『国家は破綻する――金融危機の800年』の著書ハーバードのケネス・ロゴフ教授のプロジェクトシンジケートの論文
Will This COP Be Different? Nov1,2021 Kenneth Rogoff, を考えてみる。
まず、ログフ教授の論文の概要は、次の通り。
地球温暖化を1.5度以下に維持すると言うことは、可能であろうが非常にハードルが高い。
グラスゴーのCOP26で、グリーンエネルギー源について議論は沸騰しているが、パリ協定にも拘わらず、現下では、いまだに、化石燃料へのグローバルエネルギー依存率は80%だと言う事実を看過できない。多くの国家の経済が、パンデミック以前の状態に回復していないにもかかわらず、2021年には史上2番目に高い炭酸ガス排出量を記録している。
IEAの世界エネルギー見通し2021年版では、地球温暖化を制限するために何ができるかに重点を置くことによって楽観的なノートを出している。
しかし同時に、「ドアを摂氏1.5度に開いておく」には、非常に多くの可動部分、革新、適応、そして、犠牲が含まれており、ほとんどのエコノミストが必要だと考えているグローバルな炭素価格なしで、どのように機能するかのを見通すのは難しい。特に、炭素税は、国家計画者が単に達成できない方法で、排出削減の取り組みにインセンティブを与えて調整し、それに応じてリソースを割り当てる。
炭素税の考えは、米国では依然として政治的な難問である。それは最近の予算交渉で一時的に議論されたが、即時却下された。代わりに、バイデン大統領は、電気自動車への移行や化石燃料開発の終結など、良いアイデアではあるが、炭素税よりもはるかに高価で効率が悪い措置を推進せざるを得なかった。
EUは、排出量取引システム(炭素税に代わるキャップ・アンド・トレード・オプション)を導入して、炭素プライシングへの進展を遂げた。それでも、このスキームは現在、EUの温室効果ガス(GHG)排出量の約50%しかカバーしておらず、残りの多くは手付かずである。
その後、新興国や低所得国の政策立案者は、気候変動対策のために自国の経済発展を減速させるリスクを求められると、非常に皮肉に反応するのも不思議ではない。彼らの多くは、代わりに、地球規模の気候協定が、総ての国に、一人当たりの排出量を同様のレベルに達成すべくプッシュしないのかと疑問を呈している。
世界の炭素税が魔法のように通過したとしても、世界は、発展途上国に、将来の主要な排出国にならないように、資源とノウハウを与えるべきメカニズムを必要とする。私は、技術的な専門知識を収容し、ベストプラクティスの交換を促進し、低所得国へ数千億ドルの助成金と融資を促進する専用の世界炭素銀行を設立するという考えを推進した。
途上国からのバイインは不可欠です。世界のCO2排出量の30%を占める石炭は、インドや中国などの国々で安価で豊富に産出する。21カ国が石炭火力発電の段階的廃止を約束しているが、ほぼ総てがヨーロッパ諸国であり、世界の石炭火力発電所の約5%しか占めっていない。しかし、中国単独で、世界の石炭火力発電の半分を占めており、ヴェトナムなど他の諸国が自身で更に石炭発電所を作ろうとしている。
さらに、炭素税があっても、規制当局は、風力タービンを建設できる場所、従来の石炭火力発電所の段階的廃止方法、移行エネルギー源として天然ガスをどの程度使用できるかを決定するなど、無数の問題に取り組む必要がある。
風力と太陽光は断続的なエネルギー源であるので、原子力発電を強化するための新たな強い推進の動きがある。これは、大規模な発電所と原子力潜水艦で使用されている小規模発電機の両方を構築しようと、はるかに安全な近代的な技術を使用することを目論む。
緑の政党はそのような考えに固執するかもしれないが、気候リテラシーはエネルギーリテラシーと融合させる必要がある。2050年までに「ネットゼロ」のCO2排出量を達成するためには、その時には世界人口が現在よりも20億人増加している可能性があるので、諸種のの困難な選択が必要となる。
政策立案者や国民にこれらの選択に立ち向かうよう説得することは容易ではない。今夏風が不足して、ヨーロッパに、現在のエネルギー危機を知らしめたので、指導者達に、ロシアのプーチン大統領に、より多くの天然ガスの供給を期待させた。同様に、エネルギー価格が今年の冬に高騰しているので、バイデンは、彼の政権が国内の化石燃料生産を減らそうとしているにも拘わらず、OPEC諸国に、石油の増産を求めている。
