東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

世田谷一家惨殺事件

2008-12-28 07:46:13 | 社会・経済

世田谷一家四人惨殺事件の時効をなくせというんだが、今のままでは解決は難しい。懸賞金付きで一般からの情報を求めているらしいが、マスコミが視聴者に番組内で提供するような報道では有力な情報はこれから出てこないだろう。

大分前にも書いたが、なぜ夫が勤めていた会社名を報道しないのか。おそらく会社からの圧力だろう。最初の頃は報道していたようだが、すぐ「会社員の夫」としか報道しなくなった。よほどマスコミに圧力のきく有力(会社の規模に関係なく)な会社なのだろう。

最初の頃の報道では、外資系のコンサルタント会社と記憶している。犯人が外国人らしいということは定説らしいが、会社の仕事がらみの犯罪である可能性が高い。普通の社会生活であれだけ特異な犯罪被害を受けることはまずない。犯罪の背景には特殊な訓練を受けた組織がある。そう報道はしているのだが。

したがって、会社名を報道し、どこで(海外か)どういう仕事をしていたかを報道しなければ有力な情報など寄せられないだろう。

この会社のPR関係者は会社名が出ないように圧力をマスコミにかけ続けているのだろうが、もしマスコミが今まで通りの情報しか提供しないなら、貴重な電波をこれ以上この事件関係に使うべきではない。

マスコミへの圧力と言えば、ごまんとあるのだが、きのう今日のニュースからひとつ。

関西のほうだったか、「運送会社」の配送責任者が付き合っていた女性の死体を会社の冷蔵庫の中に入れていたというので指名手配されたニュース。これも最初のころは会社名が報道されていたようだ。引っ越しなんかの宣伝をテレビでしている会社で「FOOTWORK」。

ところが直ぐ会社名を報道しなくなった。ただの「運送会社」になってしまった。これなんか、犯人が割れ指名手配されたから一般から情報を求めることもないと、具体的な会社名がなくても、とも言えるのかもしれない。

しかし、映像では会社の倉庫がでかでかと映っている。会社名の看板「FOOTWORK」が映っている。このロゴがまた、社長の顕示欲がつよいのか、ばかでかい看板なんだね。裏目にでたわけだ、宣伝が。

この会社のPRマンはテレビに社名が出ないように圧力をかけたまでは、PRマンのマニュアルどおりにしたのだが、頭隠して尻隠さず、だ。こういうときには会社名の看板の上に巨大なブルーのビニールシートをかけるものだよ。あるいはペンキをぶっかけて塗りつぶすとか。そうすれば、あなたはPRマンのかがみとなる。


昭和の日本帝国陸軍は自転車操業

2008-12-26 08:08:34 | 社会・経済

「おおばくち、身ぐるみ剥がれて、スッテンテン」の作者はわかりましたか。

満州映画社長、甘粕正彦元憲兵大尉であります。彼の辞世の句ともいうべきものだ。ソ連軍の戦車がせまる新京市内で服毒自殺したときに残したものと言われる。

彼は関東大震災の時に「主義者」大杉栄一家を撲殺か絞殺したかで、軍籍をはく奪され、のち満州映画社長となった。

さて、日本陸軍は国民に「パンとサーカス」を与えることによって国民を熱狂させ、大正の行革を封殺した。「サーカス」とは連日新聞をかざる帝国陸軍の戦勝記事である。今のテレビのワイドショーで連日のタレントネタで熱中する日本人とおなじである。

国民は飽きっぽく、すぐにそっぽを向く。現代と同じである。じゃによって、毎日、見世物を提供しなければならない。帝国陸軍は自転車操業である。毎日、戦勝ニュースを新聞紙面に提供しなければならない。オリンピック報道のようなものだ。各種のスポーツ報道とまったく同じである。

そうしないと、自転車は倒れてしまう。たえずペダルを漕いでいなければならない。毎日戦勝のネタを提供する限り、朝日新聞は徹頭徹尾、帝国陸軍の味方であった。

毎日朝起きると芸能面や社会面をチェックするようなタレント事務所の社長のような連中が帝国陸軍の中枢だったのだ。

マスコミによって作られる世論というものは、マスコミというゴロツキ、無頼漢に影響される。世論は無視すべく、かつまた注視すべきものではある。その辺のさじ加減が為政者には必要だ。

+ 「おおばくち」というのは勿論帝国陸軍が行った昭和の戦争である。なかんずく太平洋戦争である。皆様ご案内のとおり、ばくちで丁の目を出し続けることは不可能である。

ここでビギナーズラックである満州帝国で打ち止めにして守勢を固める手はなかったか考えてみよう。

そうすれば、明治維新以来の大業に加えて満州帝国を保持できた可能性はある。しかし、国民には厳しい経済生活を要求しなければならない。それでは持たないと帝国陸軍は考えたのだね。国民は飽きっぽくて、こらえ性がないからね。

