ライブドア事件の頃から、東京地検が村上ファンドを狙っている旨の情報が飛び交っていたが、とうとうと言うべきか、やっとと言うべきか、今日、村上代表が逮捕された。
日本放送株に対するライブドアとのコラボレーションがインサイダー取引にあたり、証取法に違反だと言うわけである。
今回印象的だったのは、「証取の憲法である証券取引法を、株取引のプロ中のプロだと思っていた自分が犯してしまった。運用の一線から身を引くことに決めた。」と言う村上氏の発言である。
潔い所は良いとしても、株の取引や運用に対してあまりにも証券取引法に対しての理解と認識が甘すぎることを如実に示しており、これが、未熟な日本の証券市場の現状を端的に表しているような気がした。
上村早大教授が常に指摘しているように、法律だけアメリカから導入して、その法体系をバックアップする社会制度や仕組みを整備せずに野放しにした結果、このような不祥事が起こるのである。
与謝野大臣になって金融庁がやっと中央青山監査法人に対して営業停止命令を発動したが、監査法人と企業の馴れ合いは勿論のこと、粉飾決算等に対す財務諸表の正確さやコンプライアンスへの対応など企業のコーポレート・ガバナンスの欠如は甚だしく、いまだに、ゼネコンが談合監視システムを強化整備したと言って評価される時代なのである。
アメリカの場合の投資家を欺く企業や監査法人等の悪辣な手口については、クリントン時代に米証券取引委員会(SEC)委員長であったアーサー・レビットが自著「ウォール街の大罪」で実名を挙げて詳しく糾弾しているが、この国の場合は、悪を悪だと周知の上での犯罪なので、監獄行きの覚悟は出来ている。
ところが、日本の場合は、会社法(商法)や証取法の知識が十分ない上に、慣れと経験でのノンプロ達の経営であるから、村上代表のように殆ど違法行為をしているとか悪いことをしていると言う意識なしに法違反を犯している場合が多い。
ここに、日本の法制度に問題があり、後から後から不祥事が発生することになる。
しかし、中央青山もそのままでの存続は有り得ないようだし、村上ファンドも場合によっては解体するかも知れないし、違法行為のツケは大きくなってきた。日本の法化社会もここまで進展して来たと言うことであろう。
ところで、世の中一般は、ホリエモンと連動させて、村上代表の場合も含めて、若者の金儲け主義一辺倒の生き方を問題にしているが、これは、アメリカや中国などの方が遥かに強くて、日本の場合はまだ生温い方である。
村上代表は、投資家の為に1円でも多く返すことを目的にして、株式運用によって7年間に2千億円の資金で2千億円儲け、時には60%のリターンがあったと言う。
村上氏自身はバリュー株を探し出して、本来の企業分析だけではなく、業績が良くて遊んでいる資金や資産を多く持っている企業を探して株式を購入して、経営人に高率配当と資産運用による株主価値の向上を迫る。
東京スタイルに対する高率配当や阪神へのタイガースの上場提案などその例であろう。
遊んでいる資産を有効活用して企業価値を向上させよ、それが出来なければ、余剰資金を株主に配当で返せ、と至極まともな論陣を張って、無能な経営者を追い詰めてきたのである。
このようなアクティビスト・ファンドの「モノ言う株主」として経営者に圧力をかけて株価を吊り上げると言う手法は、日本の経営には馴染まないので反発が強かったが、村上氏への米国投資家の利益要求プレッシャーはそれ以上であった筈である。
証取法違反は厳しく罰せられるべきである。しかし、今回のインサイダー的な取引は言語道断だが、多少悪辣でも、優良株への投資や資金の運用手法の卓越さ、そして、企業に対する経営改善要求による企業価値のアップ提言など、経営者に株主の存在を示し、経営に活を入れたと言うことは、ある意味では日本の経営に欠落していた部分であったかも知れなかった。
私は、今回の村上ファンド事件で、アメリカ証券界で一世を風靡したジャンクボンドの帝王「マイケル・ミルケン」を思い出した。
屑にしかすぎなかった業績不振企業のジャンクボンドを活用して大量の資金に流動性を与えて、これ等の企業を復興させ、今を時めく多くのベンチャー企業に資金を提供してアメリカ経済に起業家精神を蘇らせた。
証券業界を手玉に取ったが、結局は、やり過ぎて価格操作とインサイダー取引によって、禁固10年の実刑判決を受けて塀の向こうへ行ってしまった、IT革命の始まる前のことである。
資本主義のアザ花であろうか、いや違う、このような卓越した異端児が居たからこそ、資本主義、そして、経済社会が発展して来たのである。
