ミャンマーの政治社会経済全般にわたる改革は、いろいろな曲折を伴いながらも総じて今のところまぁ悪くない方向に向かっているようで、日本との関係も着実に強化されつつあるというニュースは、ドシロートながらに誠に喜ばしいものがあります。もちろんその一因は、ミャンマー人自身が軍政時代のC国との付き合いに愛想をつかせており、そこでカウンターパートたる日本に期待しているという側面があるのでしょう。しかし例えば、間もなく間違いなく手狭になるヤンゴン国際空港に代わる新国際空港(ハンターワディ空港)の建設・運営事業が日本企業中心の企業連合を主体とすることになったり(当初はウリナラ中心)、外国銀行の営業権が欧米系に加えて日本の銀行3行に優先的に付与されるなど(ウリナラは複数行が申請したのに認可数ゼロ)、非常に前向きな二国間関係という印象がますます強まらずにはいられません。
こんな調子で金融面でのバックアップも増え、合弁によるインフラ事業が加速し始めますと、それはそれでヤンゴンの街がどう変わって行くのか、観察する楽しみが大いに生まれます。しかしそうなると、既存の環状線の時間が止まった風情などひとたまりもなく消し飛び、数年後には電車やDMUが頻繁運転する世界に早変わりする可能性がますます高いようにも思われます。地下鉄を数本一気に作り、バンコクも真っ青な都市鉄道網を作るという構想もあるようですし……。
まぁ勿論、そんな計画も語るだけなら極めて容易、実際にはジャカルタのように遅々として進まず、バンコクのように最新鋭のBTSや空港鉄道が行き交う真下を半世紀来変わらない風情のローカル客レが行き交うという展開も十分にありうるわけで、数年後にヤンゴン環状線が一変するだろうと予想するのは妄想も甚だしいということになるのかも知れません。しかしとにかく、あらゆる可能性がある以上、ドア全開放の新旧取り混ぜた客車がガタピシ揺れながらのんびり走るヤンゴン環状線を楽しむのであれば、あと1~2年が確実かつ華……という点については誰しも異論のないところでしょう (客車も客車で、英国の置き土産であるDC改造客車も急速に老朽廃車となりつつありますし)。
そんなヤンゴン環状線の愛すべき客レについては既に度々アップしているところですが、去る3月の訪問の際、個人的に最もお気に入りとなった編成のひとつは……DF1200の白罐とボックスシート特別車組み込み編成の組み合わせ! とくに広告ラッピングが少なければ少ないほど吉! 何と申しますか、色彩の組み合わせが上品と申しますか……ボロいなりに凛とした風情とシックな趣きを感じるものです♪