BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

アクセル・ワールド 第18巻 『黒の双剣士』 感想

2015-06-11 22:00:50 | SAO/AW
AWも18巻!
え、もう18巻なの?なんかそんな実感ないんだけど、と思ったら、なんと、17巻は去年の10月に出てたのね。

8ヶ月ぶり。

そりゃ、お話そのものを忘れてるから、18巻?とか思ってしまうはずだよね。

ということで、いつもどおり、スペース空けときます。






























































で、読み終わっての感想は、え?、ここで終わるの?ってこと。

しかも、前巻同様、後ろ50ページ位は、BD特典だった短編が無理矢理掲載されていて。

おいおい、8ヶ月待って、本編たったの250頁かよ、いくら何でも、手、抜きすぎじゃね?

というのが本音。

今回の最後って、ハルユキが帝城にもう一回進入するところで終わる。
正直、この帝城進入は、え?なんで?、と思うくらい、唐突な展開で、これはこれでツッコミどころは満載なんだけど、まぁ、それはあとに書くとして。

とにかく、ハルユキ(とレイカー)が帝城に侵入して、当然、そこでは、トリリードと再会するのだけど、なんと!、というには、まぁ予想はついていたのだけど、リードの親が、黒の双剣士(w)グラファイト・エッジだった!ってところで終わってしまった。

リードがグラさんを、僕の親です!と紹介したところで、まだ結構頁が残っていたので、どうしてこういう経緯になったのか、きっとそれを残りの頁で説明しながら、次の展開に行くんだろうな、と思って、頁を繰ったらいきなり「つづく」で、マジ、びっくりしたよ。

えー、ここで終わりにするかよ!

いや、冗談抜きで8ヶ月待って、本編250頁しか進まないってどういうことよ!

って思うよね。

8ヶ月開けたら、400頁くらいは、進めようよ、さすがに。

いや、他にも、SAO、SAOP、それにアイソレータとかあって大変なのはわかるけどさ。

とはいえ、8ヶ月待ってこれはないよ。

少しは鎌池和馬を見習えよ!、とマジで思ったな、これは。

しかも、本編は、ほとんどグラさん話で終わり。

あとは、突然のリアル割れが、プチパケ、コバルト・マンガン組で起こってしまって。

あれ、リアル割れ、ってもっと慎重にやるもんじゃなかったけ?

と結構唖然。

まぁ、例のメタトロン攻略→ISSキット殲滅作戦のところで、ずっとアバターで戦闘ばっかりで、あれは単調だなー、と思っていたので、作者の方も、リアルワールドでキャラを動かしたい、と思ったのだろうけど。

とはいえ、これは迂遠かなぁ。

加えて、取ってつけたような宇宙ステージ戦闘で、いつもと勝手が違う戦闘で作者的にはチャレンジだったかもしれないけど、読む側としては正直、どうでもよかった。

作用反作用で、飛んでっちゃうとか、ぷぷぷ、と笑いは確かに漏れるけど、でも、それだけだよねー。

まぁ、それも本編が400頁くらいあるところでやるならいいけど、さすがに250頁で、これはないわ。

それに、せっかくグラさんが登場したのに、無重力状態じゃ、全然グラさんの凄さがわかんないじゃん。そこも不満。

てか、いくらなんでも、バトル・ロワイアルモードへの突入が唐突すぎでしょ。

なんていうのかなー、川原礫という作者は、「お兄さま」の作者と違って、設定に溺れずきっちり物語を進めていくのがいい感じだったのに、今回、というか、前巻あたりから、物語の進め方がとても雑になってきてる気がする。

そういう意味で、今回の読後感は、正直、よくなかった。
つまらないし、迂遠。
変に物語を引き延ばしているなーと思わせられる一方で、一つ一つの場面転換が唐突すぎて。

その最たるものが、帝城アゲイン!のところね。

これ、黒雪姫の目的であるブレイン・バースト世界の究極に触れる、ということを行うために突然スタートしたことなのだけど、その黒雪姫の方にしても、もしかしたら卒業後、留学しちゃうかも?というネタが突然、文脈無視で出てきたことへの、いわばハルユキの脊髄反射的な対応から出てきたので。その分、唐突さは拭えない。

作者も、あとがきでわざわざ強調しているけれど、視点キャラが少しずつ変わってきていて、要は、複数場面での同時進行の話が適宜挿入されるようになってきている。

で、この方法は、作者的には押しなのかもしれないけれど、読んでる側からすると、冗長で、もたついているように感じる。つまり、あまりうまくない。

視点キャラの複数場面の挿入って、それら別々の動きがゆくゆくは一つに修練していくからこそ面白いのであって、今回のように、次回に続く、って時は、あまりやる意味が無い。というか、やるべきでない。

なんていうか、本来なら短編で紹介するような日常風景を、無理矢理差し込んできている気がして。

今回であれば、プチパケの面々のリアル学校での様子ってのは、ホント、本編から浮いてた。彼女らを紹介するのはわからないではないけど、でも、それだったら、ハルユキたちとのリアルでの初顔合わせについても、あんな感じで省略するのではなく、ちゃんと書くべきだよね。

