先日台湾で、初めて頂くお茶を御馳走になりました。
「三峡碧螺春」というものです。
現地読みはメモして来なかったのですが、調べてみると日本では「さんきょう ぴろちゅん」と読むようです。
こんなお茶。
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ひょろひょろした、イカナゴ釘煮のような形状。 |
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台湾の烏龍茶は、緑色でコロン、と丸まった形状のものばかりかと思っていましたが、こちらは違います。 グリーンがかった色で、ところどころ白い産毛も見えます。 |
頂いてみたところ、明るい早緑色のお茶で、なんとも軽い香り、そして味も、とっても軽くてほんのり甘さも感じます。
烏龍茶の場合、私の経験では、ミルキーな香り、トロピカルフルーツ(パイナップル)の香り、強いグリーンな香り、を感じたことがありますが、こちらのお茶は、もっと儚く、淡い香りに感じました。
味わいに、ほんのりした甘さを感じるところも烏龍茶と違います。
烏龍茶は香りがミルキーで甘い場合でもコクのあるキリリとした強い味で、この三峡碧螺春のような儚い甘さはでなかったように思います。
(お茶の味利きには、全く自信がないので、全然違ってるかもしれません)
ともかく、これまで飲んだことのないタイプの台湾茶だわ、と驚きました。
折角なので調べてみました。
【三峡碧螺春】
◎産地:
台湾の北部、台北縣三峡鎮。
(この地区では龍井茶もつくられている。)
◎茶の品種:
青心柑仔種。
杭州西湖の名産龍井茶と同じ品種で、小葉種の早生種。幼芽は緑色で産毛(白毛)が多いため高級茶葉には白色が必ず入る。
この「柑仔」を使い碧螺春や龍井茶や紅茶、東方美人などを作る。
(ちなみに、他には「黄柑」「青心烏龍」などの品種などがある)
◎製法:
清明節(4月8日頃)より前に、芯芽と幼い葉を1~2枚つけた状態(ミル芽、「螺」)で、基本的には手摘みで摘む。
(龍井茶はもっと育った「長け芽(たけめ)」を摘む)
清明節より前、という意味で、「明前(みんちぇん)」という言葉がつくこともあるようです。
早春限定の高品質茶、という意味のようです。
不発酵の緑茶。
龍井茶は製茶行程で、茶葉に熱と圧力を加えて直型(ペタンコ)にして乾燥させるが、碧螺春はそれがないので、ねじねじと折れ曲がったいびつな形状。この加熱が味、舌触りの違いを生み、龍井茶はややボディ感があり、口当たりはしっかり、大人好みの味わいとなる。
◎起源:
中国大陸の『洞庭碧螺春』というお茶がオリジナルともいえる。
第二次世界大戦後、蒋介石とともに大陸から渡ってきた人々(本省人)の、故郷中国大陸の「碧螺春」や「龍井茶」を飲みたいという願いをかなえるため、台北郊外の茶産地三峡をこれら大陸緑茶の指定産地に定め、製法が導入された。
◎淹れ方:
(台湾の烏龍茶はグラグラ沸いた熱湯を使うことが多いが)三峡碧螺春の場合は、柔らかい茶葉のため、やや低め、80度程度で淹れるのがよい。
コロンとした烏龍茶の場合、5~6回(もしくは色が出なくなるまで)淹れられますが、こちらは2~3回程度かなあ、とは台湾の友人談。
◎味:
清涼感あふれる甘い香り、そしてさっぱりと口の中に広がる爽やかな渋み(出典1)。
栗落雁のような甘い香りとスキっとした渋味(出典3)
うむ。ちょっとかしこくなった気がする(すぐ忘れるだろうけれど)。
この知識をふまえてもう一度飲んでみたいものです。
ところで、調べている過程で、これまで「コロンとして緑色の、普通の台湾烏龍茶」と思っていたものにも色々あることが分かりました(いや、そんな気はしてたけれど)。
何かこう、踏み込んではならないマニアの世界を覗いてしまったような。
ワインに通じるお値段天井知らずの世界が隠れている気がする。
味の分からない私は、そーっと後じさりして退散せねば。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・す す す すす。ぱたん。
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■■参考情報
(1)清水一芳園 三峡碧螺春 (30g1260円 50g2100円)
(2)茶ムリエ小田純也氏のブログ
(3)茶師清水和正氏のブログ
(4)アイシス茶楽館のブログ
(5)台湾茶.NET (25g1500円 50g2900円)