友達の詩をネットで見かけたことがある。
たしか、題は「自由通信社」だったか。
今探しても見当たらない。
不確かな記憶だけれど、その内容は
母が箪笥にハタキをかけていた。
ハタキの先に引っかかって、白いものがぱらぱらと落ちる。
未使用の名刺の束
使わないのになんでこんなの作ったのかしらと母はつぶやく。
高校3年の私はその名刺の裏を受験勉強の英語の単語カードとして使い、毎日毎日「自由通信社」と書かれた名刺をめくったと。
詩の中で彼女は、父がその「自由通信社」を立ち上げて、何をしたかったのだろうと、生きている父には聞くこともなかったけれど、かつての夏を思い、父を思う。
あぁ、「原詩」がないので、無粋な説明しかできないのでまことに困るのですが…。
大学時代のある日、彼女は「ほら」と、文庫本の裏表紙を見せてくれたことがあった。
そこには瓢箪型のゴム印、文字は○○蔵書と記されていた。
その記憶があったものだから、二十年後かに見つけた「自由通信社」という名刺を扱った詩に、かつて蔵書印のある本を手にしていた彼女を思い出し、「そうだったのか」と念を押すように納得させられたものでした。
そして、今朝の日経朝刊の大岡信氏の茨木のり子さん追悼文に、彼女は父親のことを「吉良町のチェホフ」とよんでいたとの記載がありました(父君は愛知県吉良町で開業医だった)。
先のブログで転記した「鎮魂歌」に出てくる茨木のり子さんの父。
茨木のり子や石垣りんの詩を私に教えてくれた彼女(Tさん※)の、若い頃「自由通信社」を企画して夢を馳せていた父。
まったく、関係ない話といえばそれまでだけれど、文学に親しむ父をもつ娘ってところに、チョビッと羨望を覚えたりもする。
きっと「自由通信社」という詩も父への鎮魂歌なのですね。
※ Tさんのペンネーム 草野信子 詩集「冬の動物園」「互いの歳月」「戦場の林檎」ほか
たしか、題は「自由通信社」だったか。
今探しても見当たらない。
不確かな記憶だけれど、その内容は
母が箪笥にハタキをかけていた。
ハタキの先に引っかかって、白いものがぱらぱらと落ちる。
未使用の名刺の束
使わないのになんでこんなの作ったのかしらと母はつぶやく。
高校3年の私はその名刺の裏を受験勉強の英語の単語カードとして使い、毎日毎日「自由通信社」と書かれた名刺をめくったと。
詩の中で彼女は、父がその「自由通信社」を立ち上げて、何をしたかったのだろうと、生きている父には聞くこともなかったけれど、かつての夏を思い、父を思う。
あぁ、「原詩」がないので、無粋な説明しかできないのでまことに困るのですが…。
大学時代のある日、彼女は「ほら」と、文庫本の裏表紙を見せてくれたことがあった。
そこには瓢箪型のゴム印、文字は○○蔵書と記されていた。
その記憶があったものだから、二十年後かに見つけた「自由通信社」という名刺を扱った詩に、かつて蔵書印のある本を手にしていた彼女を思い出し、「そうだったのか」と念を押すように納得させられたものでした。
そして、今朝の日経朝刊の大岡信氏の茨木のり子さん追悼文に、彼女は父親のことを「吉良町のチェホフ」とよんでいたとの記載がありました(父君は愛知県吉良町で開業医だった)。
先のブログで転記した「鎮魂歌」に出てくる茨木のり子さんの父。
茨木のり子や石垣りんの詩を私に教えてくれた彼女(Tさん※)の、若い頃「自由通信社」を企画して夢を馳せていた父。
まったく、関係ない話といえばそれまでだけれど、文学に親しむ父をもつ娘ってところに、チョビッと羨望を覚えたりもする。
きっと「自由通信社」という詩も父への鎮魂歌なのですね。
※ Tさんのペンネーム 草野信子 詩集「冬の動物園」「互いの歳月」「戦場の林檎」ほか