先日栃木方面(足尾)に一泊旅行に行ったのですが、その帰り、日光だいや川公園にある農産物直売所で、面白いものをみつけました。
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「柿餅」 ・日光市の一部の地域で作られる郷土食 ・熟成させた国産干し柿をたっぷり練り込んだ、米粉を使ったお餅
だそうです。
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大1200円、小600円。
干し柿+お餅、ありそうな組み合わせではありますが、これまで本でも産直見かけたことはありませんでした。 これはやっぱ、買ってみないといけませんよね。
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原材料は、米粉、干し柿、砂糖、塩。
説明にもありましたが、もち米ではなく、上新粉のお餅です。
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そのままの状態の断面はこんな色。 茶色というかあずき色というか、そんな色です。
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トースターで焼いてみると、上新粉のお餅なので特に膨らむということはなく、この程度。 焦げ目も分かりにくいです。
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「皮」のところは、ぷくっとふくれてだいぶ焦げ目がつきました。
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折角なので実家に持ち込んでみんなで試食してみました。
・ほんのり甘くておいしい。
・甘さの感じは、黒砂糖のよう
・一口目、熱いので香りが立ち上るのだが、うっすら柿を感じる
(柿の味はしないという人もあり)
・上新粉なので、シコシコして、ういろうのような食感
・目隠しして食べたら、柿かどうかわかる自信はない
・自分でも作りたいかというと、それほどでもない
というような評判でした。
それにしても、なぜお餅に柿が入ることになったのか。
干し柿の、固ーくなっちゃったものを有効利用するためかなあ。
それにしても、お餅に混ぜるのはだいぶ贅沢だなあ・・・。
そう思いつつ、由来など、調べてみました。
この柿餅は、日光市でも、今市あたりでだけ、お正月頃に作られているお餅だとか。
分量は、各家庭で異なるけれど、今回の久保田屋製菓店では、米粉1キロに対して200グラムの割合。
米粉を水で練ってから干し柿と一緒に30分ほど蒸し、これを杵と臼で搗き、棒状に丸めて完成。
そもそもは、昔、冬の度にやって来た、福島県会津の茅屋根葺き職人、葺師(フキシ)たちが伝えたものだそうです。
会津では、マタギが山に持って行った、という説もあります。
(もち米のお餅は冷えるとカチカチに固くなってしまいますが、うるち米のお餅は多少柔らかさを保つため)
では会津の柿餅は?
調べてみると、南相馬市に柿餅の情報がありました。
南相馬市の情報によると、柿餅とは・・・
〇昔の柿餅
もち米に米粉(うるち米)を加えるため、粉のザラっと感のある口あたり。
干し柿を作る時にむいた皮を干したものを主に使用。柿の実は少し入れる、あるいは全く入れない。
〇現代の柿餅
米粉は入れない。全てもち米を使用する。
皮だけだと甘みが少ないので、実のみを使用する。
というものだそうです。
南相馬周辺では道の駅や農家の直売所などで柿餅を買うことが出来るようなのですが、ほぼすべてがもち米使用の、モチモチタイプのようです。
今市バージョンは、古式ゆかしく、100%米粉。古い伝統が、傍流の方に残っているのですね。
それにしても、むかしは干し柿の「皮」を使っていたとは。
これは目からウロコでした。
昔は柿はピーラーではなく包丁で、手で剥くから、皮も厚めに剥くことになり、甘みのある皮を干して漬物などに使っていたし、子供はおやつにつまんでいたそうです(本田勝一『こんなものを食べてきた』で読んだ昔の長野の話)。
(いま、ピーラーで剥くと、皮にはあんまり甘みはなくなってしまいます。以前、自分でも皮を干してみたことがありましたが、思ったよりも味がしないものでした・・・粉にしてたくあんに使いましたが)
米粉は、今はみんな買ってくるものですが、自分のところでとれたお米のうち、割れたお米から作っていたはず。
干し柿の皮と、クズ米の粉、それぞれB品を組み合わせておいしいおやつに仕上げていた、ということですよね。
この組み合わせが発祥ということなら、納得がいく気がします。
今は、さすが米どころ東北、柿餅はもち米100%が大半のようです。
昔なら、もち米はハレ中のハレの素材。
お米の味が消えてしまうような混ぜ物はあんまりしなかったんじゃないかな・・。
■参考情報
(1)今回買った、今市、久保田屋製菓店の柿餅について
(2)南相馬市の柿餅情報 思い出エッセイ
(3)南相馬市の柿餅情報 作り方