熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日本の1人あたりGDP、世界22位

2024年12月25日 | 政治・経済・社会
   朝日新聞レジタルが、「日本の1人あたりGDP、世界22位 円安や高齢化影響、韓国下回る」と報じた。

   内閣府は23日、2023年の国民1人あたりの名目国内総生産(GDP)は米ドル換算で前年比0.8%減の3万3849ドルとなり、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位だったと発表した。21位の韓国(3万5563ドル)を下回り、22年も1人あたりGDPで日本を上回っていたことが判明した。OECD加盟国の順位で韓国に抜かれたのは初めてだった。と言う。
   国民1人あたりGDPは、石破茂首相が就任後初の所信表明演説で「増加」を掲げるなど、政権が重視する指標の一つだが、日本の順位は00年の2位をピークに下落の傾向が続く。22年はイタリアに抜かれ、14年ぶりにG7で最下位に転落した。
   専門家の「円安や日本企業の競争力の衰えだけでなく、高齢化が進んで1人あたりの稼ぐ力が低下したことも大きい」との分析を紹介し、
 名目GDPは物価の変動分も反映されるため、日本も円ベースの金額は物価高もあって増えたが、円安が進んだことで、ドル換算時の目減りの影響のほうが大きくなった。と言う。

   韓国に抜かれたことは、既に、このブログの22年1月の記事で、日刊SPA!が、”韓国に追い抜かれる日本。平均賃金や一人当たり実質GDPも…韓国人の本音は?”を引用して報じている。
   GDPの国際比較は、購買力平価だと比較的現実的だが、通常の米ドル評価では、為替レートが大きく関わるので、今日のように極端な円安の場合には、日本の順位が大きく下がる。今現在1ドル156円くらいだが、円高の時には1ドル80円を切っていた頃もあった筈で、倍近くで雲泥の差である。

   問題は、そんなことではなく、日本経済が失われた30年間、GDPが、500兆円台に止まって、殆ど実質的に成長しなかったことで、人口減でありながら、一人当たりのGDP成長も果々しくなく、足踏みしておれば追い抜かれるのは自明の理である。

   なぜ、日本経済が成長から見放されてしまったのか、何度もこのブログで書き続けてきた。
   経済成長の原動力たる日本企業の労働生産性が、先進国で最下位であり目も当てられない位低いことが元凶である。
   経済成長要因は、「全要素生産性の上昇、労働の増加、資本の増加」の3要素だが、日本の場合、人口増は少子高齢化でマイナス要因であり、投資も低迷しているので、経済成長のためには、全要素生産性の上昇アップ、すなわち、技術革新・規模の経済性・経営革新・労働能力の伸長・生産効率改善など幅広い分野の技術進歩が必須要件である。
   特に、少子高齢化で、移民を活用しない限り、労働人口減が急速に進み経済成長の足を引っ張るので、全要素生産性上昇率と資本装備率の上昇で労働生産性を上げて国際競争力を涵養して経済の質を向上させることが重要である。のだが、このエンジンが一向に始動しない。

   何故か。
   日本の経済政策の問題は、競争を喚起して積極的な企業の参入・退出を図らずに、特に、競争力をなくしたゾンビ企業を温存させる愚をおかし続けてきたこと、この企業の新陳代謝を促してイノベイティブな新規参入を促進できなかったことが、日本の生産性上昇率の低迷や国際競争力の低下の最大の原因になってきた。
   既得利権を死守する時代離れした旧態依然たる経済体制を抜本改革して、無用な民間企業への過度なセーフティーネットやサポートを取り外すなど、ゾンビ維持体制を駆逐すべきである。  
   シュンペーターの説いた創造的破壊者をどんどん生み出せるような経済社会を醸成すること、これしか生きる道はない。

   経済は成熟老成化して成長力を失い、平安無事でそこそこの生活水準に満足して、もういいかと、太平天国を決め込んで、活力も敢闘精神もなくした国民心理が恐ろしい。
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