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ミステリ感想-『ホワイトラビット』伊坂幸太郎

2022年02月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
誰も「白兎事件」と呼びはしない立てこもり事件。
誘拐を生業とする男、オリオン座を愛するコンサルタント、独自のポリシーを持つ泥棒、息子思いの母親、心を失った刑事、間の抜けた泥棒師弟……。
様々な人々の思惑が複雑に絡み合った「白兎事件」の全貌は、読者にしかわからない。

2017年このミス2位、文春3位、本ミス8位

~感想~
どうせ今回も面白いんでしょ? と思って読んだら、はいはい面白い、面白いくせに…と無意味に冷やかしたくなるいつもながらの伊坂幸太郎の群像劇。
話が進むにつれ要所要所で今まで見えていた光景が一変し、丁寧にまかれた伏線がここぞという場所で回収される、本当にいつもながらのクオリティで、期待に違わない。
作中でたびたび引き合いに出される「レ・ミゼラブル」さながらの、作者による「これが後の伏線である」という注意喚起や「それについては後で説明する」といった注釈がどこかとぼけた味わいにマッチしているのも面白い。

年末ランキングで「ゴールデン・スランバー」に次ぐ評価と聞くと、個人的にはそこまでではなく「マリアビートル」や「死神の精度」のほうがはるかに上とは思うものの、伊坂幸太郎の群像劇への期待値は当然のように超えており、つまりどうせ面白いんだからファンは黙って読めばいいと思う。

全くの余談だが文庫版カバー袖に書いてあるタイトル歴「マリアビートルで大学読書人大賞」「AXで静岡書店大賞」がどうでもよさすぎて笑った。ここに書くべきもっとすごいタイトルいくらでも獲ってるだろ。


21.2.3
評価:★★★☆ 7
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