化石燃料投資の資本を遮断することを目的とするESG投資は大流行しており、しばらくは、良好なリターンを示していているのだが、エネルギー価格が再び急騰すると、そうではなくなるかも知れない。いずれにせよ、米国やオーストラリアを含む先進国が化石燃料探査を禁止したとしても、発展途上国は、自国のCO2排出資源の搾取を拡大する強力なインセンティブを持ち続けることになろう。
IEAは、たとえ困難なターゲットであろうとも、地球温暖化を達成可能な目標として摂氏1.5度に制限しようと考え続けようとしていることは励みになる。残念ながら、この目標を達成するための政治的努力が、科学者が地球がどうなるかを語るのと同じように、同じくらい速くヒートアップするかどうかは、非常に問題である。
したがって、気候サミットに関しては、COP26が魅力的な結果を示すことを願うのみである。
多少の誤訳はあるかも知れないが、以上がロゴフ教授の見解である。
一般的な考え方の叙述なので、新鮮味はないのだが、カーボンプライシングでの多少の進展があったとしても、私が、地球温暖化や環境問題について、このブログで書き続けてきたことから殆ど進展がなく、グローバルベースの無為無策の対応が続いているだけで、どんどん、状況が悪化して行って、このままでは、煮えガエル状態のまま、タイムアウトしてしまうような気がして仕方がない。
トランプのような徒花が咲いて軌道を外し、やっと4年後に、バイデンが登場して焦っても、環境対策予算が暗礁に乗り上げ、中国やロシアが欠席するCOP26で、どんな実りある進展が見られるのか、期待出来そうにないように思う。
人類が自分自身で地球温暖化を悪化させて、地球を窮地に追い込んでエコシステムを破壊し、世界中で、今までに経験したことのないような破壊的かつ壊滅的な異常気象に叩かれて呻吟しているにも拘わらず、殆どの人には、目に見えた形で死地を彷徨うような経験がないので、まさに他人事。
早く目覚めないと、宇宙船地球号が壊れてしまう。
Will This COP Be Different? Nov1,2021 Kenneth Rogoff, を考えてみる。
まず、ログフ教授の論文の概要は、次の通り。
地球温暖化を1.5度以下に維持すると言うことは、可能であろうが非常にハードルが高い。
グラスゴーのCOP26で、グリーンエネルギー源について議論は沸騰しているが、パリ協定にも拘わらず、現下では、いまだに、化石燃料へのグローバルエネルギー依存率は80%だと言う事実を看過できない。多くの国家の経済が、パンデミック以前の状態に回復していないにもかかわらず、2021年には史上2番目に高い炭酸ガス排出量を記録している。
IEAの世界エネルギー見通し2021年版では、地球温暖化を制限するために何ができるかに重点を置くことによって楽観的なノートを出している。
しかし同時に、「ドアを摂氏1.5度に開いておく」には、非常に多くの可動部分、革新、適応、そして、犠牲が含まれており、ほとんどのエコノミストが必要だと考えているグローバルな炭素価格なしで、どのように機能するかのを見通すのは難しい。特に、炭素税は、国家計画者が単に達成できない方法で、排出削減の取り組みにインセンティブを与えて調整し、それに応じてリソースを割り当てる。
炭素税の考えは、米国では依然として政治的な難問である。それは最近の予算交渉で一時的に議論されたが、即時却下された。代わりに、バイデン大統領は、電気自動車への移行や化石燃料開発の終結など、良いアイデアではあるが、炭素税よりもはるかに高価で効率が悪い措置を推進せざるを得なかった。
EUは、排出量取引システム(炭素税に代わるキャップ・アンド・トレード・オプション)を導入して、炭素プライシングへの進展を遂げた。それでも、このスキームは現在、EUの温室効果ガス(GHG)排出量の約50%しかカバーしておらず、残りの多くは手付かずである。
その後、新興国や低所得国の政策立案者は、気候変動対策のために自国の経済発展を減速させるリスクを求められると、非常に皮肉に反応するのも不思議ではない。彼らの多くは、代わりに、地球規模の気候協定が、総ての国に、一人当たりの排出量を同様のレベルに達成すべくプッシュしないのかと疑問を呈している。
