東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

トランプ大統領就任演説3、落第医学生が腹腔鏡手術を行うがごとし

2017-01-22 09:14:53 | トランプ大統領就任演説

 日本がトランプに期待しうる、あるいは用心深く注視すべきは対中政策のみである。今朝のフジテレビで新政権の表立った動きを議論していたが、今回はそれについて。

ひとつとは御年93歳のせむし男キッシンジャーの「活用」である。また中国大使に習金ペイと長年の交流があるというもとアイオワ知事が任命されたということである。いずれもトランプの対中政策が選挙中の激しい攻撃から変化する兆しではないかというのだな。支那はそう解釈して期待しているという。それもあり得る。何しろヤブ医者が医療器具セールスマンの口車にのって高い(危険な)最新鋭の複雑な医療器械(外交)を使うような物だ。どこで関係のない臓器を致命的に傷つけるかわからない。

キッシンジャーも93歳にもなってトランプの使い走りとはきびしい。彼の人生の頂点はニクソン大統領の元で日本の頭越しに電撃的に米中国交をお膳立てしたことだろう。テレビでは今回も中国よりの、日本のはしごを外すような米中和解をお膳立てするのではないかというのだな。

あのときのキッシンジャーはまったく隠密に動いた。任務の性質上当然である。今回はおおっぴらである。その点にもヒントがある。

当時は米ソ対立が深刻でアメリカ全土がソ連の核攻撃で廃墟になるのではないか、という恐怖心からアメリカ全土に穴を掘ってシェルターを建設していたころである。中国は東側の国ではあるとはいえ、これをソ連から引きはがせば大きな戦略的意義がある。それでキッシンジャーは忍者のような根回しをして、ま、成功したわけだ。二度と同じことが起きると思うなよ。

今回も日本を犠牲にして支那をなだめることまで考えているのかも知れない。しかし冷戦時代とはまったく世界外交の枠組みが違う。93歳のおとこに再び、あっとおどろく狂言回しが出来るとも思えない。

二番目は中国大使に長年習金ペイと昵懇の人物を任命したことをどう解釈するかだ。大使というのはある意味では人質である。勿論国際条約で外交特権は守られているが、実際はあらゆる通信を傍受、盗聴され、暗号は解読される(成功すれば)。外出すれば常に尾行される。ハニートラップも仕掛けるだろう。トランプが本格的なショーダウンを考えているなら、このような時に自分とツーカーの人物を大使に送り込むとは考えにくい、と解釈することも可能である。相手の情報を取る手段は大使館以外に現代ではいくらでもある。

いずれにせよ、キモはトランプの精神鑑定である。かれの精神状態が見かけ通りであれば予測がつかない。子供がF35の操縦席にいるようなものである。もし、トランプの言動が味方も敵も欺く演技ならにわかに予測は出来ない。

しかし、トランプには年齢的に二期八年を勤めることは出来まい。4年ではことを成し遂げるには中途半端になる可能性もある。>>

 


トランプ大統領就任演説 2、彼のfake talkの一例

2017-01-22 07:23:03 | トランプ大統領就任演説

対中貿易で恩恵を受けたのは政治家だけではない。

ワシントンの政治家だけが対中貿易の恩恵を受けた、とトランプは言っていたがあまりにも「意図的な」fake発言である。

たしかに政治家も様々な隠蔽されたdeviceを経由して支那から金品を受けとっていただろう。これは間違いない。しかし「政治家だけ」というのは詐欺師のレトリックである。

一番の利益を得ていたのは支那と商売をしているアメリカのグローバル企業だろう。製造業もそうだし、金融業もそうだろう。そこに言及しないのは完全に意図的なfake talkといって間違いない。人のことをfake newsと言いながら平然と自分の都合のいい時には嘘をつく。詐欺師と言って過言ではない、トランプは。

トランプの閣僚にはゴールドマンサックスの出身者が三人いるという。彼らは支那との交易で、あるいは金融取引で本来国民に還流すべき利益を横取りした連中ではないのか。トランプのプア・ホワイトよりの大衆迎合アジテーションが本心かどうか分からない。

ほかにもガジリオネア(だったかな)兆万長者ばかりだというではないか、彼の閣僚は。これが支那交易で利益を得ていないというのは考えられない。

彼の就任演説で支那のことを触れたのは日本、メキシコと並列して貿易収支に触れただけである。支那単独で問題を指摘した箇所は一カ所もない。また、就任直後に具体的に発表した政策にはTPPからの離脱などがあるが、支那に関するものは一つもない。たとえば、高率関税をかけるとか為替操作国に指定するなど、の従来の主張は影も形もない。

