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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

西尾維新 『終物語(中)』 感想

2014-02-01 21:16:00 | 西尾維新
出版物としては想定外の中巻だったわけだけど、中身はいたってまともな、今まで語らずじまいでやり過ごしてきた、『猫物語(白)』の時の阿良々木くんの話。

何で燃えたんだっけ?、学習塾跡は、ってところから始まる話?
いや、表向きは、あれは、虎が燃やしたことになってるんだけどさ。
でも、何で燃やしたんだろうね?ってことで。

その一方で、『暦物語』の冬の物語とも繋がる内容だった気がする。。。。

というか、『終物語(上)』が、何となく、戯言シリーズ初期の、探偵物に近い感じだったとすると、今回の中巻は、戯言シリーズ終盤の、西東天が登場してきて以後の展開に似ているな、というのが、読み始めて最初感じた印象だった。

・・・ということで、ネタバレありなので、間を空けときます。







































ざっくり言えば、今回のお話は、「化物語シリーズ」の収束に向けて、今までの伏線の多くを回収しようとした回。

したがって、説明回。

で、話の大筋だけかいつまんでおくと、

『猫物語(白)』の時に神原を動員して阿良々木くんが行っていた裏の物語というのは、400年前に忍が眷属にし、自殺した怪異殺しの専門家である生死郎の復活とその退治だった。

で、シリーズ的に大事なことは、

まず、この生死郎こそが、阿良々木くんが対峙した「怪異」の大元の原因を作った存在であったこと。忍、というか、キスショットが阿良々木くんの街にやってくることを含めて、蟹(戦場ヶ原)、蝸牛(八九寺)、猿(神原)、蛇(千石)、猫・虎(羽川)、蜂(火憐)、不死鳥(月火)、・・・、といった怪異の物語=事件が起こった原因は、復活を求めてやってきた生死郎が招いたことだった。

第二に、生死郎と阿良々木くんと忍の三者の関係を通じて、というか、ぶっちゃけ、生死郎を当て馬にすることで、阿良々木くんと忍との関係を再度見なおした、ということ。恋仲に発展しない、愛憎半ばするバディの関係として、忍と阿良々木くんの関係があることを再確認した。

で、この関係性を、こんなラス1の段階で確認してきたってことは、多分、次巻の物語完結の際に重要な役割を果たすのだろうな、という気がした。

まぁ、今回の表現に従えば、万人にとって「特別」な存在ではなく、忍、戦場ヶ原、羽川、八九寺、神原、千石、・・・、のそれぞれにとって「特別」な存在であることが、阿良々木くんの特性として重視される結末なのだろうね。

裏返すと、そのような阿良々木くんの特性自体が、おそらくは臥煙伊豆湖にとってはイレギュラー極まりない存在であり、何をしでかすか分からない不確定要因=ノイズになってしまったからこそ、『暦物語』の最後で、臥煙さんは阿良々木くんを殺害することになったのだろうな、と。なにせ、臥煙さんは「予防」を重んじる人なので。

ちなみに、今回のラストで生死郎が放置した甲冑がもとになって、小太刀・夢渡がつくられったっぽい。

後は、どうやら、今回の物語の後始末としてみすごされたところを上手く利用したのが、おそらくは扇ちゃんで、そこから千石が蛇神になる、という二学期の話が進んでいったみたい。

ということは、やっぱり、臥煙さんと扇ちゃん(くらやみ?)は、何らかの意味で対立しているのだろうね。

で、第三に指摘すべきは、今回、さらに悪目立ち?した、斧乃木ちゃん。
てか、もはやファイナルシーズンの超・便利屋。
しかも、キャラが不安定、というのが唯一のキャラ付けになってしまったので、もう、非常に便利に使われる、オールラウンダー的存在になってしまったw

とはいえ、斧乃木ちゃんのマスターとして登場した影縫さんが、どうやら臥煙さんに煙たがられていたことを考えると、斧乃木ちゃんの立ち位置も結構ビミョーで。最終コーナーでは、阿良々木ハーレムの一員として、臥煙さんをもだますように見えるよね。

まぁ、物語の中での機能としては、斧乃木ちゃんは八九寺の代替なんだけどね。

そういう意味でも、最後は阿良々木くんサイドで動くように思える。



・・・ということで、以上が、今回のお話で際立ったところかな。

で、じゃあ、物語として盛り上がったのか?というと、ちょっとビミョーだなと思ったのが、読後の第一声。

いや、西尾維新基準で言えば普通に面白いのだけれど、とはいえ、『猫物語(白)』の裏の進行していた話を今頃しますか?というのが正直なところかな。

単純にいうと、シリーズ構成の問題ね。

なので、作者自身は、想定外の中巻の発表!ってことになっているけど、でも、読者からすると、この話をすっ飛ばしたままでシリーズ完結はないだろう?ってのが本音だから、書かれるべくし書かれたものと思わないといけない。

裏返すと、当初予定されていなかった『暦物語』の発刊を含めて、ちょっと巻数を水増ししちゃったかなー、って感じがする。

あとがきで西尾維新自身が書いているように、これは、『傾物語』、『鬼物語』の後に、素直に続くべき話だよね。それを、ここまで引っ張ったのは、ちょっとどうかなー、と。

しかも、前作の『終物語(上)』で老倉育、というような新キャラまで出して、扇ちゃんの怪しさを記した後での物語なので。

最終的に、シリーズが完結したところで、時系列で読み直したら、いろいろと発見があるのかもしれないのだけれど。それくらい、シリーズの構成が見えにくい。

もっとも、だから、時系列の整理のために年表としての『暦物語』が書かれたわけなのだが。

だから、今回の内容は普通に面白かったけど、でも、それは『終物語』の中巻で書くことだったのかなー、というのが一番の疑問であり、手放しに面白かったといいにくいところ。

ちょっとパズルに過ぎるよね―。

たとえば、今回の阿良々木くんと神原の関係を読んだ後で、『花物語』の位置づけも変わるのかどうか?とかね。大方忘れているから、再読しないとだめだろうけどw


とはいえ、下巻は楽しみだし、もちろん、ここまで来たら『続・終物語』まで読むつもりだけどw


で、次巻だけど、今回、今までひっぱてきた空白タイムが補完されたので、素直に考えると、『暦物語』の最後の、阿良々木くんと八九寺が再会した場面から始まる、ということになるのだろうな。

これも、最終巻一つ前の冒頭を、阿良々木くんと八九寺のバカ話から始めるための工夫なのかもしれないけれどね。

で、とにかく気になるのは、臥煙さんの真意と、扇ちゃんの正体。

それから、ここまで音信不通だったメメが再登場するのかどうか。
・・・って再登場してくれないと、超肩透かしだけどねw
ついでに言えば、影縫さんと貝木もねw

ていうかさ、あれだけもったいぶった「臥煙の血筋」って何だったの?

あ、そうそう、羽川や戦場ヶ原も活躍するんだよね?、とか。

まぁ、阿良々木くんが、受験当日に失踪してしまっているのだから、彼女らが奔走しないはずがないよね。


・・・とか、気になるところはメチャクチャ多い。


予定通り、下巻、4月とか5月くらいには出てほしいな。

で、フィナーレとしての続・終。

ものすごく長いシリーズになった分、最後の大団円を目撃するのが今から楽しみでなならない。その気持ちはこの先、変わらないだろうなw

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