日本政府と帝国軍隊は目先もっとも安易な道を選んだ。それが誤まりのもとであった。


リストラ恐怖症が太平洋戦争を生んだ

2008-12-25 11:28:34 | 社会・経済

昨日の国会でなにやらいう法律に渡辺美智雄だっけ、その息子だったかが造反した。今朝のテレビではもてもてだ。彼には行革担当大臣時代の官僚や官僚の利便代表者である自民党議員に対する怨念があるようだ。

さて、昨日のTBSで太平洋戦争開戦のころの話をやっていた。ビートたけしが東条首相役だった。ま、どこまで本当か分からんが、当時の主演級人物のリキャップにはなった。むりやりこじつけた結末のコメントはさすがにTBSだけあって、まったく 噴飯ものではあったが。

前にも書いたが大正末年、昭和初期に職業軍人は軍服を着て街を歩けなかった。「税金泥棒」とののしられたからである。街に遊びに出るときには背広に着替えていたわけだ。

第一次世界大戦後の好景気も終わり恐慌の真っ最中。今の日本のような状態だ。陸軍、海軍の軍縮が政治の大きな課題だった。それに恐慌をきたした職業軍人が巻き返しをはかったのが満州事変だ。

成功してみると国民は拍手喝采、軍隊の行革などどこかへ行ってしまった。国民に見世物と飯を与えたわけだ。ローマ流にいえば、統治のコツは「パンとサーカス」である。

国民は戦勝のニュースにわき、景気もよくなった。いうことはねえ、とね。

行革へ逆戻りの恐怖は軍人には根強い。今の官僚とまったく同じである。そして心地よい国民の喝采を受け続けるには絶えず新しい戦争を仕掛けなければならない。これはもはや、職業軍人(適切正確に表現すれば軍事官僚)の強迫観念となった。いろいろと表向きの理屈はあるがね。

それで図に乗りすぎて、欧米なかんずくアメリカへの目配りがおろそかになった。ヤクザだってシマを拡張するときには頭を冷やして状況を分析するだろうが、これがお粗末だったのだ。

アメリカも日本と同じことを考えていたのだが、日本が図に乗ったのでいい口実ができた。日本と戦争しても世界の世論に迎合できると踏んだのだ。このときには踏む、はふむとよむ。麻生首相は正しいのだ(広辞苑14)。14番目の意味ということはむしろ難しい読み方だね。麻生さんは学があるね。

あとはアメリカのほうが役者が一枚上だ。アメリカの西部劇。酒場で無頼漢上がりの保安官がさんざん相手を口で罵って、相手に先に拳銃を抜かせる。そして保安官の早打ちの拳銃が相手をぶっ殺す。最初からぶっ殺すつもりなんだ。百万回も繰り返された手だが、何度見てもいいねえ。殺されるのが自分でなければね。

ビギナーズラック==

ということがある。近代日本は大正と昭和の交わりで二分すべきことは再三言ってきた。前期では台湾出兵もあったが、最初の本格的戦争は日清戦争だ。あれもビギナーズラック的なところがあったが、シナも日本もほぼ同じころに近代化をはじめたからやはり実力で勝ったというべきだろう。シナは清王朝のままで近代化をはじめ、日本は明治維新で体制を一新してとりくんだ。この辺の差もあろう。

日露戦争は多分にビギナーズラック的なところがあった。その余徳は第一次世界大戦でもなんとか続いていた。

さて、大正末期になると維新の元老たちがすべて退場して、明治初期に開始した軍事官僚制度が成熟して、生み出された官僚たちによる政治の壟断がはじまった。

満州事変はやってみたら大成功、しかし戦術的には、だ。現地の独断で中央を無視した弊害は大きかった。それに日露戦争で見せた周到な外交的配慮が全くない。現地の軍人が独断でやったのだから当然である。今回はビギナーズラックは一回だけだった。

競馬でもそうだが、ビギナーズラックというものはあるものだ。神風でも 天佑でもなんでもない。ただ、国際政治での戦略的配慮がないから、成功と同じあるいはそれ以上の逆効果があった。

競馬でも大穴を当てたあとは後ろを気にしながらタクシーで早々と競馬場を離脱するものだ。どこで、大穴配当の払い戻しを見ているやつがいるかしれたものではない。そういう注意を全然しないからアメリカという配当金強盗にまんまとやられたのだ。

身ぐるみはがれてスッテンテン ===

あの日露戦争でも講和条約で正当に分捕った戦利品に三国同盟からイチャモンをつけられている。第一次世界大戦後の軍人専横の戦争の戦利品などすべて取り上げられた。それどころではない、明治維新後60年の大業の成果もすべて奪われた。

