「老化」を遅らせるためには、どうするか。
シンクレア教授は、「今あるような老化に終止符を打つために、すぐにも出来る対処法や、現在開発中の新しい医学療法を紹介する。これを用いれば、老化を遅らせ、食い止め、あるいは逆転させるのも夢ではない。」と言うのだが、その対処法について詳細に語っているものの、一足飛びに結論に至っているのではなく、身近な処方箋から語っている。
今回は、最も初歩である長寿遺伝子を今すぐ働かせて「健康長寿のために誰もが取り組める方法」について紹介してみたい。
結果的には、「なんや、そんもん、常識やないか」と言うことに近いかもしれないのだが、高度な理論的裏付けあっての処方箋なので、聞く価値はある。
間違いなく確実な方法は、食べる量を減らすことである。
ヒポクラテス以来医師達は食べる量を制限することが如何に有効か説き続けてきている。キリスト教の「七つの大罪」にある「貪欲」を慎むだけではなく「意図的な禁欲」によって量を抑えることである。
勿論、栄養失調や飢餓状態ではダメなのは当然だが、モノに溢れたこの恵まれた世界にあっては、一般的な許容限度以上にたびたび体を欠乏状態に追い込むことである。
カロリー制限を通して、体を「ギリギリの状態」に保ち、体の健康な機能を保てるくらいの食物を食べ、決してそれ以上にしなければ、サバイバル機能が始動して、原初の昔から行われてきた仕事をせよと長寿遺伝子に命じることが出来る。細胞の防衛機能を高め、環境が厳しいときに生命を維持し、病気や体の劣化を防ぎ、エピゲノムの変化を最小限に留め、老化を遅らせることが出来る。
100歳以上の住民が多い沖縄での1978年の調査では、児童の摂取する総カロリー量は本土の児童の3分の2に満たず、成人の総カロリー量も本土の成人よりも20%低かったが、長生きするだけではなく健康寿命も長く、しかも、脳血管系疾患、悪性腫瘍、心臓病が非常に少なかった。と言う。
カロリー制限で長寿効果を得るのに「年齢の上限」のようなものはなさそうだが、始めるなら遅いより早い方が良く、分子レベルで見た場合、下り坂に差し掛かるのは40歳を過ぎた辺りだと言う。
しかし、寿命を延ばし、心臓病や糖尿病、脳卒中やがんを防ぐ効果があると言っても、欠食児童状態を年中続けるなどは「正気の沙汰」とも思えない。
食物が足りない時の遺伝子の反応を確実に再現できれば良いので、なにものべつ幕なしに腹を空かせなくても、
「間欠的断食」という画期的な健康増進法がある。
方法には色々あって、
朝食を抜いて遅い昼食を取る、週に2回はカロリーを75%に減らす、週に2~3日は一切食物を摂らない、毎月1週間を空腹で過ごす、等々、各種モデルを組み合わせても良い。
もう一つは、寒さに身をさらして長寿遺伝子を働かせることである。
夜通し窓を1枚だけ開けておいたり、眠るときに厚い毛布を使わなかったり、少しばかり寒さを味わうことで、活性脂肪細胞のミトコンドリアを活性化でき、長寿遺伝子を働かせられると言うのである。
ところで、逆に体を温めること、サウナに効果があるのかということだが、ハッキリしないと言うのが興味深い。
運動が良いのは勿論で、運動によって、数々の長寿遺伝子がプラス方向に調整される。
そのお陰で、テロメアが伸びる、細胞に酸素を運ぶ新しい微細血管ができる、ミトコンドリアの活動が高まって化学エネルギーが増えると言った効果が現われる。こうした機能は加齢と共に減少するので、運動によるストレスの影響を最も強く受ける遺伝子が、それらの機能を若い頃の水準に引き戻してくれる。
気楽なウォーキングはやらないよりはマシだが、一番効果があるのは、呼吸は速く深くなり一息つかないと二言三言しゃべれない程度の低酸素応答と呼ばれるストレス状態だという。
いずれにしろ、断食と運動を組み合わせたら、寿命は長くなること間違いなしだという。
さて、野菜を増やして肉を減らし、加工食品よりは生鮮食品の方が良いと言うことは、誰もが知っている。
アミノ酸を摂取しないと、人間はかなり短期間に死ぬ。
肉類には9つの必須アミノ酸が総べて含まれていて、手軽なエネルギー源ではあるが、肉自体がきけんであって、心血管系疾患による死亡率とがんの発症率が共に高まり、特に加工した赤身肉がいけない。ホットドッグやソーセージ、ハムにベーコン、恐ろしく発がん性が高く、結腸・直腸がん、膵臓がん、前立腺がんとの関連が確認されている。
動物性タンパク質の代わりに、もっと、植物性タンパク質を摂れば、全死因死亡率が著しくさがる。
たばこや有害な化学物質、放射線は老化を早める。
人や車の多い都市部では、ただ息を吸い込むだけでDNAを傷つけるのには十分であり、あっちこっちに、プラスチック、溶剤や雑脂剤、農薬や油圧作動液、有機ハロゲン化合物・・・DNA損傷因子に取り巻かれていて、逃げようがない。
