東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

あと知恵(わたしの)

2015-09-27 07:06:19 | フォルクスワーゲン
Second ThoughtではなくてAfter Thoughtというのだろうが、昨日のVW記事で余談。大したことはないが稿を改める。

NPOは一年前にこの結果(事実)を発表していたという産経の記事を紹介した。それから一年近く米環境保護局とVWがやり合っていた訳だが、一切ニュースにはならなかったようだ。一般読者に届くという意味では。マスコミもセンスが鈍すぎる。

このNPOはこの種の分野では過去にも実績のあるところだというではないか。日本に雲霞のようにある安っぽい、ウケ狙いの胡散臭いNPOではないのである。

今回の米当局の発表は9月の何日かでしょう。昨日は間違えて8月なんて書いちゃったが。そして間髪を入れずにVWの会長が謝罪して認めた。これは下地が完全に固まっていたということだろう。すでに一年間の勝負でVWは明白に負けていた証拠である。

そうでなければ、ドイツ人のことだ。まだまだノルマンディーだ、パリが陥落しただけだと強がっていただろう。ところが豈図らんや、米国軍はすでにベルリン市街地に突入していたのである。

おそらくこんなことじゃないかな、素人の一つの推測である。慰みに考えてみた。

エンジンの回転数が一定以上になると、排気ガス浄化プログラムが特定のサブルーチンに飛ぶ。そしてそのサブルーチンは完全に暗号化されている。アメリカがそれを解読するのに時間がかかったということだろう。

あっぱれ、スズキ自動車の危機回避行動

2015-09-26 09:46:55 | フォルクスワーゲン
文末に追加補足あり::

フォルクスワーゲンのテストかわしの二重ソフトは普通の欠陥車やリコールとは全く違う。いかにもドイツ民族らしい平然と犯罪を犯すいつものパターンなのかもしれない。歴史は繰り返す。いくら「謝罪」しても感心するのは中国や韓国ぐらいしかないだろう。

さて、大分前に日本の鈴木とVWが資本提携か業務提携をしたが、かねてから鈴木は提携を解消しようとしたが、VWが反対していたので国際裁判所に訴えて勝訴したという趣旨の記事が出たのは確か問題発覚の直前であったようである。

提携の趣旨を正確に把握してから書こうと思ってインターネットを浚ったが、私の検索技術が未熟なのか最近の問題ばかりしか出てこない。そこで記憶で書く。

VWはスズキの株式の20パーセント保有して経営への発言権を持つ。鈴木の小型自動車の発展途上国でのマーケットにVWは参入する。スズキはディーゼル社の環境対策ソフトを期待する、というものであったと理解する。

提携解消が裁判で勝訴した時にスズキ会長が行った記者会見で、環境対策の面でなんらの情報も得られなかったと言ったと記憶する。それに対してVWは20パーセントの資本を保有してまるでスズキの親会社のような振る舞いをしたという。自動車の販売台数にまでスズキの記録を上乗せして世界一になったと騒いだとも聞いたような。

それでスズキが愛想を尽かして縁切りしたというのだが。インターネットではスズキの慧眼を褒める記事が多い。スズキは提携の第一の目標であったディーゼル車の環境技術の供与を拒否された時に、この疑念をすでにもったのではないかと思う。今回のアメリカNPOによるテストやアメリカの関係各省庁との情報のやり取りが事前にあったのではないか。イニシャティブはどちらか分からない。アメリカ環境庁がスズキの契約解消の背景をスズキに聞いたのかも知れないし、スズキが確かな根拠を得て、どこかで疑問を提出したのかもしれない。スズキの技術者にはその程度の問題を分析する能力はあるらしいから。

& 補足(訂正か)
NPOの検査のいきさつについて今朝の産経新聞一面に記事があった。上記と多少異なることがあったので補足する。

小筆は朝刊は早くても午後にしか読まない。読まないときもあるのであるが。で上の記事を書いた後で読んだのである。記事は産経のワシントン小雲記者の署名があるから、産経だけの記事かも知れない。あるいは他のマスコミでも報道されているのか分からない。

要旨は、NPOは昨年五月に調査結果を発表していたというのである。アメリカ環境保護局は之に基づきVWを以後追求していたという。

いずれにせよ、正式に政府が公表(追求)、マスコミに発表したのは今年の8月であることは間違いない。訂正というより補足とさせていただいた。だた、この種の事件の発展は時系列的にフォローしないと正しく理解できない。したがってマスコミは経緯について必要な情報をもれなく伝えてもらいたい。

