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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

五等分の花嫁 第112話 感想3: トリックスターの一花はどう動く?

2019-11-30 11:13:31 | 五等分の花嫁
『最後の祭りが・・・』シリーズを読み返していて、
これもまた思いついちゃったのだけど、
113話以降の展開で鍵を握るのは、一花なのかもしれない。

いやこれはもう完全に、メタ読み、なんだけどねw

でも、これまでのこの物語の展開を振り返ると、要所要所で、物語が向かうべき基本的方向を定めてきたのは、いつも一花なんだよね。

事件をもたらすのは、常に一花。

最初期の花火大会や林間学校のエピソードのかき回し役はもとより、マルオの与えてくれたマンションを飛び出して五つ子だけで住むことを提案したのも一花。
その結果、風太郎は家庭教師を続けることができた。

もちろん、闇落ちwして、三玖になりすまして、三玖の邪魔をしたのも一花だし、その結果、二乃を巻き込んで一時は全面対決モードも生じた京都の修学旅行。

そうかと思ったら、突然、女優の道を真面目に追求するために、高校を辞める(最終的には休学なのかな?)と言い出し、物語に文字通り「分岐」の雰囲気を醸し出したのも一花。

他の四人の姉妹の性格や特徴を十全に把握しているのも一花で、とりわけ重要なのは、彼女は、(五月もそうだけど)四葉が6年前に京都で風太郎に会ったことを隠していることも知っている。そして、その気持を開放せよと、四葉に囁いたのも一花。

極めつけは、今回の『最後の祭りが・・・』シリーズで、風太郎から事前に「誰も選ばない」という日の出祭初日時点での暫定結論をすでに入手済みなこと。
そこから、風太郎に鐘キスの一件を思い出させ、その上、読者に対しては『最後の祭りが・・・』シリーズで風太郎と五つ子がキスをする、という基本プロットも提供している。

正直なところ、こうした、まさにトリックスターとしての一花の振る舞いが、どこまで一花というキャラクターの特徴から自然にでてきたものなのか、それとも、作者であるねぎ先生の意向でうまく「使われて」いるのか、よくはわからない。

まぁ、両方なんだろうけど。
その結果、一花は、気がつけば、常に「物語が進行する舞台」を作る役割を担っている。

そう思うと、今回の最後で導入された「五つ子がそれぞれ一人ずつ別々の教室で待つ」という「舞台設定」も、多分、一花が五つ子に提案し、五つ子の合意をもって、五つ子の総意に変え、しかもその提案を自分ではなく五月に頼んで(使って)、風太郎に伝えている。

そうして、わざわざ風太郎が一人を選ばざるを得ない状況を生み出している。
正確には、風太郎が、きちんと一人ずつと言葉をかわさなければならない状況を作り出している。

でも、これ、多分、一花だけが、早く気持ちをスッキリさせて、次のステージに進みたいから、だけのことなんだと思う。

そう感じるのは、112話の最後の方で、五つ子がそれぞれの部屋に移っていく際に、二乃と四葉が思い切り真剣な眼差しで怯えているように見えたのに対して、一花が二人の肩に手を回し、例の五つ子の間でお約束の「五等分」の指切りをしていたから。

あそこがちょっとずるいのは、繰り返しになるけど、一花はすでに風太郎が「誰も選ばない」と告げることを知っていること。けれども、その結論は一花にとって心よいものではないから、とにかくこの日の出祭の間に決着をつけようと、はやっている。
でも、それは、一花がすでに結論を受けいれるだけの状態にあるから平気なだけであって、二乃と四葉にとっては「いきなり」のことにすぎる、と思っている。

そういう姉妹の間での、温度差が見て取れたから。
なんだかんだ言って、一花は、究極的には自分本位で、自分にとって快適な状況をつくることに躊躇がないことがよくわかる。

これは、一花が悪魔だ、と言いたいのでなく、多分、彼女だけが、五つ子の中で、突出して大人になっている、ということね。

ちなみに、なんであれ風太郎の結論は受け入れ可能、という点については、三玖も一花と同じコンディション。
対して、五月は、そもそも自分は対象外だと思っているから、大して気にしていない。もしも選んでくれたらラッキー!、くらいの感じだと思う。

そういう意味では、二乃と四葉にとっては辛い状況。


でも、そうしてこの二人に逃げ場のない状況を作るのが、トリックスター一花様の狙いなのではないか?

