タイの刑務所に収監されている男が、自分の送った1通の手紙をきっかけに出身地である香港に移送される。その男リーを保釈させようとする女性が現れるものの、男は「外に出たら殺される・・」と叫び、自分は殺人の罪を着せられたんだと訴え続ける。捜査に当たる刑事は、現場にいたと思われる@画家と呼ばれる男だけをリーが殺さずに逃がしたことを訝しがる。なぜリーは画家だけを逃がしたのか・・・・画家とは一体誰なのか・・・
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リーは移民先のカナダで、中国人の彼女とともに画家を目指すも、貧しい生活の中なかなか思わしい結果が出ない。才能あふれる彼女と違い、技術は優れていてもオリジナリティがなく「2番、3番のゴッホはいらない」と言われるリーに目を付けたのは、画家と呼ばれる香港出身の男。ビジネスを手広くやり、資産家らしいその男は、「自分が出来ることをやり、その道のプロになれ」と言い、贋作制作に優れた才能を見せる彼を、自分が行っている偽札プロジェクトに誘うのだ。その道のプロを集めた偽札チームを率いる画家の行動力に尊敬のまなざしを向けながらも、犯罪集団を率いるために時には非情な態度を取る画家に恐れを感じるリー。
しかし、偽ドル紙幣造りは順調に進み、書家のアシスタントとして、出来上がった偽札を持ち世界各国を回ることになるリー。画家から「これが終われば自由だ」と言われた最後の取引先のタイでトラブルに巻き込まれるリーと画家。
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贋作制作に才能を見せるもどこか自信なさげなリー(演:アーロン・クォック)と、彼の目線で描かれるカリスマ溢れる画家(演:チョウ・チュンファ)。どちらの目線で見ても面白い映画だ。
特にカリスマ溢れる画家の描き方が素晴らしい。プロジェクトを率いるリーダーシップはもちろん、時に大胆に時に妙な優しさを見せてプロジェクトを引っ張る。画家を演じるチョウ・チュンファが今まで演じてきた刑事やマフィアそしてチンピラ等々。そんな様々なキャラクターの、一番いい部分を全部集めて作ったのでは?と思わせる非の打ち所がない姿と行動。
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90分が基本の香港映画にあって、140分は破格の長さだ。ただ、ストーリーが盛りだくさんであり、途中の転調も素晴らしいので長さは気にならない。
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10/19~10/21の二泊三日の短い香港旅行の間に鑑賞。同行した知人が快く送り出してくれたこともあり、コーズウェイベイの映画館で日曜日の朝8:30の回を一人で鑑賞。
明日(10/25)から始まる東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映される事は全く知らず、同行した知人に教えて貰った次第。