色々なやりとりがVWと米当局との間で一年弱行われていたことは間違いのないところである。

異論の三つのタイプ

2015-09-17 11:38:02 | 安全保障
長い長い議論の過程で有効な反論はなかったと言った。反対には三つのタイプがあるようである。

民主党の議会での振る舞い:
ニュース等を見ていると野党は反対しているのではなくて、法律の条文の細かい質問しかしていない。たとえば、この法律が出来ると自衛隊員の危険がますのかどうか、とか。したがって正面から反論していたとは受け取れない。それが大衆デモが盛り上がると途端に「相乗りだいちゃん」を決め込む。唾棄すべき行動である。

戦争反対を念仏代わりの唱える:
そうするとご利益にありつけると思っている。ほとんど原始宗教のレベルである。
戦争に反対ですか、と単純にきけば100パーセント近くは「反対です」というだろう。分かりきった話だ。自分たちだけの護符だと思うなよ。

世論調査で法案に反対が多数というが、どういう質問の持って行き方をしているのか。電話かなにかで予期していない時に、知らないところからいきなり「戦争に反対ですか」と聞かれればハイと答えるに決まっている。

もっとも、法案が「わかりにくい」というのはハイと答えそうな気がする。わたしも前に書いたがよく分からない、そう言う時には有効な反論が聞ければ法案に反対するだろうね。なければ特に反対することもない。そんなものだよ。世間とは。

それと、憲法第九条の改正が先かどうか、という質問がある。これについて意見が分かれるというのは理解できる。しかし、前にも触れたが憲法とは国内法規の最上位に位置する物であって、外国相手(つまり憲法の規定が及ばない相手)に対して何かの規定を設けることは意味がない。無効である。たとえばチャイナに対して日本は戦争できません、お相手したいけど駄目です、といえば相手は引っこむかね。そうかい、そうかい、とこれ幸いに侵略してくるだろう。

戦争反対、もっと正確に言えば回避したいから今度の法律を作るのだろう。だったら、作った場合と作らない場合を比較しなければならない。その際に前回述べた項目について明確に自説を説明する義務がある。

お前が戦争に行け:
駅前で「安倍が一人で戦争に行け」というプラカードを持っていた女性がいた。反対がこの程度の知的レベルなら怖くもないし、踏みつぶしてもなんら差し支えない。警官はきらいだ、なりたくない、というのはいい。警察はいらないということかな。それなら彼女のなかでは理屈は通っているが、世間では通用しない。

国会周辺のデモ参加者の知的レベルもこの程度であろうから、はやく採決してしまえ、と言っている。

民衆の責任と政治家の責任:
民衆と政治家では責任がまるで違う。個人が無抵抗主義だからと戦争に反対したり、徴兵を拒否する(こう言うことは今の日本ではないだろうが)ことは個人の責任で行うならあり得る。クエーカー教徒なんかの例で主義を貫き主義に準じて懲役に行くとかね。尊敬される場合もあるだろう。個人としてはあり得る。
政治家の責務は国民(つまり政治家にとっては他人)の生命と財産を守ることである。これを放棄して個人の「無抵抗主義」という「崇高な信念」で国民の生命財産を危うくすることは絶対に許すことが出来ない。無抵抗主義で国民の生命と財産を守れるという理性的な根拠を国民の前に提示しないかぎり、政治家には許されないことである。

無抵抗主義の大衆諸君、君個人の意見を他人に押し付けてはいけない。みていると、運動のリーダーは大衆を支配したいというあまり感心しない欲望を満たしているだけのように見える。

「特快」採決せよ安保法案

2015-09-17 07:41:13 | 安全保障
野党のフィリバスターは酷すぎる。反論になっていない。無知未熟な愚衆をあおり、迎合するのが民主主義だと思い込んでいる。

速やかに採決せよ。というのは無慮100時間?の質疑で有効な反論が一つも出てこないからである。待つこともあるまい。ま、政府も潮時をみているのだろう。相手が息を吐いた所でボディーブローを食らわすつもりなのだ。

正直いって私も政府案が分かっているとはいえない。

「!?!」 << 野党の諸君の上記のコメントに対する反応を記号で示すとこういうことになるであろう。しかし、これだけ長い時間をかけても説得力のある反論が出てこないということは、政府案もまたありかな、と愚考する次第である。

