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日本人論の理論の理論(2)

2021-05-29 | yy78日本人論の理論の理論


拙稿本章での興味は、なぜ日本で特にこの種の議論が盛んなのか、なぜそれらが面白いのか、です。
日本は、江戸時代までは国内で完結する高度な自律的文化を持っていた、といえます。少なくとも二百数十年の鎖国の間、それが急激に変容することはなかった、といってよいでしょう。
黒船に代表される幕末の西洋文化の流入は当然最大の文化変容をもたらしました。当時の地政学的リスクを痛感していた明治新政府は、開国進取、富国強兵を国是とし、チョンマゲを切り小学校を全国に普及させました。
生糸を輸出し軍艦を輸入しました。その政策は功を奏し、日清日露戦争を勝ち抜き、第一次世界大戦の勝ち組としてついに世界列強(一九一九年ベルサイユ条約五列強:英仏伊米日)になりあがりました。
わずか半世紀で日本のパワーは西洋諸国に追いつきました。これは革命的発展といってよいでしょう。この大成功によって日本人はどうなったのか?このテーマが、すなわち日本人論の起源といえます。

さて現代日本人は自分を日本人だと思っています。
まず日本人である。日本人である前に人間である、などといってもふつうの場面でそうは考えていません。まずアジア人である、とか極東人である、とかはふつう思っていません。
なぜ自分はまず日本人なのか?

筆者は赤いタオルの鉢巻をした老人がテレビの現場インタビューで答えた場面での「わざわざじゃないですよ。日本人だから。言葉が通じるから私は日本中どこでも行きます(二〇一八年 尾畠春夫)」という言葉をはっきり記憶しています。この事件は、山口県の山林で三日間行方不明だった二歳児が、三八〇人の捜索隊の活動によってではなく他県から来た老ボランティアが現場到着三〇分後になしとげた快挙によって発見され、無事保護されたというものです。








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