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ミステリ感想-『最悪』奥田英朗

2024年05月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
近隣住民の騒音への抗議に苦しむ工場長。
その日暮らしからヤクザの怒りを買い命の危機に陥ったチンピラ。
上司のセクハラと妹の引きこもりに悩む銀行員。
重ならないはずの3人の運命が交錯する。

99年このミス7位、文春9位、吉川英治文学新人賞・候補


~感想~
伏線のカタルシスも見事なオチも意外な結末もない伊坂幸太郎だった。
直木賞作家の筆力で延々と気分が悪くなるだけの話をしかも三通りも描く中盤まではタイトル通りに「最悪」で、3人の運命が交錯する場面までは良かったが、結末が実にいただけない。期待される着地のうちで最も無難な、最もつまらない、最も何も起きない軟着陸で、これだけの長編のオチとしては「最悪」の部類である。
オチが命の群像劇でこれは無い。完全に無い。ストーリーもチンピラがただただ愚かなために成立しているだけなのも残念だった。
というか個人的にはいったい何をどう楽しめばいいのか、何がどう面白いのか全く理解できなかったのだが?
たぶん唯一の「最悪」という言葉が誰から出たのかが面白いのか? だったら全然後発だが「忍者と極道」の方がはるかに処理が上手い。
とにかく自分にとっては全く口に合わない、面白さすらわからない一冊だった。


24.5.23
評価:★ 2
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