鉄道写真一般といえば、緑の山野や海辺をはじめ、まさに花鳥風月を愛でるセンスを生かすのが王道中の王道。また、生活や産業が鼓動する都市の景観と合わせるのもグッドでしょう。そういう意味で、鉄道写真をうまく撮れる人は風景写真や街角スナップ写真一般にもセンスを発揮でき、逆に風景写真やスナップ写真を撮る人もちょっと動体視力を鍛えれば鉄道写真をうまく撮れる……ような気がします。
しかし、そんな風景的鉄道写真からみて、まさに極限にあるような世界が、ひたすら無機質で異臭すら漂う重化学工業地帯をゆく鉄道でしょうか。特に臨海鉄道の末端などは、快適な雰囲気とは完全に対極の (フツーなら絶対に長居したくない) 世界に、一日せいぜい2~3回しか入線せず、それを撮るためにはヒサンな空気に耐えて難行苦行しなければならない (@o@) となれば、自ずと撮り鉄の数も限られてきます。でも、一旦その世界のディープさにはまり出すとさあ大変。他に滅多に撮り鉄を見かけない分、自分でこの引込線チックな無機質ワールドを開拓し尽くしそうという気分になるから不思議です。
それに、こういうところを走る貨物列車は車扱が多く、すっかりコンテナが主流になった中、かつての貨物黄金時代を想像するのも楽しいものです。
というわけで、今日も無機質な工業地帯の真っ直中にある、日本の鉄道網の末端の末端ともいうべき線路の上を、貨物列車がのんびりと、しかし力強く行き交っています。
↑は、川崎駅から浮島行きバスに乗って終点近くまで行くと見られる光景です。