熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

乱れ咲く 羽衣恋し たいつりそう・・・上野のぼたん

2007年04月22日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   今、上野の東照宮のぼたん苑で、春ぼたんが咲き乱れていて美しい。
   中国から特別に贈られてきたぼたんも多数あるようで、冬の清楚で静寂な雰囲気と違って、春のぼたんは非常に華やかで、その種類の多様さと華麗さに圧倒される。
   回遊式の庭園にびっしりとぼたんが植えられていて、ゆっくり歩きながらぼたんを鑑賞し、五重塔や東照宮本殿の建物が見渡せる一番奥の庭園の赤い毛氈の床机に腰をかけて、名物の甘酒を頂いてほっとすると言う寸法なのだが、毎年同じことを繰り返しながらもこれが結構楽しいのである。

   冬のぼたんは藁のコモを被っているが、春のぼたんの木の上には白い番傘が立てかけられている。
   永く行っていないので、長谷寺や二上山の麓にある石光寺の雰囲気は分からないが、大和でもあり、確かもっと広々としたところで大らかに咲いていたような気がしている。
   昔から、古社寺の襖絵など豪快なぼたんの障壁画を見ているが、故宮博物館など中国博物館や美術館で見た絵なども、とにかく、豪華絢爛と言った感じで、やはり、中国では花の王様なのであろう、扱い方が違うような気がする。

   私は、キューガーデンによく通ったが、何故か、ぼたんの記憶はない。
   シャクヤクばかりで、それも、栽培農園の方でしか見た記憶がないが、ヨーロッパ人は、大体、トピアリーや生垣以外には、日本のように木を剪定するとか切り戻すとと言ったことには興味がないような気がしているのだが、ぼたんが少ないような気がするのはその所為であろうか。
   オランダの花の絵でも、チューリップは嫌に多いが、ぼたんの花の絵の記憶はない。

   ところで、上野のぼたん苑で、シャクヤクも植わっているが、一つだけ異質な花は、この口絵写真の花・苛包牡丹(たいつりそう)である。別名はケマンソウである。
   葉や茎は全くと言って良いほどぼたんに似ているが、しかし、これは、ケシ科コマクサ族の花で、ぼたんはボタン科の花であるから違う種類の花である。
   ひょろりと伸びた釣竿のような茎に、タイを釣った時のように2~3センチの小さな花が一列に並んでぶら下がって咲いているのだが、面白いので携帯で写している人が多い。
   タイと言うよりは、ピンクの可愛いカブトガニのような雰囲気だが、ピンク色の優雅なハート型の蕾の下が裂けていて白い突起が出ているがこれが花のようである。
   面白いのは、真ん中あたりから両端に向かって花が咲いて行くと言う。
   仏堂内陣の欄間などにかける装飾の華鬘に似ているのでケマンソウ、何れにしろ優雅な面白い花である。
  
   もう一つ、このぼたん苑で、妍を競っているのは、アヤメの小型のようなシャガである。
   余談だが、黄色い花のぼたんはまだ咲いていなかったし、白い花もちらほらで、この地球上の花のうち白と黄色で70%もあると言われているのに、ぼたんの世界は赤系統の暖色優勢である。
   しかし、同じ赤系統と言っても、濃い紫のシックな花もあれば、淡いピンクの匂い立つように輝く花もあり、良くこれだけ色を変え形を変えて神様がお創りになったと思うと驚嘆せざるを得なくなる。
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