善意に解釈すれば、じっくり構えてでかいヤツをこれから放つとも考えられないが、どうも信用できない。安倍さんも彼への対応は慎重に行うべきだろう。

 


トランプ大統領就任演説

2017-01-21 09:43:27 | トランプ大統領就任演説

どうも問題が有りすぎる。突っ込もうとすればいくらでも問題がある。香具師のバナナの叩き売りの口上のような分かりやすさ、言語明瞭な調子よさはあるが。

テレビの放映が演説のつまみ食いをして、オイラがさらにそれのつまみ食いをする。朝の忙しい時にテレビばかり見ている訳にはいかないからね。ま、その印象である。順不同でいく。

まず第一にアメリカ人の中東コンプレックスは全然克服されていない。そう言う意味ではアメリカの固定観念(中東)はさらに幼児化している。たしかに戦略的に重要な所なんだろうが、どうしてアメリカは中東を放っておけないのかな。強迫観念だよ、心理学的に言えば。

戦前の日本が満州の支那ゲリラに悩まされ、問題を解決しようとしてゲリラの淵源であるシナ本土奥地に侵攻して骨がらみになったようにアメリカもなるよ。

ブッシュ(息子の方)が第二次イラク戦争を始めたのは、フセインが第一次侵攻をしたオヤジ・ブッシュの写真を道路に敷いて国民に踏みつけさせたのを根に持って、でっち上げた根拠で愚かな戦争を始めた。これなど中東というアメリカの強迫観念の典型的な例である。

第一次世界大戦まで、この地域に何百年の間安定と平和をもたらしたオスマン・トルコ帝国のようにこの広大な地域を安定させれば、アメリカのおせっかいな介入も理由が後付出来たかも知れない。下手な外科医が手術した癌の患者の様に癌細胞は中東の全地域に移転し深刻化している。

マスクも手袋も白衣も着ないで患者を弄くり回してもろに返り血を浴びているのがアメリカである。トランプは、患者がどんどん病状が悪化するのに慌ててさらに患者をメスで滅多切りにしようというのだ。

アメリカが泥沼にはまり込んで行くのをそそのかし、最大の利益を得ているのが中国である。口ではアメリカの中東政策に賛成した。それで幼稚なアメリカは支那に人権問題や侵略の免罪符を与えた。アメリカが夢中になって中東という患者を切り刻んで乱心し他に気が回らないでいる間に支那は着々と軍備を増強し、侵略を拡大させた。アメリカ人は理解しているのか。

アメリカの従来のエスタブリッシュメントも気が付いていないのだからトランプが理解出来る筈がない。勿論中国はアメリカのグローバル企業や従来型のワシントンの政治家(ヒラリーに代表される)に飴をしゃぶらせていたのは当然である。

歴史に学ぼう。第二次世界大戦で日本とアメリカを戦わせようとしたのはソ連(コミンテルンという国際的組織)である。ヒトラーはソ連に侵攻した。其の前に欧州全域を戦争に巻き込んだ。しかしアメリカは参戦しない。アメリカ国民の厭戦気分がルーズベルト大統領にそれを許さなかった。コミンテルンはアメリカ国務省と日本の近衛文麿首相のブレーンにスパイを潜り込ませていた(ゾルゲおよび朝日新聞記者尾崎秀実である)。

日米を戦わせればソ連の敵である資本主義国日本とアメリカは疲弊する。また、アメリカはドイツにも宣戦布告せざるをえず欧州戦線にもアメリカを引きずり出せる。日本は目の覚めるような鮮やかな奇襲攻撃で真珠湾を攻撃しアメリカの太平洋艦隊を壊滅させた(空母を除く)。アメリカは日本に宣戦を布告しアメリカ国民の厭戦気分は吹っ飛んだ。

第二次世界大戦でソ連はアメリカと並ぶ二大強国にのしあがった。おもわくがあたった。それは1980年代末にソ連が冷戦に敗れるまで続いた。ソ連の誤算はアメリカが益々つよくなったことだが、そのかわりアメリカから南サハリンと千島列島全部、北方四島までの地域を日本から奪うことを黙認され、アジアでのソ連の安全保障能力は飛躍的に強化されたのである。歴史に学ぶ、とはこう言うことを言うのだよ。

ひるがえって現代の国際情勢を顧みるにアメリカが中東紛争に疲弊する間に中国は国力を飛躍的に増大させた。あだかも第二次世界大戦前後の国際情勢を見るが如くである。

アメリカは日本やメキシコからの輸入にいちゃもんをつけているが、アメリカの国富が中東紛争の泥沼に足をとられて、どれだけ吸い取られたか考えたことが有るのか。