私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

2009-06-07 14:53:58 | 映画鑑賞
フィリピンで失踪した男の捜索を請け負う元刑事(ジョシュ・ハートネット)
フィリピンから姿を消したその男シタオ(木村拓哉)を追って香港に行った元刑事。
香港人の刑事(ショーン・ユー)と彼を探すうちに彼が香港マフィア(イ・ビョンホン)の女と一緒にいることを突き止める元刑事。
***
多分「人にとって、痛みとはなんなのか?痛みは美しいのか」ということを、美しい男達を使い2時間の間突き詰めて考えていると思われるのだが、まぁ人の好みはそれぞれである。

ジョシュ・ハートネットが演じる刑事の抱える痛みは、職業柄もあり、ある意味非常に特殊だと思うのだが、それをオブジェのようなもので可能な限り視覚に訴えようとするのが凄い。

木村拓哉が演じる青年シタオは、人の抱える痛みをうめき声と一緒に自分の痛みに置き換える。
その行為には多くの言葉は要らず、うめき声と荒い呼吸音のみだ。

イ・ビョンホンが演じる香港マフィアのドンポ。
人を殺めることになんの躊躇もないような彼の痛みは、溺愛するリリが自分の元を離れていくことだ。
何故彼女をそこまで溺愛するかについては見ている方には何も伝わってこない。
それは関係ないのだろう。
関係あるのは、彼の痛みはリリが自分の元を離れていくということだけだからだ。

ショーン・ユー演じる香港人の刑事も痛みを抱え、出て来る男達は皆痛みを抱えているのである。

ただ、「だからなんなんだ?」という思いがずっと残る映画で、私は1時間40分位で緊張感が途切れる。
「青いパパイヤの香り」とか「シクロ」とか「夏至」とかみんなこんな感じの映画だったろうか?と考えたりしたのだが、どの映画の思い出も青(青、蒼、藍どれを当てはめれば一番適当だろうか?)と緑(こちらも緑、翠、碧のどれを当てはめればいいのか?)の色のことしか思い出せず、思い出は役に立たなかった。
しかし色にこだわりがあるのはこの映画でも同じで、フィリピンは勿論のこと、香港の空き地の雑草さえ、綺麗な緑色に映し出そうとしているのだ。
そのあたりのこだわりは凄いと思うが、どんなにやってもそれは香港の空き地の雑草。なんとなく空回りしているような雰囲気が映画全体を包んでいることと関係あるような気がする。

そんな微妙な雰囲気が支配する映画ではあるが、出ている男優それぞれにキチンと見せ場を作っているのはさすがだと思う。
ジョシュ・ハートネットに心の闇を語らせ、木村拓哉を泥まみれにさせ、イ・ビョンホンは女を失った悲しみで肩を震わせる。
そんな中、画面的に一番綺麗に見せ場を作っていたのはイ・ビョンホンか。
(イ・ビョンホンファンの方は、出番が少なくてがっかりしていると思うのだが、
)他の二人が格好悪い姿も見せつつの見せ場だったのに、彼だけは目にも鮮やかな紫色のシャツ姿で綺麗なまま、女を失った悲しみと痛みを感じさせるのだ。

***
近所の映画館で会員価格の1300円で鑑賞。
ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホンのファンの方(+ショーン・ユー)で、レディースディに時間がある人ならいいかもしれないが・・・忙しい方に薦める勇気はない。


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