「はっ」と言うことのスポーツ効果

土曜練習日。午後の4時間練習が続きましたが、みんなとても熱心に頑張りました。

今日の指導ポイントを書き残します。

(1)飛んできたボールをアンダーハンドで取り、パスする時には、打つ瞬間にあごを両腕の間に入れるように頭を下げる、そうすることで、肩関節が前に動いて、自然に腕がしぼられる。頭を下げることでボールをよく見るクセもつく。腕がしぼられれば、ボールの勢いを殺せるため、次の人がトスを上げやすいパスになる。

(2)レセプションで、自分の体より左側にボールが飛んできたら、ボールを拾った瞬間にできるだけ右を向く。右側に飛んできたら、打つ瞬間に左を向く。

(3)アンダーハンドの種類は、腕を伸ばすことだけではない。場合によっては、腕を曲げたまま面を作るアンダーハンドもある。ネットにかかって落ちてきたボールを上にあげる場合、腕を伸ばしてかまえてしまったら絶対に上げられない。腕がタテになってしまうからだ。ネットからのアンダープレーでは、腕をしっかり曲げて、顔の前でかまえる。床ギリギリでも拾えるように低くかまえ、落ちてきたボールを曲げた腕を上に伸ばすようにして打ち上げる。これができるようになると、ネットにかかったボールを高く上げることができるようになる。

(4)スポーツオノマトペを使うこと。今日の画像は2008年に私がまとめた「スポーツオノマトペ」についてのマインドマップです。一流のスポーツマンは、プレーする時に必ず声を出します。今日紹介したのは、ソフトボール金メダリストの世界一ピッチャー・上野選手のかけ声です。投球する時に、「よー いっ しょ!!!」と勢いを出す声を出します。矢口タートルズで、今日一番、スポーツオノマトペを使えるようになったのが、4年男子のS.Y君です。スパイクを打つ時に、「はっ!!!」と声を出すことで、全身に今まで以上に力が入り、ネットを越えるかどうかだったスパイクが、初めてエンドラインまで届き、試合で次々と点を取るようになりました。こうなると本人は最高にうれしいでしょうね。今日1日の練習の中で、たぶん彼の心の中には、成功体験が積まれ、「自分は声を出せば、力を出せる」と自信になったのではないかと思います。もし彼がこのことを忘れなければ、人生を生き抜く大きな力となるはずです。

(5)さて、スポーツオノマトペが、なぜ効果的なのでしょうか。S.Y君の今日の様子から説明しましょう。彼は失敗することへの不安がとても大きく、心を閉じた状態でバレーボールをすることが多かったのです。これは本人にとって、ストレスも大きく、一生懸命がんばっているのに、なかなかじょうずにならないマイナス効果が見られました。どうしたら彼が心の壁を破ることができるか、私もいろいろと考えてきました。その本人のプレーヤーとしての努力と、私のコーチとしての努力がピタッと結ばれた瞬間が、今日のスパイク練習だったのです。「打つ瞬間に、はっ!!!と言ってみよう」と指導し、本人がそれを選んで練習した。すると、今まで以上に強いスパイクを打てるようになった実感が、彼の心の中に強く残った。ですから、これが忘れられないエピソード記憶として脳にきざまれ、練習試合でもやってみようとポジティブになった。そして練習試合でじっさいに「はっ!!!」と言うスパイクをやってみたら、初めてエンドラインまで届くスパイクを決めることができた。彼は本当に嬉しかったはずです。最高の笑顔が飛び出していました。こうなると人間の脳は、次の成功を求めて勝手に動き出します。もっと試してみたくなったS.Y君は、何度も何度も「持ってこい!」とトスを呼び、スパイクを打てるトスは、すべてエンドラインに決めるという素晴らしい成功体験を繰り返したのです。これが小学生バレーボール指導の醍醐味です。


余談で笑い話です。
今の小学生の子供に、「はっ!!!というのは和田アキ子だね。」と言ったら、シーンとしてしまいました。(えっ?どうして?)と思った私は、質問をしてみました。「和田アキ子って知ってる人?」・・・・・なんと、1人も手をあげない。そうだったんだ・・・。ここで私は学びました。小学生への話題は、過去3年間のことにしぼらないと、小学生はイメージできないのだということを。これが担任をしていない教員(校長)の感覚です。たぶん今、私が担任をしていたら、キャッチーな例をあげることができたでしょう。ますます最新情報を得ないと、小学生の指導もできないぞ、最新の情報に心のアンテナを立てておこうと決意した今日でした。
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