昨夜、上野文化会館での東京都交響楽団の定期演奏会に行ってきた。
井上道義指揮による「日本管弦楽の名曲とその源流シリーズ」で、前半は野田暉行のコラール交響曲とピアノ協奏曲で、後半は、ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」とベルクの「ルル組曲」で、私には馴染みのないプログラムだったが、観客の入りは良かった。
面白いのは、ブリテンの「鎮魂交響曲」で、1940年の「紀元2600年奉祝会」のために日本政府が委嘱した作品だったのだが、キリストの典礼による内容が天皇に対する不敬とされ、作曲料7000円は支払われたものの、演奏されずにつき返されたと言う。
当時、ヒットラーがチェコに進出しポーランドに侵攻するなど欧州が風雲急を告げていた最中に、それも、後に戦争レクイエムを作曲するようなブリテンに奉祝音楽を依頼するなど常識では考えられないのだが、作曲された作品が、先の世界大戦の多くの悲惨な死を悼み「両親の思い出に」重ねて楽想されたレクイエムとは、日本の将来を見越した凄いアイロニーだとしか思えない。
しかし、この曲だが、太鼓連打に始まり、白石美雪さんの解説によると、「著しい緊迫感と悲痛な情感、行進の不穏な歩み、洗い清められたような透明な楽想が楽章ごとに対比をなし、思いの深さに圧倒される」良い作品である。
私は、昔、ロイヤル・オペラで、「ピーター・グライムズ」を見てからブリテンを敬遠し、その後、ベルクの「ルル」や「ウォツェック」なども見たことがないのだが、昨夜の演奏会で、一寸、認識を改めなければならないと思った。
さて、東京に、確か8団体くらいの交響楽団があるようだが、それぞれ、年に8~9回の定期演奏会をメインにしたシリーズを組んで会員を募り、活動を行っているようである。
ようであるというのは、私自身、2~3のオーケストラしか知らないので何とも言えないからである。
今、現在、新日本フィルと都響の定期会員だが、新日本フィルは、小澤征爾のコンサートを聴くために入ったので、もう15年以上続いているが、数年前から小澤のプログラムがなくなってしまっているで、継続をどうしょうかと思っている。
私が、最初に定期会員になったのは、NHK交響楽団で数年続いたのだが、その後、海外に出てしまった。
今でも、N響を聴きたいとは思っているが、千葉からでは、とにかく、会場が遠いのが難である。
海外では、チケットの取得が難しいので、真っ先にチケット・ボックスに出かけて、定期会員チケットを手配したのが、フィラデルフィア管弦楽団であった。
その後、ヨーロッパに移ったので、アムステルダムで、ロイヤル・コンセルトヘヴォーの定期会員権を取得した。この時は、現代音楽主体のシリーズも含めて、3シリーズ手配したのだが、結構、忙しくて、出張に出たりして行けなくなることが多くて、それほど回数が多いとも思わなかった。
ところで、この2交響楽団については、定期会員権を、子供から孫へと継承する会員が多くて、その上に、会場が比較的こじんまりしていたこともあって、殆ど、市場には出ないために、大変取得が困難であったので、良いプログラムだからチケットを手配しようと思っても出来ないケースが多かった。
当時の感覚では、かなり安かった所為もあり、とにかく、前もってチケットを抑えておくに如くはなかった。
ところが、ロンドンに移った時には、ロンドン交響楽団の定期会員になったのだが、更改を忘れていると、催促の電話が架かって来たくらいだし、バービカンセンターの会場も広かったので、チケットの手配には、それ程苦労はなかった。
定期ではなかったが、フィルハーモニア管弦楽団やロイヤル・フィルなどにも出かけていたし、それに、ロイヤル・オペラはバレーと交互ながら、そして、イングリッシュ・ナショナル・オペラも毎日公演しているし、世界中から来る名だたるオーケストラが、毎夜の如く演奏会を繰り広げているので、結構出かけたけれども、特別な場合を除いては、それ程、チャンスをミスることはなかった。
ウィーン・フィルやベルリン・フィルなどのチケットも、それ程、高い値段ではなく、比較的容易に取れたし、ロイヤル・オペラも、同じように、家内と定期会員に入っていたので、オペラやバレーも、それなりに楽しめた。
