日暮里に、ダンナサマお気に入りの和食屋さんがあります。
「谷中の雀」
70代のご夫妻だけでやってらっしゃるお店で、お料理はコース料理のみ。一日1回転だけ。
日本酒もお任せで、1,2合ずつ適宜違うものを出して頂けます(もちろん同じがよければそれでも)。
すごくいいから、いつかFujikaちゃんも一緒に行こうよ、と言われて、何度か電話予約をトライしてみましたが、1週間前くらいでは遅すぎ。もっと前もって計画を立てる必要があり、なかなか行く機会がないままでした。
ところが先日、ダンナサマともうひとりで予約していたところ、 その方が多忙につき来られなくなってしまいました。
予約自体をキャンセルしてしまってもいいけれど、折角とれた予約だから・・・。
で、
「Fujikaちゃん来る?」
とお誘いが。
火曜日だけど・・。でも折角なので出かけることにしました。
お店に入る前、日暮里商店街をちょっと歩いてみましたが、6時過ぎだともうほとんど閉店。
かろうじて、トルコ料理屋さんで、ちょこっとお菓子などお買いものしました。
さてさて、お店へ。
とっても古い飲み屋横丁みたいなところにお店はあります。
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素敵なひょうたん型の提灯。 左側に見える暖簾は、1階客席への入り口。我々は2階席で、右側のトイレとの間の細い通路を通って奥まで。 そして扉をあけると2階への階段が。
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この階段が、昔のつくりなのでとっても急です。この写真で分かるかな。 角度、45度以上ありそうかも。 手すりをにぎりしめて進む感じ。 (70代のお店のご主人とマダムはこの急階段を、両手にお盆やらお鍋やら持って何度も往復する訳ですが、「慣れてるから平気よ」とのこと)
2階は6席。 長いテーブルに3組隣り合って、相席みたいな感じで座ります。 (昔は違うアレンジのときもあったようですが) 我々は最後に入店したようで、奥の方はほぼ食べ終わり、手前の方は、前菜を頂いている最中。 さて、我々もごはん☆
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最初のお料理は、胡麻豆腐、焼き茄子、ミョウガ。 とっても上品な味わい。 がんばって自分でも真似できるかな?
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右から、押し寿司、桃に(おそらく)白みそと豆腐のクリームをかけたもの、うなぎの皮(かな?)。 桃のクリームがごく薄い味付けで、絶品でした。
このあたりで、(会話もあまりなく)わっしわっしと食べ進んだ我々は、手前のカップルに追いついてきました。
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こ、これは。土瓶蒸し! 人生で数えるほどしか食べたことがありません。 土瓶のおつゆを杯に注ぎ、そこにすだちを絞ります。 (マダムから説明があり、土瓶の中に絞ってしまうと味が変わってしまうとのこと)
えもいわれぬ上品な味。
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土瓶の中身は、もちろんアレです。松茸! そしてハモ。
Duckbillさんが「土瓶蒸しは、やはりどうしてもこの器(土瓶)でないとこの味にならない」とおっしゃっていましたが、なんとなく分かるような気がしてきました。 鍋ではなく、この蓋付きの器で加熱することで、小さな空間に香りが閉じ込められて、風味が強くなるのです。 小さな杯でまずおつゆを。この少量だからこそ、気合を入れて味わうようになります。 最後に具を。土瓶からつまみ出して頂くのも、プロセスが多くて、趣があります。
これが、お吸い物みたいにお椀に全部入っていたら、ぐびぐび、ぱく、で終わってしまいます。 分量的には少な目のお料理を、手間のかかる工程にして体験を長引かせることでより味わい深くする、大人向けの技ですよね。
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お刺身。まぐろ、タコ、白身魚。 タコにはうっすら酸味が、そして白身魚には軽い塩味がつけてありました。 まぐろは大トロと中トロでしょうか。小さく見えますが、どれもやや厚切りで満足感がありました。
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アツアツ茶わん蒸し。 おお、ここにも松茸が! このあたりで、今日はもしや松茸コース?と判明してきました。 ダンナサマは特に何のお料理かは気にせずに予約したようですが、お隣のカップルは、「うちらは狙ってきましたよ」とのこと。 Fujika:「9月になったばかりでもう松茸とは・・・。9月の、ふつかだっけ?」 隣の男性:「いや、3日ですね」 (おお、すごい。ぱりっとしたストライプのスーツだし、やっぱ日付を何度も書き込むようなお仕事かしら。ていうか、今日が何日か言えないのは私だけ?)
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信州の丸ナスと鴨のあんかけ。 鴨には片栗粉をはたいてから加熱してあり、鴨の風味が閉じ込められて濃いです。
ご主人は長野の方だとか。 お隣の方が、小諸でいいお蕎麦屋ってありますかね、みたいなお話をされていました。
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かなり満腹感があるこの段階で、なんとすき焼きが! しかも松茸入り!! (松茸をどっさりばさっと載せたのですがが、すぐにご主人みずから混ぜて下さって、写真はとりそびれ) 世の中にこんな料理があったとは。 牛肉だけで御馳走なのに、松茸まで・・・。 ちょっと濃いめの味付けでしたが、卵にくぐらせて頂くと、ちょうどよい感じでした。
このあと〆には松茸ごはん。 (これまで注意して写真を撮ったのに、最後のひと品撮り忘れました・・・)
松茸って、すだちの皮のような香りがします。 それを生かした、薄味の仕立て方。 美味しかった! おなかいっぱいになりました。
松茸ごはんは、上手に味付けして炊く自信がない場合は、生マツタケごはんもおすすめです。 ごく薄く生マツタケをスライスして、それを炊きたてごはんと重ねるようにして蒸らし、生醤油+すだち少々をお好みで。 以前白樺荘で教わったレシピです。 生かす機会はまだないのですけれど・・・。
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ふだんは軍鶏鍋がメイン。
冬にはふぐやあんこうもあるそうです。
是非ともまた来たいけれど、ちょっと遠いのよね・・・。
(先に帰られたほうの二人は、帰り際に来月の予約を入れていました。きっとお近くにお住まいなのだわ。いいなあ・・・)
ダンナサマは(もちろん美味しいのもあるけれど)、メニューを読んだりしなくていい「お任せ」で、しかもひと品ずつが少な目というところが大変お気に入りのよう。
うちの近所にもおいしい和食屋さんがあるのだけれど、そこのコースはダンナサマにはやや多いみたい。
多い分私が食べてあげるから、今度は近場のその店に行こうかと計画しているところです。