐えられる質を持ったものではない。内容は上記で知っていただければそれでよい。価格に加えて、質的にも購入すべきでない本として記憶願いたい。


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非人道の極みとなったイスラエル

2023-11-02 | 石破茂
イスラエルは本気で民族浄化に向かっているのかもしれない。地上戦の兵士たちは、肉親知人を今回のハマスの攻撃で亡くした兵士を優先させている。戦闘意欲は極めて高く、人道的配慮など全くない。
人道的に許されないガザ地区最大のジャバリア難民避難施設を、1日直接爆破した。上図は翌日のもであるが、今日もイスラエルが避難しろと言った難民避難地域キャンプを空爆している。ジャバリア難民キャンプは、5階建て大きな施設であるが、大きな陥没痕ば哀れでさえある。2日間で196人が死亡している。ほぼ無差別攻撃と言って良い。
極めて非人道的な残虐なイスラエル軍の行為である。世界各国から非難を受けていても、イスラエルの空爆艦砲射撃、地上侵攻は治まる所がない。これは自衛権の範囲を明かに超えている。あるいはテロへの攻撃すら意味不明になっている。むしろ彼らが無差別テロ攻撃と非難されても仕方がない。
イスラエルがハマスの現兵士たちを全員殺害しても、同胞を殺害されたパレスの人たちが、イスラエルに服従することなど考えられない。
新たなハマスがより巧妙な組織となって登場するだけである。憎しみを大きくするだけである。
アメリカ下院の140億ドルのイスラエル支援案は、否決される状況である。アメリカはイスラエルもウクライナの支援もままならなくなっている。
パレスチナ自治政府の保健省が2日発表したところによると、イスラエル軍のガザへの攻撃で9025人が死亡し、負傷者は2万2000人を超えるということである。瓦礫下の救助不能の死体は計算に入っていない。またハマスの兵士の死亡も計算外である。
イスラエルを虚言でこの地に招き入れた、イギリスとフランスさらにその後の支援国となったアメリカは大きな責任がある。彼らはいまだにイスラエルを支援はするが、停戦は興味を持たない。
イスラエルの非人道的な侵攻を強く非難し反対する。
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中東問題の根源は石油がでたこととイスラエルを欧米諸国が建国したことに尽きる

2023-11-01 | 中東
上の地図はナショナルジオグラフィックのもので、1947年イスラエル建国の1年前のものである。ここには、イスラエルの文字はない。
ナクバ(NAKBA )とは、1948年にパレスチナ人の社会と祖国が破壊され、大多数のパレスチナ人が恒久的に退去を余儀なくされた出来事を指すアラビア語で、大厄災、大惨事の意味である。
ナクバと言われたのは、1948年の第一次中東戦争中およびその直後の衝突で、イギリス委任統治領パレスチナの78%がイスラエルとして宣言され、70万人のパレスチナ人が追放され、500以上のパレスチナ人の村落がイスラエル軍によって破壊され、25万人の殺害された大厄災に由来する。NAKUMA15-05-48と呼ばれている。
イギリスはユダヤには建国を補償し、アラブにも同地域を補償し、自らの石油権益の延命を図った、サイクス・ピコ協定は3枚舌と言われている。英国の3枚の舌は後世に度し難い混乱と戦果を残すことになった
ヒトラーに民族浄化の大虐殺を受けた民族が、その舌の根も乾かないまま、自らが民族浄化に取り組んだのである。
彼らユダヤの人達にも意図はあったであろうが、石油が存在したことも大きい。やがてイギリスはそれを放棄するが、アメリカがこれに取って代わり、さらなる悲惨な結果を招くことになる。
オスマントルコ帝国の支配、再一次世界大戦のどさくさ、更には英仏の無責任な線引きで国境が定められた。中東のその後の混乱、戦禍は石油利権に目が眩む欧米の結果である。そしてないよりも、虚言で乗り切ろうとしたイスラエルの建国である。アメリカはユダヤ教に近い福音派が、経済的にも情報発信力も大きく、アメリカの経済もさることながら、政治さえも大きな影響力を持っている。トランプはそれを無造作に利用し、イスラエルにゴラン高原の領有権を認めたり、エルサレムを首都と認めたり、票集めに躍起である。
欧米が身を切る取り組みをしなければ、パレスチナ・シリア問題は解決しない。

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羅臼港

春誓い羅臼港