世界の炭素税が魔法のように通過したとしても、世界は、発展途上国に、将来の主要な排出国にならないように、資源とノウハウを与えるべきメカニズムを必要とする。私は、技術的な専門知識を収容し、ベストプラクティスの交換を促進し、低所得国へ数千億ドルの助成金と融資を促進する専用の世界炭素銀行を設立するという考えを推進した。
途上国からのバイインは不可欠です。世界のCO2排出量の30%を占める石炭は、インドや中国などの国々で安価で豊富に産出する。21カ国が石炭火力発電の段階的廃止を約束しているが、ほぼ総てがヨーロッパ諸国であり、世界の石炭火力発電所の約5%しか占めっていない。しかし、中国単独で、世界の石炭火力発電の半分を占めており、ヴェトナムなど他の諸国が自身で更に石炭発電所を作ろうとしている。
さらに、炭素税があっても、規制当局は、風力タービンを建設できる場所、従来の石炭火力発電所の段階的廃止方法、移行エネルギー源として天然ガスをどの程度使用できるかを決定するなど、無数の問題に取り組む必要がある。
風力と太陽光は断続的なエネルギー源であるので、原子力発電を強化するための新たな強い推進の動きがある。これは、大規模な発電所と原子力潜水艦で使用されている小規模発電機の両方を構築しようと、はるかに安全な近代的な技術を使用することを目論む。
緑の政党はそのような考えに固執するかもしれないが、気候リテラシーはエネルギーリテラシーと融合させる必要がある。2050年までに「ネットゼロ」のCO2排出量を達成するためには、その時には世界人口が現在よりも20億人増加している可能性があるので、諸種のの困難な選択が必要となる。
政策立案者や国民にこれらの選択に立ち向かうよう説得することは容易ではない。今夏風が不足して、ヨーロッパに、現在のエネルギー危機を知らしめたので、指導者達に、ロシアのプーチン大統領に、より多くの天然ガスの供給を期待させた。同様に、エネルギー価格が今年の冬に高騰しているので、バイデンは、彼の政権が国内の化石燃料生産を減らそうとしているにも拘わらず、OPEC諸国に、石油の増産を求めている。
化石燃料投資の資本を遮断することを目的とするESG投資は大流行しており、しばらくは、良好なリターンを示していているのだが、エネルギー価格が再び急騰すると、そうではなくなるかも知れない。いずれにせよ、米国やオーストラリアを含む先進国が化石燃料探査を禁止したとしても、発展途上国は、自国のCO2排出資源の搾取を拡大する強力なインセンティブを持ち続けることになろう。
IEAは、たとえ困難なターゲットであろうとも、地球温暖化を達成可能な目標として摂氏1.5度に制限しようと考え続けようとしていることは励みになる。残念ながら、この目標を達成するための政治的努力が、科学者が地球がどうなるかを語るのと同じように、同じくらい速くヒートアップするかどうかは、非常に問題である。
したがって、気候サミットに関しては、COP26が魅力的な結果を示すことを願うのみである。
多少の誤訳はあるかも知れないが、以上がロゴフ教授の見解である。
一般的な考え方の叙述なので、新鮮味はないのだが、カーボンプライシングでの多少の進展があったとしても、私が、地球温暖化や環境問題について、このブログで書き続けてきたことから殆ど進展がなく、グローバルベースの無為無策の対応が続いているだけで、どんどん、状況が悪化して行って、このままでは、煮えガエル状態のまま、タイムアウトしてしまうような気がして仕方がない。
トランプのような徒花が咲いて軌道を外し、やっと4年後に、バイデンが登場して焦っても、環境対策予算が暗礁に乗り上げ、中国やロシアが欠席するCOP26で、どんな実りある進展が見られるのか、期待出来そうにないように思う。
人類が自分自身で地球温暖化を悪化させて、地球を窮地に追い込んでエコシステムを破壊し、世界中で、今までに経験したことのないような破壊的かつ壊滅的な異常気象に叩かれて呻吟しているにも拘わらず、殆どの人には、目に見えた形で死地を彷徨うような経験がないので、まさに他人事。
早く目覚めないと、宇宙船地球号が壊れてしまう。