熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ブラジルは未来大国なのか・・・その2

2006年12月17日 | 政治・経済・社会
   日経ビジネスの記事で、当時、活躍していたイシブラス(石川島播磨のブラジル法人)や進出直後のホンダについて書かれていたので面白く読んだ。
   イシブラスは、リオ・デ・ジャネイロに巨大な工場を構えて活躍しており、その現法の社長が日本本社の社長に横滑りしたのだから良好な業績を上げていたのであろう。
   しかし、その後の日本での造船不況でブラジルから撤退したようである。

   一方ホンダの方は、アマゾンのマナウスに新工場を建設して生産を始めた直後に、サンパウロの日本商工会議所の団体で視察に行ったことがある。
   ブラジル製の鉄の質が悪くてプレスすると割れてしまって燃料タンクが生産できないのだとエンジニアが嘆いていたのを思い出す。
   当時ブラジル政府は、国防上やアマゾン流域の開発を進めるために、北伯・アマゾン開発の為の税金を賦課して取っており、マナウスにフリーゾーンを設けて関税等で外資を優遇していた。
   現在、ブラジルの二輪車市場の8割をホンダが抑えていると言うが、市場から遠く離れていて、ろくに部品を生産できる下請けもなく、自然環境の熾烈なところで、それに、政変や異常な経済社会環境の中で、良く耐えに耐え頑張ってきたと思っている。

   このマナウスは、イギリス人がゴムの木の苗を密輸してマレーシアに持ち出すまでは、ゴムの唯一の生産地でゴム景気に沸く黄金郷であり、黄金張りの教会が建てられたり、素晴らしいオペラハウスが建設されエンリコ・カルーソもステージに立ったことがある。
   私の訪れた時は、滔々と流れて対岸の見えないアマゾンに河イルカが飛び跳ねていたが、暑過ぎて高級ホテルでもクーラーが効かず寝られなかったのを思い出す。
   この地域が工業化されて、地球上に残された唯一の巨大酸素供給源である熱帯雨林が破壊し続けられればどうなるか。エコシステムの破壊で、完全に人類は死滅してしまうことは間違いない。
   BRIC’s、BRIC’sと言って騒いでいる人類の愚かさ加減が、無性に悲しい。

   サンパウロに住んでいた頃、日本やアメリカから帰る時に、丁度空が白みかけた頃に、アマゾンの熱帯雨林の上空にさしかかる。
   何時間もこの景色が延々と続いていて途切れないほど巨大なのだが、濃緑の中を蛇行して光っているアマゾンを見ると、何故か何時も堪らなく懐かしく感じてブラジルに帰ってきたと言う感激を味わっていた。
   しかし、悲しいかな、この濃緑のジャングルも今やアバタだらけだと言う。
   
   サンパウロの南方のクリチーバやポルト・アレグレなどやウルグアイ国境にかけて、イタリアやドイツ移民の多い温暖で民度の高い開発された豊かな地方があるのだから、アマゾンに手をつけずに、何故この地方の開発で満足出来なかったのか疑問に感じたことがある。
   日本の場合にも、日本全国を同じ様に開発しようとしたが、特に、ブラジルの場合のアマゾンは特別の地域であるので、場合によっては、世界の国々がブラジルへ十分な見返りを提供してでも、国際管理にすべきほどの重要な意味を持つと思っている。

   日経ビジネスでは、味の素や日本の商社の活躍について書いているが、当時は、銀行や商社、保険会社等多くの日本企業が進出していたが、大体、ブラジルでの地場産業として活躍していた企業は少なくて、殆どは、進出していた日本企業間の仕事をしていたので、謂わば根無し草であった。
   従って、ブラジルが不況になってブラジルブームが収束すると殆どの企業が撤退した。現在日本企業が活躍しているのなら、第二の日本企業の進出回帰かも知れない。
   この傾向は、私がいたロンドンなどでも同じで、ブームだと大挙して進出するが、不況等で日本企業が撤退し始めると連鎖的に日本企業が撤退し、一挙に日本レストランや日本の百貨店の出店などで閑古鳥が鳴き始めて閉鎖に至る。
   今日では、日本の企業もメーカー等を筆頭にグローバル化した大企業が世界各地で地場産業として根付き始めているが、サービス産業の場合は、まだグローバル企業として伍して行く実力と実績には程遠く国際化の遅れを感じる。

   話は飛ぶが、BRIC’sの中では、中国とインドが脚光を浴びているが、私は、日本にとって、ブラジルが一番アプローチに適した国だと思っている。
   100万人以上の優秀な同胞の民が居ると言うことが最大の武器で、中国ビジネスでの華僑とのチャイニーズ・コネクションを見れば分かるし、インドと世界各国の印僑との強力な結び付きを見れば一目瞭然である。
   今も昔も、サンパウロには1%の日系人しか居ないのにサンパウロ大学の学生の10%は日系人であり、まだ、日系社会の日本社会への帰属意識は強いと言う。
   昔のように日系人を手足として使うのではなく一切のブラジルでの事業を任せる積もりでアプローチするのである。
   地球に残された数少ない秘境アマゾンにアプローチするのは反対だが、他のBRIC’sと比べても凌駕するような膨大な天然資源を擁するブラジルとのコラボレーションの価値は無尽蔵である。
   それに、時差が12時間あるので24時間ビジネスを展開できる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブラジルは未来大国なのか・... | トップ | ブラジルは未来大国なのか・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・経済・社会」カテゴリの最新記事