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ミステリ感想-『たそがれ色の微笑』連城三紀彦

2023年09月09日 | ミステリ感想
~感想~
良作揃いの短編集。
冒頭の「落葉遊び」は現代コンプラからすればやべえ教師をやべえ生徒がからかう応酬から、なんかとてつもなく良い話っぽく落とす連城マジックが光る。
続く表題作が白眉で、47歳の女弁護士がホストに入れ上げるという破滅しか見えない物語から鮮烈な結末へ至る。
「白蘭」はいくら昭和でも絶対笑えないネタを繰り広げる漫才コンビの物語だが、これもそんなわけない逆転劇とタイトル回収の妙味で強いインパクトを残すだろう。
「水色の鳥」も実に面白く、離婚した両親の再婚相手の間を揺れ動く中学生を描き、普段は好みではない結末もこればかりは許せた。
「風の矢」はまさかの狐が主人公の童話仕立てで、連城がこの手の作品を書いたのを初めて見るのでそれだけでも驚かされる。
連城初心者よりも何作も読んだ歴戦のファンにお勧めしたい、異色の一冊だった。


23.9.9
評価:★★★☆ 7
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