最近の風潮、きれいな言葉でいえば世論に恐怖を感じる。昔の話で恐縮だが、昭和の初めのことだが、職業軍人が軍服で街を歩くと税金泥棒と罵声を大衆から浴びせられたそうだ。職業軍人と言うのは分かるかな、昔はプロ野球の選手を職業野球の選手と言った。
だから職業軍人は休暇で街に出るときに怖くて軍服で出られず、私服に着替えてから外出したという。長引く不況で、また西欧からの圧力で日本でも軍縮政策がとられたが、これに猛烈に抵抗したのが職業軍人だったのだ。それで民衆に軍人は憎悪された。
所がである。満州事変がある。日本軍は連戦連連勝である。そうすると、大衆は手のひらを返したように「兵隊さん、ありがとう」と言われるようになった。朝日新聞は今のスポーツ紙顔負け毒々しい見だして連日、日本軍の進撃を絶賛する。そうすると軍部は引っ込みがつかなくなる。
西欧の日本孤立化政策で日本経済は袋小路に入る。戦争か、と民衆はあおる。軍部の上層部は勝つためのエリート教育を受けているから、民衆の声に困ってしまった。軍の上層部でアメリカと戦争して勝てると思っている人間はいない。しかし、世間はアングロサクソンに膺懲を加えろと催促する。また、税金泥棒と言われるのはいやだ。リストラは怖い。大佐で依願退職を強要される。開戦後海外に出征して戦果を上げれば将官に出世する可能性も出てくる。錦糸勲章も狙える。
短期戦なら勝てる可能性がある。実際開戦後はそうなった。アジア、太平洋全域の制空権、制海権を握った日本は和平に持ち込もうとした。これが見込み違いだったのだ。西部劇を見ていなかったのだね。軍部は。それで結局物量戦、総力戦に持ち込まれて日本民族は根絶やしされそうになったのだ。
当時の日本の民衆のいうことはもっともらしくあった。しかし非論理的、非科学的であった。現在の森舌禍事件と通底する。私が最近の風潮に恐怖心を感じるというのはこういうことである。日本軍は大博打をうって、結局身ぐるみはがれてしまったのである。
女は怖い。ギリシャ悲劇にオルフェウス教に題材をとった作品がある。バッカスの祭りで酒をくらった女たちは興奮陶酔状態で凶暴になって、男たちを襲い、彼らを全員八つ裂きにしてしまった。
次回は海外の論調と言うまやかし。ヤレヤレ五分で書き止めにしようと思ったが、もう10分になってしまった。飯が噴出した。今朝はこれまで。