十年後の香港を見つめた5本のショートムービー。
集会で騒ぎを起こして、不安を煽るように雇われた男達を描く@エキストラ。
失われて行く物を全て標本にしようとするあるカップルのたどり着いた選択を描く@冬の蝉
北京語を話さないタクシー運転手に対する営業締め付けに悩む中年男の悲哀が感じられる@方言
英国領事館の前に小さく残る焼身自殺の後。
誰かも明かされない、黒く残る焼け跡の謎を解明しようとする若い男@焼身自殺者
卵販売店を営む男と使用禁止ワードのリストを手にして街中をパトロールする息子の話@地元産の卵。
五十年は高度の自治が約束されていたはずの香港で、二十年経った今、目の前にある現実は、『中央の権力への挑戦』をなんとしても止めようとする大きな中国の存在。
選択肢が狭められる事に対する危機感が見ている私にもひしひしと伝わって来る。
世界の大国を自負するなら、なぜ多様さを認める事を拒むのか。
大国であるなら、全てを飲み込んでも自らの制度を維持できるという懐の深さを見せられないのか。
選択肢のある生活を守ろうとする香港人の葛藤の数々に、民主化ってなんなんだろ?と考えずにはいられない。
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2017/10/16
釜山国際映画祭で「十年 日本(仮)」の製作発表会が行われたとのこと。
エグゼクティブプロデューサーは是枝監督。タイと台湾との三か国による共同プロジェクトの一環でもあり、「十年 タイ」「十年 台湾」(いずれも仮題とのこと)の製作も決定しているとのこと。
いいニュースなのだが、発表の場所を東京国際映画祭にしてもよかったのにとも思う。