日本の定期会員の場合にも、30%くらいは安いので、1~2回ミスっても、損にはならないのだが、ロンドンでは、日本の感覚よりも安かったし、それよりも、魅力的な公演をミスる方が心配だったので、定期会員券の魅力は、それなりにあったような感じがする。
尤も、パバロッティやドミンゴなどは、別枠で、この方は、結構取得困難か、または、高いかで、それなりの苦労はあった。
日本の場合には、そのようなケースは、まず、殆どないので、定期会員の場合の魅力は、お馴染みのオーケストラのチケットが、比較的安く手に入って、労せずして同じ席で、気楽にコンサートを楽しめると言うことであろうか。
この新日本フィルと都響の定期公演のコンサートには、やはり、クラシック音楽ファンが主体なので、おかしな所で拍手したりするようなことはまったくなく、非常に、観客マナーの良い演奏会だと思っている。
ところが、新日本フィルの場合には、毎回、同じ人が隣や近くの席に座っていてお馴染みと言う感じだが、都響の場合には、会場の広さもあるのだろうが、私の席の隣もそうだが、かなりの人が入れ替わっており、私のように、何時も同じ席に座っているファンは比較的少ないような感じがしている。
ところで、会場で、同オーケストラや、当日のゲスト指揮者やソリストなどのCDやDVDが売られているのだが、買っているファンが、結構多い。
私など、もう少し若くて、海外に居た時には、会場でCDや本を買って、サインを貰ったりしていたのだが、この頃は、歳の所為か、DVDは別だが、殆ど、新しいCDを買わなくなってしまった。
新日本フィルは、ロビーで、CD以外に、結構色々な面白いグッズを売っている。文化会館の売店は、特に、都響グッズと言うようなものは扱っていないようだが、外国のオペラハウスなどには、立派な売店があって、色々趣向を凝らしたキャラクター商品やグッズを売っていて、客で賑わっているし、結構楽しいのである。
日本の楽団経営も、何か、ファンを惹きつけるような斬新なアイディアを出せないものだろうかと思ったりしている。
井上道義指揮による「日本管弦楽の名曲とその源流シリーズ」で、前半は野田暉行のコラール交響曲とピアノ協奏曲で、後半は、ブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」とベルクの「ルル組曲」で、私には馴染みのないプログラムだったが、観客の入りは良かった。
面白いのは、ブリテンの「鎮魂交響曲」で、1940年の「紀元2600年奉祝会」のために日本政府が委嘱した作品だったのだが、キリストの典礼による内容が天皇に対する不敬とされ、作曲料7000円は支払われたものの、演奏されずにつき返されたと言う。
当時、ヒットラーがチェコに進出しポーランドに侵攻するなど欧州が風雲急を告げていた最中に、それも、後に戦争レクイエムを作曲するようなブリテンに奉祝音楽を依頼するなど常識では考えられないのだが、作曲された作品が、先の世界大戦の多くの悲惨な死を悼み「両親の思い出に」重ねて楽想されたレクイエムとは、日本の将来を見越した凄いアイロニーだとしか思えない。
しかし、この曲だが、太鼓連打に始まり、白石美雪さんの解説によると、「著しい緊迫感と悲痛な情感、行進の不穏な歩み、洗い清められたような透明な楽想が楽章ごとに対比をなし、思いの深さに圧倒される」良い作品である。
私は、昔、ロイヤル・オペラで、「ピーター・グライムズ」を見てからブリテンを敬遠し、その後、ベルクの「ルル」や「ウォツェック」なども見たことがないのだが、昨夜の演奏会で、一寸、認識を改めなければならないと思った。
さて、東京に、確か8団体くらいの交響楽団があるようだが、それぞれ、年に8~9回の定期演奏会をメインにしたシリーズを組んで会員を募り、活動を行っているようである。
ようであるというのは、私自身、2~3のオーケストラしか知らないので何とも言えないからである。
今、現在、新日本フィルと都響の定期会員だが、新日本フィルは、小澤征爾のコンサートを聴くために入ったので、もう15年以上続いているが、数年前から小澤のプログラムがなくなってしまっているで、継続をどうしょうかと思っている。