まぁ、視点キャラを複数にしたのだから、リアルハルユキと会った時の驚愕!wは、きっと、後々、回想としてプチパケの面々で語り合うことになるのだろうけどね。

とはいえ、それもねー。

・・・ということで、刊行に8ヶ月も間が開いているからかもしれないけれど、なんか、一体何をしようとしているのか、随分ぼやけてしまってる気がして。

実は、作者も、この先、どうまとめようか、悩んじゃってるんじゃないかな、という気がしてきている。

というのも、四元素最後の一人であるグラファイト・エッジが、いろんな意味でワイルドカードすぎるから。

なんていうか、彼は、もうほとんどブレイン・バースト世界の秘密を全部知っている、神的存在のように思えてならないから。

裏返すと、メタトロン同様、そんな設定があったのか!と、という内容を、さもありなん、と語る便利なキャラとして登場したようにしか思えなくて。

まあ、黒の双剣士ってところからして、キリトなんでしょ、これ、って感じだしね。

あ、これは、例のアンダーワールドで200年生きてしまった方の、フラクトライト化した方のキリトね。同様に、グリーン・グランデが茅場んの成れの果て、というのと同じ発想ね。

彼がさらに長生きして、おもしろキャラ、というかほとんどゲーマスとして、ブレイン・バースト世界に降臨している、という感じしかしないしね。

ていうか、ハルユキが帝城に再進入した理由も、7つの神器の、フラクチュエートなんちゃら、の正体を探るためだから、もろに、グラさんの設定に関わってくると思うし。

で、その話を、当人であるグラさんが、リードの親として帝城にも登場してしまうあたりで、もう、これは便利な神キャラなんだな、と思うしかなくて。

あー、それにしても、なんでグラさんが帝城にいるのか、ちゃんと説明してから次巻に続くにしてくれよ。これじゃ、生殺しだよ。

しかも、次巻が出るのは次の冬だったりするし。
つまり最速でも1月ってことだよね、多分。
また、半年も開くのかよ、って感じで。

ただ、もうこれは前からずっと書いていることだけど、AWの世界はどう考えてもSAOのアンダーワールドの先にある世界だから、その二つがどこかで必ずクロスするはず。

でも、SAOの方では、まだアリシゼーション編の決着が付いていない。
(ネット版では終わっているけど)
だから、多分、アリシゼーション編が終了しない限り、ホントの意味でAW世界の真相解明はできない、というジレンマに陥ってるんじゃないかな、と思うんだよね。

裏返すと、アリシゼーション編が完了するまでの間は、AWはノラリクラリと進めていくしかない。

作者は、今、そういうジレンマに陥っているじゃないかな。

そして、それゆえ、勢いにまかせて物語を書き進めることができない。

で、その分のエネルギーを、SAOPや、アイソレータの方に費やしているように思える。

アイソレータの方は、1巻は世界観の説明もしなくちゃな内容で、あまり面白くなかったけど、2巻の方は「仲間」や「敵」が明確になってきて、それなりに面白くなってきたように思った。

で、確かアイソレータの2巻のあとがきで、最新の物理学の成果を利用すると面白よね!みたいなことが書いてあって。多分、今回の宇宙ステージも、そういったノリで書いちゃったんだろうな、と思う。

そう思って見直すと、アイソレータって、物理学や技術の進展で、今までだったら、AWやSAOのように、ヴァーチャルな世界でしか実現できないと思われていた「超能力」的力が、一応は物理学っぽいことで説明できるから、リアルワールドのままで、そんなにうそ臭くなくできるよね、ということになってきた気がする。

AWの場合、このヴァーチャルとリアルの描き分けというのが、思いの外、物語を沈滞させてしまってマイナスに働いていると思う。だから、今回のように、むりやりリアル割れの話をいれないといけなくなる。

この点、SAOの場合は、ヴァーチャルもリアルも容姿は同じ、というデスゲームの設定で大分緩和されていたけど。

ともあれ、そのリアル/ヴァーチャル問題を、アイソレータでは気にしなくていい分、作者も楽しんで書いているように思える。

そういう意味でも、AWは曲がり角にあるかなー、という感じ。

視点キャラを変える工夫も、そういう厳しさへの対応でもあるのだろうな、と。

そもそも、視点キャラがハルユキだけであると、もはやイジメも克服し、もしかしたら生徒会役員にもなるかもしれない、リア充キャラにハルユキがなってしまった現在、書けることに制約がつきすぎるよね。川原礫という作者は、トラウマを使うのが大好きなはずなのに、こんなにハルユキが健やかになってしまったら、トラウマ的ぐりぐり感を書くのも難しくなるし。

・・・という具合に、AWはお話としては曲がり角にあるかなー。

そういう意味では、やっぱり、クロム・ディザスター編で、ハルユキの成長物語としては完結してしまっていた、ということだよね。

さてさて、この先、どうなることやら。
間延び感や引き伸ばし感をなくして、どこまで続けるのか。
そういう意味でも、転換点に達してしてまったと思った18巻だった。

はやく19巻、出ないかなー。 はぁ(嘆息)

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