日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

講義中にサイレンが・・・

2005-04-08 16:52:19 | 私の雑感あれこれ
これも娘から聞いた話。
お正月休みを利用して留学中の南京に娘を訪ねたとき、夜の雨降りの中、彼女は両親を大学内の寮へ案内しながら語ってくれた。
「このあいだね、講義中に突然サイレンが鳴ったの。音が鳴り止むまでは講義が一時止まったけど、その後普通に講義が続いたので、何のサイレン?と尋ねたら、『今日は南京虐殺があったことを悼む日で、そのためのサイレン』と、答えが返ってきたの。きっと、周りの皆は日本人の私への気遣いもあって、さりげなくその時は過ぎたのかもしれない」と。
「インドネシア人の留学生から『貴女はひとりで行かないほうがいい』と忠告されていたけど、南京大虐殺記念館にもひとりで行ってきちゃった。
中国人のおばあさんが、日本人のしたこととして連れの孫に説明していたよ」と、少し前の電話で語っていたこともある。

机を並べて学ぶ仲間になってしまえばお互いを配慮し合えるのに、接することのないときは、一度出来た溝はなかなか埋まらない。

娘の話を聞いたとき、彼女の中学頃の国語の教科書で読んだ話を思い出した。

猪口邦子(前国連軍縮大使)さんが南米で過ごした小学生時代の話。
歴史の授業で真珠湾攻撃の話が出てきたとは、日本人である彼女は加害者側だとして、周りの子供達の視線が集まったとき、先生はいまここに学ぶ彼女の存在をきちんと子供達に説明してくれたことなどが書かれていて、彼女の記事を新聞で読む毎に思い出している。

きっと娘はその教科書の話を覚えてはいないと思う。二十歳の時を中国で過ごし、追悼のサイレンを聞いた彼女が、猪口邦子さんのその文章を読むと、きっと今度は心にしみるだろうな、と思うのだけど、いまその文章にどうやって出会えるか判らない。




コメント (2)
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