しかし、これは、強い保安官のいるアメリカであるから言えることであって、証取法だけ進みすぎて、保安官のいない日本ではあってはならないことである。
日本放送株に対するライブドアとのコラボレーションがインサイダー取引にあたり、証取法に違反だと言うわけである。
今回印象的だったのは、「証取の憲法である証券取引法を、株取引のプロ中のプロだと思っていた自分が犯してしまった。運用の一線から身を引くことに決めた。」と言う村上氏の発言である。
潔い所は良いとしても、株の取引や運用に対してあまりにも証券取引法に対しての理解と認識が甘すぎることを如実に示しており、これが、未熟な日本の証券市場の現状を端的に表しているような気がした。
上村早大教授が常に指摘しているように、法律だけアメリカから導入して、その法体系をバックアップする社会制度や仕組みを整備せずに野放しにした結果、このような不祥事が起こるのである。
与謝野大臣になって金融庁がやっと中央青山監査法人に対して営業停止命令を発動したが、監査法人と企業の馴れ合いは勿論のこと、粉飾決算等に対す財務諸表の正確さやコンプライアンスへの対応など企業のコーポレート・ガバナンスの欠如は甚だしく、いまだに、ゼネコンが談合監視システムを強化整備したと言って評価される時代なのである。
アメリカの場合の投資家を欺く企業や監査法人等の悪辣な手口については、クリントン時代に米証券取引委員会(SEC)委員長であったアーサー・レビットが自著「ウォール街の大罪」で実名を挙げて詳しく糾弾しているが、この国の場合は、悪を悪だと周知の上での犯罪なので、監獄行きの覚悟は出来ている。
ところが、日本の場合は、会社法(商法)や証取法の知識が十分ない上に、慣れと経験でのノンプロ達の経営であるから、村上代表のように殆ど違法行為をしているとか悪いことをしていると言う意識なしに法違反を犯している場合が多い。
ここに、日本の法制度に問題があり、後から後から不祥事が発生することになる。
しかし、中央青山もそのままでの存続は有り得ないようだし、村上ファンドも場合によっては解体するかも知れないし、違法行為のツケは大きくなってきた。日本の法化社会もここまで進展して来たと言うことであろう。
ところで、世の中一般は、ホリエモンと連動させて、村上代表の場合も含めて、若者の金儲け主義一辺倒の生き方を問題にしているが、これは、アメリカや中国などの方が遥かに強くて、日本の場合はまだ生温い方である。
村上代表は、投資家の為に1円でも多く返すことを目的にして、株式運用によって7年間に2千億円の資金で2千億円儲け、時には60%のリターンがあったと言う。
村上氏自身はバリュー株を探し出して、本来の企業分析だけではなく、業績が良くて遊んでいる資金や資産を多く持っている企業を探して株式を購入して、経営人に高率配当と資産運用による株主価値の向上を迫る。
東京スタイルに対する高率配当や阪神へのタイガースの上場提案などその例であろう。
遊んでいる資産を有効活用して企業価値を向上させよ、それが出来なければ、余剰資金を株主に配当で返せ、と至極まともな論陣を張って、無能な経営者を追い詰めてきたのである。
このようなアクティビスト・ファンドの「モノ言う株主」として経営者に圧力をかけて株価を吊り上げると言う手法は、日本の経営には馴染まないので反発が強かったが、村上氏への米国投資家の利益要求プレッシャーはそれ以上であった筈である。
証取法違反は厳しく罰せられるべきである。しかし、今回のインサイダー的な取引は言語道断だが、多少悪辣でも、優良株への投資や資金の運用手法の卓越さ、そして、企業に対する経営改善要求による企業価値のアップ提言など、経営者に株主の存在を示し、経営に活を入れたと言うことは、ある意味では日本の経営に欠落していた部分であったかも知れなかった。
私は、今回の村上ファンド事件で、アメリカ証券界で一世を風靡したジャンクボンドの帝王「マイケル・ミルケン」を思い出した。
屑にしかすぎなかった業績不振企業のジャンクボンドを活用して大量の資金に流動性を与えて、これ等の企業を復興させ、今を時めく多くのベンチャー企業に資金を提供してアメリカ経済に起業家精神を蘇らせた。
証券業界を手玉に取ったが、結局は、やり過ぎて価格操作とインサイダー取引によって、禁固10年の実刑判決を受けて塀の向こうへ行ってしまった、IT革命の始まる前のことである。
資本主義のアザ花であろうか、いや違う、このような卓越した異端児が居たからこそ、資本主義、そして、経済社会が発展して来たのである。
しかし、これは、強い保安官のいるアメリカであるから言えることであって、証取法だけ進みすぎて、保安官のいない日本ではあってはならないことである。