私が、最初に定期会員になったのは、NHK交響楽団で数年続いたのだが、その後、海外に出てしまった。
今でも、N響を聴きたいとは思っているが、千葉からでは、とにかく、会場が遠いのが難である。
海外では、チケットの取得が難しいので、真っ先にチケット・ボックスに出かけて、定期会員チケットを手配したのが、フィラデルフィア管弦楽団であった。
その後、ヨーロッパに移ったので、アムステルダムで、ロイヤル・コンセルトヘヴォーの定期会員権を取得した。この時は、現代音楽主体のシリーズも含めて、3シリーズ手配したのだが、結構、忙しくて、出張に出たりして行けなくなることが多くて、それほど回数が多いとも思わなかった。
ところで、この2交響楽団については、定期会員権を、子供から孫へと継承する会員が多くて、その上に、会場が比較的こじんまりしていたこともあって、殆ど、市場には出ないために、大変取得が困難であったので、良いプログラムだからチケットを手配しようと思っても出来ないケースが多かった。
当時の感覚では、かなり安かった所為もあり、とにかく、前もってチケットを抑えておくに如くはなかった。
ところが、ロンドンに移った時には、ロンドン交響楽団の定期会員になったのだが、更改を忘れていると、催促の電話が架かって来たくらいだし、バービカンセンターの会場も広かったので、チケットの手配には、それ程苦労はなかった。
定期ではなかったが、フィルハーモニア管弦楽団やロイヤル・フィルなどにも出かけていたし、それに、ロイヤル・オペラはバレーと交互ながら、そして、イングリッシュ・ナショナル・オペラも毎日公演しているし、世界中から来る名だたるオーケストラが、毎夜の如く演奏会を繰り広げているので、結構出かけたけれども、特別な場合を除いては、それ程、チャンスをミスることはなかった。
ウィーン・フィルやベルリン・フィルなどのチケットも、それ程、高い値段ではなく、比較的容易に取れたし、ロイヤル・オペラも、同じように、家内と定期会員に入っていたので、オペラやバレーも、それなりに楽しめた。
日本の定期会員の場合にも、30%くらいは安いので、1~2回ミスっても、損にはならないのだが、ロンドンでは、日本の感覚よりも安かったし、それよりも、魅力的な公演をミスる方が心配だったので、定期会員券の魅力は、それなりにあったような感じがする。
尤も、パバロッティやドミンゴなどは、別枠で、この方は、結構取得困難か、または、高いかで、それなりの苦労はあった。
日本の場合には、そのようなケースは、まず、殆どないので、定期会員の場合の魅力は、お馴染みのオーケストラのチケットが、比較的安く手に入って、労せずして同じ席で、気楽にコンサートを楽しめると言うことであろうか。
この新日本フィルと都響の定期公演のコンサートには、やはり、クラシック音楽ファンが主体なので、おかしな所で拍手したりするようなことはまったくなく、非常に、観客マナーの良い演奏会だと思っている。
ところが、新日本フィルの場合には、毎回、同じ人が隣や近くの席に座っていてお馴染みと言う感じだが、都響の場合には、会場の広さもあるのだろうが、私の席の隣もそうだが、かなりの人が入れ替わっており、私のように、何時も同じ席に座っているファンは比較的少ないような感じがしている。
ところで、会場で、同オーケストラや、当日のゲスト指揮者やソリストなどのCDやDVDが売られているのだが、買っているファンが、結構多い。
私など、もう少し若くて、海外に居た時には、会場でCDや本を買って、サインを貰ったりしていたのだが、この頃は、歳の所為か、DVDは別だが、殆ど、新しいCDを買わなくなってしまった。
新日本フィルは、ロビーで、CD以外に、結構色々な面白いグッズを売っている。文化会館の売店は、特に、都響グッズと言うようなものは扱っていないようだが、外国のオペラハウスなどには、立派な売店があって、色々趣向を凝らしたキャラクター商品やグッズを売っていて、客で賑わっているし、結構楽しいのである。
日本の楽団経営も、何か、ファンを惹きつけるような斬新なアイディアを出せないものだろうかと思ったりしている。