世界情勢は変わっている。シナの膨張(はっきり言えば侵略)の脅威はたかまっている。それに備えろというのはごくまともな議論に思える。

野党の反論は次のようなものでなければならない。

* 世界情勢は危険ではない。認識の根拠を示す必要がある。つまりシナは日中友好条約を結んだ時、あるいは初期のバンドン会議で主張した様に「覇権主義絶対反対」である、と日本国民に責任を持って説得する義務が野党にはある。
南シナ海、東シナ海でのシナのふるまいは侵略ではなく、膨張主義でもなく、覇権主義でもない。正当であると認める。

* したがって、尖閣、オキナワを侵略することは未来永劫ないと国民に言明することである。

* あるいは、そういう侵略はあるかもしれない。その場合はしょうがないから無抵抗主義で「どうぞどうぞ」と差し出すのがいい。それが民主党などの政策である。

* あるいは、シナと民主党、それに特に生活の党の小沢一郎はシナのお友達(家来といったほうがいいが)であるから、そんなことはしないで頂戴、とお友達甲斐に説得する自信がある。

* あるいは、そうなったら自衛隊だけで戦う、負けそうになったら住民の最後の一人まで戦い玉砕する。

民主党など反対派はどのオプションを採るか明確に一点の疑いもないように国民に約束する必要がある。そのうえで、政府案には反対であるというべきである。

国民の多数がそれでもいい、というなら野党は胸を張れるのである。

よく出来た消費税財務省案

2015-09-16 07:27:30 | 消費税
このブログをお読みの方は分かるであろうが、「よく出来ました」という場合は否定的な意味が多い。蛇足であるが。

おっと、がっかりしないで最後まで読んでください。

消費税に生活必需品だからといって特例を設けるのは姑息な手段であり、採るべきではない。欧州の様に消費税が30パーセントを超えるような場合に、通常の食料品などに特例を設けるのはまだ分かる。たかが(ここで反発を予想)8パーセントから10パーセントの値上げで煩瑣な制度を設けるのは消費税で期待していた効果を相殺するものである。

今回の財務省案ではすでに言われている様に制度を実施するための措置準備は現実的ではない、あるいは実現可能でないことは明白である。そして実施したら準備費用は増税分を相殺してしまうことも明瞭である。

財務省がこの案を臆面もなく提出した理由はシモ(下記)の諸理由によるものであろう。

* どうせ、実現不可能と世論に反対されて実現しない。つまり消費税特例措置は実施されない。増税効果がフルに期待できる。あるいは第三者が新しい案をつくれば消費税の目的を台無しにする制度を財務省が作ったという汚名、批判を免れる。

* たとえ、実施されたとしてもこの制度を利用して、煩瑣を避けず、プライバシー漏洩も顧慮せずに利用するケースは少ないだろう。つまり軽減税率による目減りは少ない。

* なお、ある新聞の予測記事によると、現下の経済情勢では10パーセントの値上げは難しい、財務省から再延期とは言いにくいので、この馬鹿げた案を出しておけば、世論が反対で沸騰してその内に増税予定時期を迎え、結局増税が再延期できる。
 
という記事であったが、これはあまり説得力がない観測記事である。記者も冗談で書いているようではあるが。

国勢調査に氏名は必要ではない

2015-09-13 15:14:06 | 国勢調査
インターネット調査の案内を封もしていない封筒で郵便受けに投げ込むというセンスは理解できない。透明のセロファンかビニールの窓から見えるところに、わざわざログインIDやパスワードを持って来ている。なかには乱暴に投げ込んで中身の書類が半分飛び出しているのがあるらしい。

初期パスワードというが、後で替えるからいいと考えているのか。パソコンに慣れないひとはそんなことは分からないだろう。パソコンに慣れたひとでも初期パスワードのまま使う人が多いというのに。

いったい、だれが配っているのだろう。郵便局ではなさそうだ。区役所あたりの職員が手分けして投げ込んでまわっているのか。誤配達など相当のパーセンテージになるのではないか。大体配達扱い者を明記していない書類など誰が信用するのか。

国勢調査の必要性は認める。国の政策の基礎資料になる。そのとおりだ。しかし、それはビッグデータとしての解析分析によって有益な指標になるのであって、氏名等記入を求めるべきではない。

只でさえ、年金やらなにやら行政機関のルーズな情報管理で個人情報がもれることが日常化している。年齢データ、氏名データ、住所データが連動して悪用されると、警察がいくら「おれおれ詐欺撲滅」に予算を割いてもすべて帳消しになる。この辺のちぐはぐなことがわからんのかね。念入りに電話番号まで要求しているのだね(笑い)。