この一条をもってしても、東条などは腐屍にのこぎり挽きの追刑を課されてもしょうがない。

ここで都都逸(川柳かな)を一句

大ばくち、身ぐるみ剥がれて、スッテンテン

さて、読み人をあててごらんなさい。


ラブクラウト味の素風味

2008-12-20 14:13:24 | 社会・経済

今日の夕刊フジに「日本人の肉は美味!?」という記事がある。ドイツのニュースサイトがパプアニューギニアの人食い人種の話しとして伝えるところによると日本人の肉が一番うまいという。「欧米人の肉は匂いが強くて塩辛い」そうだ。

これで思い出したが、ボルネオの首狩り族を調査したときの話だ。人肉がどんな味がするのか調査した人類学者がいた。鶏肉、牛肉、豚肉、魚肉などを食べさしてどれが一番人肉の味に近いか聞いたところ、肉の種類は忘れたが味の素で調理した肉が一番似ていたそうだ。

味の素はアミノ酸だし、日露戦争の後で販売されてそのころには(太平洋戦争中)ひろく日本人の食卓にのぼっていただろうから、あるいは原因は味の素かもしれない。

あなたの彼、彼女に味の素を何にでもかける人がいたら気をつけたほうがいい。中華料理屋は味の素を使いすぎるとして厚生省から注意されたことがある。なんでも過量につかえば害が出る。体がやたらとほてったりするそうだ。

もっとも、手首ラーメン(手首でだしをとったラーメン)というのがあったから中華に縁がふかいのかもしれない。古代シナでは権力者を自宅でもてなすのにわが子を煮てだすのが最高だったそうだから伝統かな。


書評「幻の日本爆撃計画」3

2008-12-18 11:10:53 | 社会・経済

この本は日本の真珠湾攻撃で終わっている。

続編として日米開戦から戦争末期のマリアナ諸島からのB29爆撃実施までのドキュメントがほしいものだ。アメリカ側からみたものと日本側からみたもの。

フライングタイガーを使うシナ本土からの爆撃は実現しなかった。その理由は推測するに

1・日本のシナ本土実効支配は日米開戦前よりか広がっていてほとんどシナ全土を掌握していた。すなわちゲリラ航空隊が使用できる飛行場はシナ本土になくなっていた。太平洋方面でのアメリカ軍の反攻により、日本が劣勢になってもシナ本土の実効支配は変わらなかった。

くわえて、1940年には親日的ないわゆる南京国民党政府が設立されていた。

2・航空機、人員、弾薬の輸送はいわゆるビルマ・ルートが想定されていたが、日本軍は開戦後すぐにビルマを占領した。また、東南アジア全域を制圧した。アメリカ領土だったフィリピンを含めて。したがって、爆撃計画は実行不可能となった。

ま、続編ではわたしの上記の仮説を確かめてほしい。

しかし、当初の非人道的な焼夷弾を使って民間人居住地区を無差別に襲うという方針は引き継がれたわけである。

蛇足だが、事実のドキュメントはともかくとして、本書はアメリカの行動を正当化するトーンで貫かれている。フライングタイガーの計画が実行されていれば、アメリカは真珠湾を攻撃されなかっただろうというのだ。

さらに現代のイラク・アフガニスタン戦争でもアメリカを正当化している。その出汁(だし)に真珠湾攻撃やフライングタイガーが取り上げられている。が、ドキュメントしては興味深い内容だ。

そして将来も宣戦布告なき先制攻撃(いわゆるだまし討ち)を正当化しているアメリカ極右の立場に理解をしめしている。

わたしにはこの本で参照されているドキュメントを検証することはできないが、ぜひ日本の歴史研究者にフォローしてもらいたい。


「幻」の日本爆撃計画2

2008-12-18 10:11:57 | 社会・経済

+++ 焼夷弾 +++

焼夷弾という言葉が分かる人たちが今の日本でどれだけいるか。燃え残りの実物を見たりさわったりした小生には、特別の感慨を催させる言葉である。

要するに民間人の大量虐殺のみを目的としてアメリカ軍が開発した殺人装置である。油脂や黄燐をしみ込ませた布を大量に束ねて上空から民間家屋の上に散布するものである。

爆弾と違い破壊力は小さい。また焼夷系の兵器として開発されたナパーム弾のように瞬間的な殺傷力もない。一弾で広範囲な目標を瞬時に破壊することもない。したがって鉄とコンクリートで出来た軍事施設にはまったく効果がない。

また、野外に展開する軍隊や移動中の訓練された兵隊たちを攻撃するには非効率的なものである。

それは民間人の、とくに日本の可燃性の高い家屋の密集した地域に恐ろしいまでの虐殺力を発揮する悪魔の兵器である。その非人道性、大量虐殺性は細菌、生物化学兵器以上である。