有効な薬はないのであろうか。
シンクレア教授は、「今あるような老化に終止符を打つために、すぐにも出来る対処法や、現在開発中の新しい医学療法を紹介する。これを用いれば、老化を遅らせ、食い止め、あるいは逆転させるのも夢ではない。」と言うのだが、その対処法について詳細に語っているものの、一足飛びに結論に至っているのではなく、身近な処方箋から語っている。
今回は、最も初歩である長寿遺伝子を今すぐ働かせて「健康長寿のために誰もが取り組める方法」について紹介してみたい。
結果的には、「なんや、そんもん、常識やないか」と言うことに近いかもしれないのだが、高度な理論的裏付けあっての処方箋なので、聞く価値はある。
間違いなく確実な方法は、食べる量を減らすことである。
ヒポクラテス以来医師達は食べる量を制限することが如何に有効か説き続けてきている。キリスト教の「七つの大罪」にある「貪欲」を慎むだけではなく「意図的な禁欲」によって量を抑えることである。
勿論、栄養失調や飢餓状態ではダメなのは当然だが、モノに溢れたこの恵まれた世界にあっては、一般的な許容限度以上にたびたび体を欠乏状態に追い込むことである。
カロリー制限を通して、体を「ギリギリの状態」に保ち、体の健康な機能を保てるくらいの食物を食べ、決してそれ以上にしなければ、サバイバル機能が始動して、原初の昔から行われてきた仕事をせよと長寿遺伝子に命じることが出来る。細胞の防衛機能を高め、環境が厳しいときに生命を維持し、病気や体の劣化を防ぎ、エピゲノムの変化を最小限に留め、老化を遅らせることが出来る。
100歳以上の住民が多い沖縄での1978年の調査では、児童の摂取する総カロリー量は本土の児童の3分の2に満たず、成人の総カロリー量も本土の成人よりも20%低かったが、長生きするだけではなく健康寿命も長く、しかも、脳血管系疾患、悪性腫瘍、心臓病が非常に少なかった。と言う。
カロリー制限で長寿効果を得るのに「年齢の上限」のようなものはなさそうだが、始めるなら遅いより早い方が良く、分子レベルで見た場合、下り坂に差し掛かるのは40歳を過ぎた辺りだと言う。
しかし、寿命を延ばし、心臓病や糖尿病、脳卒中やがんを防ぐ効果があると言っても、欠食児童状態を年中続けるなどは「正気の沙汰」とも思えない。
食物が足りない時の遺伝子の反応を確実に再現できれば良いので、なにものべつ幕なしに腹を空かせなくても、
「間欠的断食」という画期的な健康増進法がある。
方法には色々あって、
朝食を抜いて遅い昼食を取る、週に2回はカロリーを75%に減らす、週に2~3日は一切食物を摂らない、毎月1週間を空腹で過ごす、等々、各種モデルを組み合わせても良い。
もう一つは、寒さに身をさらして長寿遺伝子を働かせることである。
夜通し窓を1枚だけ開けておいたり、眠るときに厚い毛布を使わなかったり、少しばかり寒さを味わうことで、活性脂肪細胞のミトコンドリアを活性化でき、長寿遺伝子を働かせられると言うのである。
ところで、逆に体を温めること、サウナに効果があるのかということだが、ハッキリしないと言うのが興味深い。
運動が良いのは勿論で、運動によって、数々の長寿遺伝子がプラス方向に調整される。
そのお陰で、テロメアが伸びる、細胞に酸素を運ぶ新しい微細血管ができる、ミトコンドリアの活動が高まって化学エネルギーが増えると言った効果が現われる。こうした機能は加齢と共に減少するので、運動によるストレスの影響を最も強く受ける遺伝子が、それらの機能を若い頃の水準に引き戻してくれる。
気楽なウォーキングはやらないよりはマシだが、一番効果があるのは、呼吸は速く深くなり一息つかないと二言三言しゃべれない程度の低酸素応答と呼ばれるストレス状態だという。
いずれにしろ、断食と運動を組み合わせたら、寿命は長くなること間違いなしだという。
さて、野菜を増やして肉を減らし、加工食品よりは生鮮食品の方が良いと言うことは、誰もが知っている。
アミノ酸を摂取しないと、人間はかなり短期間に死ぬ。
肉類には9つの必須アミノ酸が総べて含まれていて、手軽なエネルギー源ではあるが、肉自体がきけんであって、心血管系疾患による死亡率とがんの発症率が共に高まり、特に加工した赤身肉がいけない。ホットドッグやソーセージ、ハムにベーコン、恐ろしく発がん性が高く、結腸・直腸がん、膵臓がん、前立腺がんとの関連が確認されている。
動物性タンパク質の代わりに、もっと、植物性タンパク質を摂れば、全死因死亡率が著しくさがる。
たばこや有害な化学物質、放射線は老化を早める。
人や車の多い都市部では、ただ息を吸い込むだけでDNAを傷つけるのには十分であり、あっちこっちに、プラスチック、溶剤や雑脂剤、農薬や油圧作動液、有機ハロゲン化合物・・・DNA損傷因子に取り巻かれていて、逃げようがない。
有効な薬はないのであろうか。