昨日のWST電子版に、「新興国が自国通貨安防止の介入競争に―金融市場混乱のドル高受け」と言う記事が出て、本日の日経朝刊でも、「新興国が一転「自国通貨買い」 通貨安、経済への波及警戒 」と言う記事が載っていたのだが、ブラジルなど新興国の為替が急転直下下落したので、その防衛のために、自国通貨買いに走ったと言うのである。
この現象は、「世界同時株安など金融市場の混乱で、資金がここに来て米ドルに集中逃避、各通貨がドルに対して急落するのを受けた動きだ。」とWSJは言う。
日経は、「 各国通貨の下落は、世界景気の不透明感が強まる中で、機関投資家が株式などのリスク資産から、ドルや円など安全とされる資産に資金を移動させている動きの影響。21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が経済の先行きに「深刻な下振れリスクがある」と指摘したのも、売りに拍車をかけた。
急激な通貨安はインフレや外貨借り入れをする企業の負担増につながることから、各国は通貨防衛を迫られた形だ。」と報じている。
この新興国通貨が、世界経済の減速懸念で、売り対象になったのは、既に、今月の初めくらいから起こって来た現象だが、世界全体が、今回の経済危機には、無傷では済まされないと言う深刻な状態に陥っていると言うことを意味している。
要するに、欧米日など先進国経済が暗礁に乗り上げていて、新興国が、世界経済の牽引車だとか、ディカップリングだと言われてもいても、結局は、張り子の虎であって、有事には、信頼性がなくなり、一気に、逃げ足の速い世界中を浮遊している膨大な資金は、ドルなどのハードカレンシーに、シフトしてしまうと言うことである。
この現象は、リーマンショック以前に、ベルリンの壁崩壊後、東欧諸国の経済発展を見越して、破竹の勢いで雪崩れ込んでいた資金が、世界的金融危機時に、一気に引き上げられて、東欧諸国経済を窮地に陥れたケースと、殆ど同じであろう。
問題は、経済大国予備軍として高く評価されているブラジルなどの新興国が、現下のグローバル経済においては、まだまだ、力不足であって、欧米日に変り得る経済には、なり得ないと言うことである。
アメリカ経済の凋落だとか、ドル体制の黄昏だとか言われて久しいが、決して、そんな生易しいものではなく、世界の経済は、アメリカのドル依存体制であって、ドルの代替通貨は、有り得ないと言うことである。
あの大英帝国の凋落が、随分以前から始まっていたのだが、結局、イギリス・ポンドがアメリカ・ドルに、覇権を譲り渡したのは、何十年も後になってからだと言うことからも、おいそれと、ドル体制が崩壊するなどと考えない方が良いと言うことであろう。
ブラジルが、アメリカなどの先進国の金融緩和と超低金利で、余剰資金が新興国にラッシュして、ブラジルレアルの実効レートが2006年比で40%上昇(インフレ調整後)する異常なレアル高を引き起こして、国内製造業に大打撃を与え、異常な物価高となり、国際金融戦争だと騒いでいたのは、極最近のこと。
しかし、レアルは、世界最高の政策金利12.5%を12%に下げたのは、ほんの、先月末のことで、その後下げ足を速め、更に投げ売りが重なり、22日の取引時間中には8月末比で下げ率が一時18%超となる1ドル=1.95レアル前後をつけたと言うのだから凄まじい。
ところで、このような危機的な状況下でも、スイス・ポンドの防衛策の実施もあって、日本円は、いまだに、1ドル76円台で、その異常高が収束する気配はない。
一説には、日本円は、最弱の通貨であって、過大評価も甚だしいと言う理論もあるようだが、しかし、この高値水準は、避難通貨としての価値だけでもなさそうである。
円高になると、日本企業の収益悪化がメディアで騒がれるが、海外貿易や海外との取引の大きな会社で、為替の変動に対する、特に、円高に対する然るべき対策を取っていない企業があるとするならば、余程、経営が拙いか、危ない会社である。
しかし、円高だけが原因ではなかろうけれど、需要の見込める新興国や発展途上国へ、どんどん大企業が、海外へシフトして行けば、海外へ脱出など出来ない下請けの中小企業などに対する影響は甚大であろう。
それに、雇用に対して、益々深刻度が増して行く。
今回の異常高で呻吟していた新興国の為替が、逆転して暴落した例でも分かるように、為替の変動は、その国のファンダメンタルなどの反映で動くのではなく、あくまで、国際経済の動向や投機筋の思惑など色々な要因が重なるなど、予測困難な要因が原因となっているようである。
それに、政府は然るべき処置をとるなどとよく言うが、日本だけの為替介入など、殆ど役に立たない。
日本の国家債務の状態は、ジャック・アタリが、4~5年でダメになると言っているが、私は、為替に関しては、これまでのインフレ率を勘案したり、マクドナルド・ビックマック指数など購買力平価などの面から考えて、現在の円の水準は、それ程異常だと思ってはいない。むしろ、これまで、輸出経済重視のために円安政策を取って、為替の自由な変動を避けて、円安を維持し続けたことに問題があり、政府も企業もそれに慣れきってしまったのである。
