熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

経済と社会制度の発展の乖離・・・アルビン・トフラー

2006年06月14日 | 政治・経済・社会
   アルビン・トフラーが、久しぶりに素晴らしい本を出した。
  「富の未来 REVOLUTINARRY WEALTH」で、目に見える富と見えない富、急速に近づいてくる未来に生活や企業、世界のあり方を根底から変える革命的な形態の、未来の富について書いた本で、博学多識のトフラーの現代文明論が炸裂していて実に面白い。

   「フューチャー・ショック」と言う衝撃的な本で一世を風靡していたトフラーが、1980年に「第3の波 THE THIRD WAVE」と言う知識情報化産業社会の到来を高らかに歌い上げた本を書いて、またまた、世界を唸らせた。
   社会学者ダニエル・ベルの「脱工業化社会 THE POST-INDUSTORIAL SOCIETY」の理論を、もっと具体的に分かり易く書いた本で、未来学者としての面目躍如であった。
   待ち遠しくて、アメリカへ出張した同僚に頼んで買ってきてもらって貪り読んだのを覚えているが、俗に言われている脱工業化社会とか後工業社会とか知価社会とか情報産業化社会とか言われている現在の経済社会の発展段階を説明する用語の走りが、このトフラーの第3の波であり、ベルのポスト・インダストリアル社会なのである。

   この「富の未来」についてはこれをテーマにして、当分、ブログを書けそうだが、今回は、経済がどんどん進化して行くのに政治や社会システムがその動きについて行けずに危機的な状態にあるとして語っている「非同時化効果」について書いてみたい。

   先進国において、経済発展の速度が上がっているのに、社会の主要な制度が時代遅れになるのを放置しておくと、富を生み出す能力が低下する。
   封建的な制度が工業化の進展を妨げたように、今では、工業時代の官僚組織が、知識に基づいて富を生み出す先進的制度への動きを遅らせている、と言うのである。  

   トフラーは、速い車と遅い車に例えて各部門の発展速度を分析してこの理論を検証している。因みに、
   時速100キロ・・・企業
   時速90キロ・・・社会団体
   時速60キロ・・・アメリカの家族
   時速30キロ・・・労働組合
   時速25キロ・・・政府の官僚機構と規制機関
   時速10キロ・・・公教育制度
   時速5キロ・・・世界的な統治機関(IMF,WTO etc)
   時速3キロ・・・国の政治構造
   時速1キロ・・・法律
   これは、アメリカ社会の例であるが、何となく理解できるし、日本の社会にも当て嵌まる様な気がする。

   さて、急速な進歩と変化を遂げているのが企業だと言うことであるが、今日の日経で面白い記事が載っていた。
   GMのワゴナー会長が、トヨタに負けたことを認めた記事と、大手4社のゼネコンが談合を止めて叩き合いの競争に入ったので落札価格が20%以上も予定価格よりダウンして公費が助かったと言う記事である。
   国際競争の真っ只中で鎬を削って経営革新に邁進し先端技術を追求している輸出産業と、国際競争の波をモロに受けずに内需に胡坐をかいて時代に呼応したコーポレートガバナンスさえ満足に整備出来ない建設業との差なのであろうが、進歩の早いとトフラーが言う企業にもいろいろあると言うことである。
   
 
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2 コメント

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Unknown (ふくちゃん)
2006-06-27 00:41:02
はじめまして。ふくちゃんと申します。



私も富の未来を読みました。本当に時代が変わろうとしているのを感じました。

速度の差については、書いておられるように本当に興味深いですね。



今、変わりつつある未来について考える時が来ていると感じています!

みんなでWEBにより変わる未来を予想し、それによって未来を創りだそうというブログを作っています。



是非、一緒に未来について考えましょう。

一度ちょっと遊びにきて、ご意見などいただけると嬉しいです。



よろしくお願いします。
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第3の波 (ppp)
2006-07-17 14:34:03
私も第3の波を読んだ経験はあるのですが、今は本を消失してしまっています。富の未来は立ち読みだけしたのですが、スリリングで面白い本です。トフラー先生はひどく楽観的だと思いますが、ドラッカー先生も、eコマースが世の中を抜本的に変えるとおっしゃっていて、やはり情報技術というのは、印刷技術や蒸気機関のように、社会を変革するのかなあと未来に思いをはせています。私自身は、生物学専攻で、特許の仕事をしているので、情報技術よりも、バイオや知財が社会に与える影響のほうが気になるのですが、今のところは、この世の中は、ソフトウエアやインターネット主導で変化していくのだろうと思っています。私がこのコメントを書かせていただけて、ドラッカー先生の名前を挙げられるのも、確かにITの恩恵です。
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