氏名を記入しないといい加減な回答が出るという心配をしているらしい。こういう性悪説で国民を見るのはよくない。それは色々な理由で不正確な記入が出るかもしれない。間違えるとか、質問を取り違えるとかね。しかし、これらの誤記入は常識で考えて無視できるパーセンテージと考えてよい。扱うのビックデータである。誤差等気にする必要がない。

それと、前回は郵送による回答のために調査票を配っていたが、今回はないね。なぜ止めたのだ。あれは便利できっと回答率をあげていたに相違ない。総務省は調査票封入を止めた理由を広報であきらかにすべきである。

インターネットを導入したことは一歩前進だ。しかし、調査票による郵送回答を止めたのは後退である。総務大臣とか総務省等というのは頼りにならないところだ。

民間でもクレジットカードとかポイントカードのデータをビッグデータとして経営に利用していますが、個人情報に関わる部分はわざわざ手間をかけて外して利用しています。国勢調査の場合は最初に氏名記入を求めなければ、そんな心配をしなくてもすむのに、必要もない情報を要求して、あとで個人情報の守秘につとめますなんて言ってだれが信用しますかね。また、そのためには余計な費用が発生しますが、これは国民の税金ですよ。よく考えなさい。

封もしない資料を乱暴に郵便受けに投げ無神経な連中が守秘義務を果たせると誰が思うでしょうか。


「日英同盟」 と第一次世界大戦

2015-09-13 07:35:22 | 安全保障
第一次世界大戦での日本の協力は多岐多数にわたる。これらについて欧米の反応、マスコミ論調を平間洋一氏が羅列している。こう言うことは箇条書きにするか、年表にしてもらいたい。ここでは読後の記憶で述べる。わずか250頁の本であるから読み返して確認すればいいのだろうが、読み返す気がしない記述なので、平間氏には申し訳ないが。

一般にも(どういう意味で「一般にも」というかも縷説しなければならないのだろうが、はしょって)、地中海に派遣した日本艦隊の突出した活躍だけが言及されるのが常である(日本国内では)。しかし平間氏によると、イギリスからの協力要請は無数にあり、それらはいずれも重要な作戦だったようである。これらが日本のほかの著書には載っていないのは問題と言わなければならない。

さて、これらの協力に対してイギリスの反応(主としてマスコミ)はどうであったか。第一に感謝、賛辞があるのは当然であるが、ネガティヴなものも多い。
いわく、いちいち、協力の対価を求めてくる。たとえば、南洋のドイツ領を攻撃占領したら、戦後処理の国際会議で日本の領土に編入することを約束せよ、など。

これはむりもない。日清戦争の三国干渉、日露戦争のアメリカのお為ごかしの講和仲裁により戦後の協定では欧州寄りの結論を飲まされた日本としては作戦開始前にこのような要求をするのは、いわば、経験から得た知恵である。二度と煮え湯を飲まされないための用心である。日本国内の不満沸騰を避けるための当然の措置である。

また、欧州が戦争で苦しんでいるのに日本は貿易で利益追求している。だから協力に後ろ向きだ、という。これなどやっかみに過ぎないのではないか。ま、これら二つの世論の潮流がイギリスの中でも定着したことを留意することが今後の展開を見る上で必要であろう。

「日英同盟」 日露戦争講和後

2015-09-12 06:55:16 | 安全保障
日本が勝って、仲介を買ってでたアメリカ大統領ルーズベルトの斡旋でアメリカ・ポーツマスで講和会議が始まった。アメリカは親切心で仲介というよりかは太平洋での日本の躍進にブレーキをかけることが目的であった。ロシアの強硬な姿勢、ロシア代表ウィッテの交渉力が巧みなこともあって、ロシア側に有利な講和となった。

ロシアは日本への賠償金支払いなし、日本は樺太(サハリン)の南半分だけ獲得という結果になった。政府はやむを得ずこれでまとめたのだが、日本国内の不満がおさまらない。東京の日比谷公園で行われた抗議集会は暴動に発展した。平間氏が引用する報道によると、日本国内でキリスト教会が十数カ所焼き払われたらしい。

これが相当の悪影響を欧米のマスコミ、民衆に与えた。アメリカやカナダでは急増した日本人移民の排斥が始まった。それやこれやで同盟国イギリスの親類であるアメリカや小姑であるカナダで反日世論が高まった。勿論イギリスは日英同盟を失効させることはなかったが、日英同盟に対する当初の熱狂的支持は失われた。

