既にSimplex's Memoさんをはじめ、ネット上のあちこちでも取り上げられていますが、茨城県南部のローカル私鉄・鹿島鉄道の存廃が極めて危機的な状況に陥っているようです……。
もともとこの鹿島鉄道は、鹿島神宮まで全通させて観光輸送を行うという計画も空しく、霞ヶ浦の畔を鉾田まで走る純然としたローカル線として走ってきたのですが、モータリゼーションが著しい茨城県南部の農村地帯においてこのような中途半端な路線が長年生き残ってきたのは、自衛隊百里基地の燃料輸送収入があったから、それに関東鉄道の子会社だったからでした (1979年までは関鉄鉾田線→赤字路線のため分社化)。しかし、自衛隊輸送は廃止され、親会社・関鉄もTX開業によって稼ぎ頭の高速バスが打撃を被り、少子化で定期券収入も減り……こうした三重苦によって、辛うじて命脈を保ってきた古き良き田園鉄道にもついに筑波鉄道 (もと関鉄筑波線・87年廃止) と同様の運命が迫っているということです……。
個人的に撮り鉄趣味が復活したここ数年来、何度も鹿島鉄道を訪問し、その味わい深い世界を満喫してきただけに、今回の報せは非常に残念なことですが、地元民ではない一ファンに過ぎない私には如何ともしがたい無力感があります……。出来ることがあるとすれば、これから少しでも多く訪れて、運賃収入に貢献することぐらいしかありませんが、何とか良い方向へ向かって欲しいと思わずにはいられません。
特に、ここ鹿島鉄道は、実に貴重な車両の宝庫! 国鉄キハ07形の生き残りであるキハ600、加越能鉄道から移ってきたキハ430 (東武熊谷線キハ2000のそっくりさん)、夕張鉄道から来たキハ714、それにDD13タイプのDD901……と、見ていて惚れ惚れとする車両が多いのです。これだけでも十分、貴重な産業遺産として誇るべき存在だと思うのですが、これに加えてあちこちの駅の表情が実に素晴らしいのです……。如何にもローカル線の車庫然とした石岡機関区にはじまり (1枚目の画像。許可を得て撮影)、ロッド式DLが保存されている常陸小川駅、静かな湖畔の駅である桃浦と浜、鯛焼きと立ち食い蕎麦がうれしく美味しい鉾田などなど……(*^^*)。本当にオススメです。
しかし同時に端で見ていて非常に残念なのは、並行する道路が便利なゆえ、撮るだけで乗らない人々が多いことですね……。他所様の自由時間に干渉するつもりはないのですが、やはり鉄道愛好者であれば、好きな鉄道に乗って趣味活動をし、その路線に貢献するのが本筋では……と思っています。あと、これからは人も増えるでしょうが、あくまで静かに、しかし熱い心で味わいたいものですね。しばしば言われる「野上電鉄の悲劇」は見たくないですから……。