東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

戦後痴話の崩壊をEU離脱に見る

2016-06-27 07:00:07 | イギリスのEU離脱
イギリスのEU離脱投票とその後のテンヤワンヤを見ていると戦後の仮想空間を支えていた戦後神話の崩壊を予感させる。

国際政治というものは、そのフェーズ、フェーズでそれぞれ特有有効の枠組みができるもので、賞味期限が切れればそれらは神話にすぎなくなる。

EUなどという不自然なカードの城など崩壊して当然である。各々の神話は期間限定では有効である。絶対ではない。現実的なオプションのひつととしてはという意味である。もしそうでなければすぐに崩壊している。EUもよくやったよ、と過去形で語るべきだろう。

日本で言えば憲法第九条神話(痴話と言った方が良いが)は冷戦開始まではそれなりのレーゾンデートルがあった(それを日本に押し付けたアメリカにとっては、という意味であるが)。東西冷戦が始まると、その神話を押し付けたアメリカが、その反古化を要求した。

敗戦で徹底的に破壊された日本では唯一のルールメーカーはアメリカであり、冷戦を予想していなかったアメリカにとって第九条は有力なオプションだった。

憲法第九条を逆手にとって日本の利益を図ったのは日本の保守勢力の知恵であった。したがってしばらくの間は日本にとっても(つまり日米にとって)有効な神話でもあった。

当時の左翼勢力は日本の非武装化等夢にも考えていない。日本をソ連、コミンテルン、中共の支配下に置き再軍備をしてアメリカと戦争するのが彼らの究極の語られざる目的であった。

EUのこともそうだが、日本の周りの国際政治にも賞味期限切れの痴話が溢れている。なんとかしなければいけない。

皮肉なことに、日本の戦後痴話が今になっても(未だに)国民を呪縛しているのは、日本の保守勢力が一時期、第九条を盾にとったことのしっぺ返しというべきものである。