熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日本航空と三井住友FGの株主総会

2006年06月29日 | 経営・ビジネス
   昨日、ニューオータニで開催された日本航空、本日、新住友ビルで開催された三井住友FGの株主総会に出てみた。
   僅かな株式しか持っていないが、それでも、株主総会集中日に総会が重なるので、今回は、問題を起こした企業の総会に出かけることにした。
   日航は、業績悪化と経営者の内紛、三井住友は、金融派生商品の押し付け販売による金融庁からの行政処分である。

   両方とも、今や骨董品に成りつつある総会屋の登場する総会で、それなりに面白いのだが、それ以上に、マネジメントが本当に経営を刷新しようと言う姿勢を示すのかどうか、それを見たい為でもある。
   結論から言えば、総会からの印象だけだが、全く、両社とも、改革や刷新に期待が出来ないということである。
   私が問題にするのは、コーポレート・カルチュアで、個々の企業に骨の髄まで染み付いたその会社の持つ企業風土を徹底的に変えてしまわない限り、企業が変ることは有り得ないと言うことである。
   最近の日本企業の改革で、例えば、企業風土を根本的に入れ替えて成功した会社はニッサンだけで、部分的ではあるがコーポレートカルチュアを大きく変革して業績を回復して革新的な企業イメージをソニーから奪い取ったのが松下電器、それ位で他の会社は似たり寄ったりで改革などから程遠いと思っている。
   その意味で、日航も三井住友もコーポレートカルチュアは全く変っていないと感じたと言うことである。

   まず、日航であるが、総会場の外でパイロットの組合がビラを播いていた。
   冒頭から、安全安心をと綺麗な能書きを並べていたが、総会の発言者の半分は会社関係者で不満と鬱憤のオンパレードで、内部さえ固めきれない会社に経営などあり得るのかと言うのが第一印象であった。
   また、財務諸表を見ても極めて数字が悪いにも拘らず、経営の実態を認識しているのかどうか、赤字等業績の悪化の責任を燃料高騰、それも、全日空と比較して燃料コスト比率が高い等と末梢的な説明に終始しており、マーケティングや人事政策等他分野の経営問題においても十分に質問にまともに答え切れない経営陣のマネジメント能力の欠如は目を覆うばかりで、正に経営不在。
   辞めるから許されるのか、本来社長が答えるべき回答を、担当役員に振って程度の低い回答を出させている新町社長の無責任は何処から来るのか。
   西松新社長も、抱負スピーチで、株主の皆様の意向を伺ってとか能天気なことを言っていたが、まず、自分がどう経営の舵を取るのかが先である。

   私は、海外関係の仕事が長かったが、特別なことがない限り、脇目も振らずずっと日航ファンで通して来たのだが、アメリカのように空のマーケットがオープンな国であったら、あのような経営では、日本航空などとっくの昔に破産していたと思っている。
   終戦直後、日本の空を日本の民間航空機が飛べなかった。初めて、日の丸をつけた日航機が、伊丹空港に降り立った時には、子供ながら涙が止まらなかった。随分昔の話である。

   ところで、三井住友だが、株主総会が、従前の総会屋対策総会と全く変っていないと言う事。
   会場の前列に、行員株主、乃至、身内の株主が陣取って、異議なし賛成とは言わないものの、節々で盛大な拍手を繰り返して、昔の総会風景を彷彿とさせる。
   このことは、経営者の頭が全く変っていないことを如実に示しており、経営数字は上がるかも知れないが、モラルやコーポレート・ガバナンスの向上は望み薄である。

   やはり、優越的地位の乱用による金融派生商品の押し付け販売は、相当悪質であったのであろう、冒頭からこの問題の被害者からの糾弾が続き、事のすさまじさが露呈された感じで、これまで何度も世を騒がせてきた住友商法が少しも改まっていないことを示している。
   私自身は、公的資金の導入の段階で、言わば破産状態に陥っており、この時点で銀行は襟を正して国民に奉仕すべきことを肝に銘じるべきであったと思っているのだが、全く、この意識が欠如しており、従前のエリート意識と高飛車な権力意識が今回の事故を起こしたのだと思っている。

   今回、私は、エズラ・ヴォーゲル教授の講演を聴きたくて総会終了前に出たので詳細は良くは分からないが、株主の質問に山下社長が一人で受け答えしていたのには感服した。   
   しかし、不祥事の調査も顧問契約のない弁護士に依頼したとか通り一辺倒の回答が多く、例えば、三井住友のホームページのコーポレートガバナンスを読んでも秀才の作文の域を出ず、全く誠意が伝わって来ない。
   株主の一人も言っていたが、顧客に直接対する支店や営業の法人担当者等の対応が、如何に心の通った誠意のある姿に変るかが大切であろう。
   私は、長い間の経験から少しも変っているとも思えないし、むしろ、どんどん質が落ちて来ているような気がしている。
   知恵が総身に回りかね、で、もうメガバンクの規模では経営が機能不全となっていて、健全な経営など無理ではなかろうか。

   兄弟会社と言うべきかグループ会社と言うべきか、三井住友海上火災の経営やコーポレートガバナンスも酷過ぎる。
   三菱が自動車を中心に世の中を騒がせたが、今度は、「三井住友、お前もか」である。
   あれだけ金融危機が騒がれて日本経済を徹底的に痛めつけた元凶でありながら、三井住友を筆頭に損保など関連の金融関係会社の不祥事は目に余る。
   金融庁がしっかりしていなければ、見過ごされて頬被りされていたのであろうか。

   経営分析そっちのけで日航と三井住友を感覚だけで批判してしまったが、いずれにしても、ファンだから株を持っていて株主総会にいそいそと出かけてゆくことだけは事実である。

   
   
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