日本でも日清戦争での三国干渉に続いて、日露戦争の勝利にも欧米が干渉したというのでアングロサクソン民族に対する不満が根付いたのである。

これらの両サイドに定着した底流が第一次世界大戦での日英同盟による協力にも影を落とすことになる。

日英同盟」日露戦争における決定的「後方支援」

2015-09-11 10:39:13 | 安全保障
三国干渉というのがあった。日清戦争後の講和条約で清国から正式に割譲された遼東半島をシナに返せ、とロシア、ドイツ、フランスが日本に要求した。二度とこういう理不尽な圧力を受けないための方策として、軍事同盟の可能性も模索された。

イギリスは当時世界の超大国であり、三国干渉に関与していない。ロシアのアジアでの南下阻止では日英両国の利害は一致する。かかる背景の元に日露戦争直前に第一次日英同盟が締結された。

日英同盟ではイギリスの参戦はロシア以外の国がロシア側で参戦した場合に限られていた。これがロシア側にフランス、ドイツがついて参戦することを防いだ効果は極めて大きい。三国干渉の徒党ぶりからすると、日英同盟の、この条項がなければドイツやフランスが日本を攻撃した可能性は高い。

こうして独仏の参戦を防いだため、イギリスの協力は今日の言葉でいえば「後方支援」に限定された。よく言われる様にイギリスの後方支援はロシアのバルチック艦隊の極東回航におおきな影響を与えた。欧州から極東の主要な港はみなイギリスの植民地であり、これらの港でのロシア艦隊への石炭、食料、飲料水の積み込みはイギリスによって拒否された。乗組員の上陸(休養のための)も拒否された。

バルチック艦隊は整備も不十分のまま、乗組員の士気も最低の状態でほとんど途中での訓練も出来ずに対馬海峡に現れた。そして日本の海軍によって全滅させられたのである。

大陸での陸軍の勝利には特別にイギリスが関与したということはないし、陸軍の貢献は多大であったが、ロシア海軍の殲滅を決定的にしたイギリスの「後方支援」は49パーセントの勝率を51パーセントにしたという意味では決定的な意味を持っている。しかし、日露戦争後はこの結婚は倦怠期に入ったのである。>>

「日英同盟」から同盟一般に説き及ぶ

2015-09-10 15:04:39 | 安全保障
軍事同盟というのは夫婦のようなものだと分かった。それも野合とか恋愛結婚ではなくて見合い結婚である。見合いというのは本人同士の損得は勿論のこと、両家の総合的な損得を秤にかける。

恋愛結婚だって当初の獣欲の炎が治まれば、両者の絶えることのない妥協、協力によって精魂込めて均衡を守らなければ破局にいたる。いわんや見合い結婚においておや。軍事同盟また然り。絶えざる手入れ、調整が不可欠である。そのうえ四囲の情勢は絶え間なく変化する。

両家、各家とも一枚岩ではない。利害の異なる人間からなる寄り合いである。その均衡である。同盟各国の中でも様々な態度に分かれる。それぞれの家の親戚にも色々なのがいるのもである。姑、小姑に至っては結婚そのものに反対でいつかぶちこわしてやろうとする人間がいるものである。

イギリスの場合、独立戦争までしたなかであるが、同血のアメリカがある。また、英連邦を構成するカナダ、ニュージーランド、オーストラリアがある。そしれこれらの国々はどちらかというと、日本を排斥し、敵対する国である。いってみれば敵対する小姑である。アメリカ、カナダは日本から増加する移民に不快感、恐怖感、警戒感をもっている。さらにアメリカにとってはチャイナへのアクセスの前に立ちはだかるのは日本である。この壁は壊したい。

オーストラリア、ニュージーランドは日本の南洋進出、発展で国防上の危険を感じている。英国はこれらの保護国もまとめなければならない。日英同盟の恩恵で第一次大戦ではこれらの国の軍隊は日本の海軍に守られて無事欧州戦線に到達したにもかかわらず、である。

日本とイギリスの利害が一致するのはシナ大陸の利権である。同盟締結の目的もそれであった。英連邦のインドはまた色合いが日英で違う。日本は表立ってではないが、イギリスからのインド独立運動に同情している。イギリスはこれらの独立運動家を弾圧している。

横に同盟を見るとこういう難しい問題が山積していた。英知を集めた、怠らない日英同盟というエンジンの整備が休むことなく行われなければならない。そうして最初のうちは行われていた。

次回は縦に見て同盟の変化を見る。いずれも平間氏の著書からの要約である。