~あらすじ~
「これは大事件ですよ」馬車道の仕事場を訪ねてきた老婦人に御手洗潔は断言した。
とある教会で開かれたバザーで、彼女の知人がとった奇妙な行動には、隠された意図があったのだという。
ロシアのロマノフ王朝から明治政府に贈られた「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」をめぐり、
からみあう意思のもつれを御手洗が解きほぐす。
クリスマスの夜、少女のために御手洗が起こす奇跡とは?
~感想~
短編集と見せかけて実は中編。
発端こそ御手洗ものらしい滑り出しだが、ちょっと中だるみ。
御手洗の仕掛ける細工があまりに解りやすすぎて、じれったくなるのもたしか。
真相も想像の範囲を出ず、結末もかすかな不安の影を残すよりも、もっと優しいものであってほしかった。
(ネタバレ→)美紀の父親、あるいは母親にもいいところがあった、これからの家族の未来には希望があると、そう思わせる結末がよかった。単なるハッピーエンドではない、辛さも乗り越えた先にあるハッピーエンドなどではなく。
夢でもおとぎ話でも甘くても、島田荘司作品にはそういうものを求めたくなる。
それと、『シアルヴィ館のクリスマス』は必要だったのだろうか?
読者にとってはそのエピソードすら知らない歴史の新解釈なんて興味は薄いし、なにより、なんとかしてエカテリーナをおとしめようとするトマスがはっきり言ってウザい。読んでいて気分が悪くなる。
結論としては、本書はクリスマスプレゼントには向かないと思う。
評価:★★☆ 5
「これは大事件ですよ」馬車道の仕事場を訪ねてきた老婦人に御手洗潔は断言した。
とある教会で開かれたバザーで、彼女の知人がとった奇妙な行動には、隠された意図があったのだという。
ロシアのロマノフ王朝から明治政府に贈られた「セント・ニコラスのダイヤモンドの靴」をめぐり、
からみあう意思のもつれを御手洗が解きほぐす。
クリスマスの夜、少女のために御手洗が起こす奇跡とは?
~感想~
短編集と見せかけて実は中編。
発端こそ御手洗ものらしい滑り出しだが、ちょっと中だるみ。
御手洗の仕掛ける細工があまりに解りやすすぎて、じれったくなるのもたしか。
真相も想像の範囲を出ず、結末もかすかな不安の影を残すよりも、もっと優しいものであってほしかった。
(ネタバレ→)美紀の父親、あるいは母親にもいいところがあった、これからの家族の未来には希望があると、そう思わせる結末がよかった。単なるハッピーエンドではない、辛さも乗り越えた先にあるハッピーエンドなどではなく。
夢でもおとぎ話でも甘くても、島田荘司作品にはそういうものを求めたくなる。
それと、『シアルヴィ館のクリスマス』は必要だったのだろうか?
読者にとってはそのエピソードすら知らない歴史の新解釈なんて興味は薄いし、なにより、なんとかしてエカテリーナをおとしめようとするトマスがはっきり言ってウザい。読んでいて気分が悪くなる。
結論としては、本書はクリスマスプレゼントには向かないと思う。
評価:★★☆ 5