もっといえば、四葉に「風太郎への恋心」という話題からは避けて通れない場面をつくるのが狙いなのではないか。

なぜなら、すでに一花は、94話の最後で、四葉と二人でブランコをこぎながら、6年前の風太郎とのことに触れて、四葉も風太郎への気持ちを明らかにすることを促している。

だから、ずるい見方をすれば、一花は、姉妹の間で後腐れのない結論が得られるように、「公平」に風太郎に選ばれる状況を作り出そうとしている。

多分、それは京都の修学旅行の最終話である86話で、風太郎に対して「全部、嘘だよ」と告げた時からのことなのだろう。

あの京都の一件で、自分だけ抜け駆けしようとした一花は、一歩間違えば、五つ子の間で取り返しのできないほど深刻な亀裂を生み出していたかもしれないから。

ただ、その一方で、一花が風太郎のことを諦めたわけでもない。それは日の出祭のエピソードでも、風太郎に学校に呼び出されてアタフタしているところにも現れている。

ということで、姉妹を傷つけずに、しかし、あくまでも「公平」な状況で、結論が得られる状況はなにか、というのを、一花は一花で、ずっと無意識のうちに探っていたのではないかな。

正直なところ、高校をやめて女優業に専念する、と宣言すれば、風太郎が黙ってはいない、ということは当然、一花は読んでいただろうし、その結果、生じたのは、一花だけ風太郎と個別の家庭教師をしてもらう、という状況だった。

しかも、その状況は、風太郎が一花を「雇って」映像を制作する、という建前だったわけだけど、その費用は風太郎が一花に借金をして賄われることになった。

で、そうしてできた状況って、要は、一花が風太郎の愛人ポジションをとった、ということじゃない。

日中は、五つ子の他の4人と学校で会っている風太郎が、夜になると一花のもとにやってきて、彼女だけに特別な家庭教師を行っている。そして、そこで、あれこれ、互いの状況を確認し合う。

ね、完全に愛人ポジション。

五つ子の他の子たちが風太郎とどう付き合おうが、自分は関係なく、風太郎を占有する時間は一定時間確保される。同時に女優業も続けられる。風太郎のぐちも、二人だから気兼ねなく聞ける。

多分、京都の騒動を経た一花としては、しばらくはこの愛人ポジションでいいと思っていたはず。

その、いわば寝た子を起こしてしまったのが、日の出祭初日の風太郎の、誰かを選ばないといけない、と言う発言。

あのとき、一花がいった「いきなりだね」は、本心だったのだと思う。


ともあれ、一花はこの物語のトリックスター。

けれども、そのゲーマスぶりも、性格を把握している五つ子の間では完璧だけど、だいたい、風太郎が絡むと、斜め上から、一花の計画が覆される。

となると、113話以降の「強制的に風太郎に選ばせる」という状況も、それが素直に、一花の想定通りに動くはずがない。

風太郎はどんな「返し」を一花にするのか?
それは、間違いなく「全部、嘘だから」に関わることだろうけど。

あるいは、一花の作った舞台を、なにかアクシデントが襲うのか。
サプライズが起こるのか。
それが、四葉が立つキャンプファイアーなのか。

要するに、今度は、どんな失態wを一花が演じてくれるのか。

結構そこは、楽しみ。

でも、ほんと、もはや一花の愛人ポジションだからね。
そういう意味では、水族館デートを経た三玖もそれに近い。
だから、113話以降、一番、この状況に動じてみせるのは、二乃と四葉なんだろうな。

特に、二乃の狼狽する様子が目に浮かぶ。
なんたって「ツンデレツン」のチョロインだからなぁ。。。

ともあれ、一花が用意した舞台をひっくり返すのは誰か?
それはどんな事件なのか?


で、唐突だけど
この作品って、究極的には「五つ子(見分け)ゲーム」が鍵を握っている。
それが、本当の「愛の深さ」を試すものと位置づけられているから。

なので、最近思うのは、どんな形であれ、
この作品の終幕シーンは、
結婚式会場で、五つ子の全員がウェディングドレスを着て、しかも全員が五月の扮装をして、花嫁は誰だ?と問いかけて、風太郎が、何いってる、お前だろ、と返す。

そんなシーンで終わるのだろうな、と。

うん、だから、最後まで実は誰が花嫁なのかは、明かされないんじゃないのかな?

まお、それも、読者に「愛があれば誰が誰だがわかります!」とかいって終わるw

でも、是非とも、そんな最悪wな終わり方だけにはなりませんように。

もっとも、そんな結婚式ジャックのアイデアも、きっと一花の入れ知恵なんだろうけどw。

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