中京エリアシリーズがまだまだ準備中ですので、台湾の続編を (^^;
花東線・瑞穂駅周辺での撮り鉄を終えたあとは、午後3時過ぎのキョ光47次に乗り、花蓮まで約1時間半、ガラ空きの車内とともにまっっったりとした旅を楽しみます。花東線の昼間は鈍行列車(普快車)がほとんど走っておらず、全ての有人駅に停まるキョ光号はさながら「超デラックス鈍行」というノリです (笑)。そして……光復駅南側に広がる見渡す限りの原野を長大な高架橋で越えるシーンは、花東線キョ光号の旅のハイライト! こんな感じで、花蓮に着く頃にはすっかりお腹いっぱいですが (^_^)、さらにキョ光47次は台北を経由して西部幹線の彰化まで向かいますので、本来であれば引き続いて北廻線の絶景もキョ光の車内から楽しみ、客車列車の旅万歳!と叫びたいところです。
しかし……今回は花蓮で下車。何故なら、約1時間後には台湾鉄路局が誇る最新鋭振子式電車・タロコ(太魯閣)号を用いた自強1090次が発車し、しかも途中の羅東でキョ光47次を追い抜き、台北には約50分も早く到着してしまうからです! いくらキョ光号熱烈支持派の私といえども、今回の台湾一周は3泊4日の駆け足の旅。しかも台北では帰国を前にして早めに到着し、台鉄模型の物色をしたい……(^^;)。それに、タロコ号は何と言っても圧倒的な最新型電車ですから、話の種として一度は乗っておく価値もあるでしょう! (今後何度でも乗りそうですが。笑) そこで、タロコ号の指定券は予め初日に購入しておき (最近は台鉄の主要駅にもタッチパネル式の指定券自動発券機が現れ、大変便利になりました)、花蓮での約1時間はのんびりと「東方美人号」客車とタロコの並びシーンを撮ったり (↓の画像)、車内で食す弁当をゲットしたりしまして、17時31分の発車を待ちました。
タロコ号に使用されている電車は、JRK885系の技術を基本的に踏襲したTEMU1000形 (TとはTilt の意。TE1000形と表記することもあるようです)。台鉄は最近、台湾新幹線の開通によって西部幹線の長距離輸送需要を失っただけでなく、東部幹線をめぐっても国道5号線 (蒋渭水高速公路) の「雪山トンネル」が貫通し、それまで道路条件の悪さゆえに台鉄がほぼ独占していた宜蘭周辺と台北との往来が国道客運 (高速バス) や自家用車に大幅に食われたということで、急速に経営資源が脅かされるという苦境にあえいでおります。そこで、東部幹線における最大の隘路である八堵=福隆間の山越え区間を駿足で駆け抜け、かつ西部幹線でも新幹線が利用しづらい駅と台北をスピーディーに結ぶために、起死回生の救世主として振子式電車の大量導入を決断したという次第……。
ちなみに「タロコ(太魯閣)」とは、花蓮の北西にある奇岩の峡谷のこと。台湾を代表する名勝の名前を冠することにより、台鉄を利用した花蓮観光をアピールするとともに、自強・キョ光・復興といった政治色が極めて強い列車名と一線を画して「台湾の列車らしさ」をアピールしようということのようです。もっとも、そのようなネーミング自体、すでに下野した民進党政権のもとにおける「台湾意識」の強調と密接に関連していることは言うまでもないでしょう。ただ、運賃体系は完全に自強号に準拠していますので、列車名はあくまで「自強」、使用車種の愛称が「タロコ」ということになっています (窓口で「タロコの切符をよろしく」と言えば通じると思いますが、自販機では全て自強号として表示されるのでご注意を ^^;)。
さて、走り始めたタロコですが……加速速っっっっ!! これまで何度もキョ光でのんびりと旅した北廻線を、まさにブッチギリの猛スピードで駆け抜けて行くさまは、目が回るのひとこと……(@o@)。とはいえ、乗り心地は極めて安定しており、振子電車酔いのようなものとも無縁ですので、これはもう凄い……としか言いようがありません。JRK885系には乗ったことがありませんが (本家をさしおいて外国で乗ってどうする。笑)、改めて日本の車両技術の物凄さを痛感します……。
いっぽう接客面はどうかと申しますと……クーラー・座席・水回りは台湾のメーカーが作っておりますが、国道客運のデラックスバスに対抗するために採用された分厚い豪華シートは……実はこれが曲者でありました (@o@;)。台鉄ではじめて、座席収納式のテーブルが採用されているのですが、これをセットすると蓋=肘掛けがうまく閉まらないといふ……(爆)。こればかりは「一体どこに目をつけて設計したのか」と疑問が湧きます (-_-;;)。また、台鉄の優等列車といえば、惜しげもなく設置されたフットレストですが……タロコは省略! (泣) そして、これはたまたまですが、隣の窓側の席の客が乗ってくるまでちょこっと窓側に座ってみたところ、リクライニングの調節機能が早くも壊れていて勝手に戻ってきてしまい、やって来たオッサンは非常に座りにくそうでした (苦笑)。車体や下回りに金をかけた分、肝心の接客面では費用をケチったな……ということで、早めな改善により (特に肘掛けとテーブル) 名実共に台鉄を代表する車両となって欲しいものです。しかし、台鉄も台所事情が厳しく、しばらくムリだろうなぁ……。時間に余裕がある限り、私はやっぱりキョ光の旅を愛することにします (^^;