話がそれてしまったが、BRIC'sなどの新興国については、ヨーロッパの金融危機を救済すると言う話があったが、自分たちの経済に火がついていてそれどころではないと言う状態であったし、今回の為替の変動で右往左往しているように、あまり、期待しない方が良いと言うことである。
この現象は、「世界同時株安など金融市場の混乱で、資金がここに来て米ドルに集中逃避、各通貨がドルに対して急落するのを受けた動きだ。」とWSJは言う。
日経は、「 各国通貨の下落は、世界景気の不透明感が強まる中で、機関投資家が株式などのリスク資産から、ドルや円など安全とされる資産に資金を移動させている動きの影響。21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が経済の先行きに「深刻な下振れリスクがある」と指摘したのも、売りに拍車をかけた。
急激な通貨安はインフレや外貨借り入れをする企業の負担増につながることから、各国は通貨防衛を迫られた形だ。」と報じている。
この新興国通貨が、世界経済の減速懸念で、売り対象になったのは、既に、今月の初めくらいから起こって来た現象だが、世界全体が、今回の経済危機には、無傷では済まされないと言う深刻な状態に陥っていると言うことを意味している。
要するに、欧米日など先進国経済が暗礁に乗り上げていて、新興国が、世界経済の牽引車だとか、ディカップリングだと言われてもいても、結局は、張り子の虎であって、有事には、信頼性がなくなり、一気に、逃げ足の速い世界中を浮遊している膨大な資金は、ドルなどのハードカレンシーに、シフトしてしまうと言うことである。
この現象は、リーマンショック以前に、ベルリンの壁崩壊後、東欧諸国の経済発展を見越して、破竹の勢いで雪崩れ込んでいた資金が、世界的金融危機時に、一気に引き上げられて、東欧諸国経済を窮地に陥れたケースと、殆ど同じであろう。
問題は、経済大国予備軍として高く評価されているブラジルなどの新興国が、現下のグローバル経済においては、まだまだ、力不足であって、欧米日に変り得る経済には、なり得ないと言うことである。
アメリカ経済の凋落だとか、ドル体制の黄昏だとか言われて久しいが、決して、そんな生易しいものではなく、世界の経済は、アメリカのドル依存体制であって、ドルの代替通貨は、有り得ないと言うことである。
あの大英帝国の凋落が、随分以前から始まっていたのだが、結局、イギリス・ポンドがアメリカ・ドルに、覇権を譲り渡したのは、何十年も後になってからだと言うことからも、おいそれと、ドル体制が崩壊するなどと考えない方が良いと言うことであろう。
ブラジルが、アメリカなどの先進国の金融緩和と超低金利で、余剰資金が新興国にラッシュして、ブラジルレアルの実効レートが2006年比で40%上昇(インフレ調整後)する異常なレアル高を引き起こして、国内製造業に大打撃を与え、異常な物価高となり、国際金融戦争だと騒いでいたのは、極最近のこと。
しかし、レアルは、世界最高の政策金利12.5%を12%に下げたのは、ほんの、先月末のことで、その後下げ足を速め、更に投げ売りが重なり、22日の取引時間中には8月末比で下げ率が一時18%超となる1ドル=1.95レアル前後をつけたと言うのだから凄まじい。
ところで、このような危機的な状況下でも、スイス・ポンドの防衛策の実施もあって、日本円は、いまだに、1ドル76円台で、その異常高が収束する気配はない。
一説には、日本円は、最弱の通貨であって、過大評価も甚だしいと言う理論もあるようだが、しかし、この高値水準は、避難通貨としての価値だけでもなさそうである。
円高になると、日本企業の収益悪化がメディアで騒がれるが、海外貿易や海外との取引の大きな会社で、為替の変動に対する、特に、円高に対する然るべき対策を取っていない企業があるとするならば、余程、経営が拙いか、危ない会社である。
しかし、円高だけが原因ではなかろうけれど、需要の見込める新興国や発展途上国へ、どんどん大企業が、海外へシフトして行けば、海外へ脱出など出来ない下請けの中小企業などに対する影響は甚大であろう。
それに、雇用に対して、益々深刻度が増して行く。
今回の異常高で呻吟していた新興国の為替が、逆転して暴落した例でも分かるように、為替の変動は、その国のファンダメンタルなどの反映で動くのではなく、あくまで、国際経済の動向や投機筋の思惑など色々な要因が重なるなど、予測困難な要因が原因となっているようである。
それに、政府は然るべき処置をとるなどとよく言うが、日本だけの為替介入など、殆ど役に立たない。
日本の国家債務の状態は、ジャック・アタリが、4~5年でダメになると言っているが、私は、為替に関しては、これまでのインフレ率を勘案したり、マクドナルド・ビックマック指数など購買力平価などの面から考えて、現在の円の水準は、それ程異常だと思ってはいない。むしろ、これまで、輸出経済重視のために円安政策を取って、為替の自由な変動を避けて、円安を維持し続けたことに問題があり、政府も企業もそれに慣れきってしまったのである。
話がそれてしまったが、BRIC'sなどの新興国については、ヨーロッパの金融危機を救済すると言う話があったが、自分たちの経済に火がついていてそれどころではないと言う状態であったし、今回の為替の変動で右往左往しているように、あまり、期待しない方が良いと言うことである。