日本爆撃には当初から焼夷弾を使うことが決まっていた。はじめから軍事拠点ではなくて人口密集地帯の民間人居住地区を狙ったものだ。シナ本土から傭兵を使って爆撃する幻の計画でもそうだし、昭和19年から始まったグアム、サイパン、テニアンからの実際の日本本土空襲でもそうだった。

そのためにアメリカは虐殺を手際よく行うために段取りを考えた。なにしろオペレーション・リサーチの国だからね。

昭和二十年三月の東京大空襲ではまず偵察機が日本上空に飛来、東京上空の気象条件を調べて後続編隊に打電する。快晴、視界良し。強風、火つけに絶好と打電する。

日本の防空部隊はこの偵察機を空襲と誤解した。したがって偵察機が関東上空を離脱すると警戒警報を解除してしまった。やれやれと人々が防空壕からはい出してきたところにB29の大編隊が飛来する。これがいやがうえにも被害を増大した。

まず深川本所が入る地域の外延を丸く囲う円環に焼夷弾を投下する。こうして炎の中に住民を閉じ込めて逃げられないようにしてから円環の中に焼夷弾を投下していく。ちょうどマンションの床に隙間なく絨毯を敷き詰める要領である。

英語ではcarpet bombinng あるいは pattern bombing という。

3月10日夜の二時間で東京都民の死者は10万になった。

ちなみにサンフランシスコ平和条約では東京大空襲をはじめとする無差別都市爆撃と原爆投下の罪を追及する権利も日本は放棄している。サンフランシスコ条約はなにも東京裁判の判決を認めるとか認めないとかの問題だけではなのだ。

この本「幻の日本爆撃計画」をよんで日米開戦の数年前からアメリカはすでに民間人大量虐殺用の焼夷弾を使用した宣戦布告なしの先制奇襲攻撃方針が決定していたことを知った。銘記すべきことである。


派遣切り報道に見る対称性のくずれ

2008-12-17 22:47:12 | 社会・経済

金融危機、アメリカ沈没寸前、円高、実体経済悪化などの影響で雇用問題が日本でも深刻になっている。

派遣切りとか期間労働者が解雇されているというのだが、この報道ぶりでNHKの張り切り方が異常だ。最近ではニュースで第一項目だし、延々と時間をかけてやる。それも分析とか全体像を伝えるというのではなくて、首を切られた個人のうち、ごく限られて数人にだらだらとインタビューをする。ま、一番簡単で芸のない報道だ。

雇用問題は重要だが、他にも重要なニュースがあるし(特に今日なんか)、時間配分が狂っているとしか思えない。しかも、腹が立つのは犯罪的性質をもつ視聴料を不正に徴収しているNHKがやっていることだ。全産業が不況で苦しんでいるのに視聴料は下げるどころか上げようと計画している。

てめえーが正義ずらをして報道している雇用問題などNHKには無縁である。

もっともウラを返せば、民放はスポンサーのことがあるから雇用問題を扇情的に取り上げられないということもある。それを勘案してもNHKは異常だ。

キカン労働者というから最初は基幹労働者かと思ったぜ。期間労働者なんて言う言葉があるんだね。

派遣とか期間契約とかがいかんと言われているが、これは現代最大の害毒である労働組合の排他的既得権益を確保するためにある。連合なんかが、偉そうなことを言っているが、自分たちの給料を下げてともに分け合おうといえないのか。

労働組合員の既得権利というのは官僚の特権的既得権利とまったく同じことを認識しなければいけない。両方とも「チェンジ」の対象である。


「幻」の日本爆撃計画

2008-12-11 22:46:34 | 社会・経済

左欄に紹介した本の書評だが、100ページほど読んだところだ。文章はよくない。わかりにくい。原著者に責任があるのか。訳者に責任があるのか。おそらく原著者の責任が大きいのだろう。航空オタクの弁護士だというが、ノンフィクション作者としては手慣れていない。

この塩谷という翻訳者はゴルフのハウツーものばかり訳している人らしい。このへんにも問題があるのかな。

ま、内容が斬新だから、紹介は引っ込めないが。英文のタイトルは「Preemptive Strike」すなわち「先制攻撃」である。アメリカは日本の真珠湾攻撃の数年前から重爆撃機とパイロット教官、軍事顧問をチャイナ軍(シャンカイシェク)に送り込んで、シナ本土から日本を爆撃する計画があったという「史実」を紹介している。

念のために言うと、当時アメリカは日本とは中立関係にあった。それをほおかぶりして蒋介石のマークのついたアメリカの爆撃機で日本を先制奇襲攻撃しようという計画である。これは当時のソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破って昭和二十年に満州、カラフト、千島列島を侵略したのと軌を一にする国際条約違反の裏切り行為である。

つまり、アメリカの傭兵がチャイナ国民党軍をよそおって、日本本土を爆撃、襲うというものだ。

この傭兵をフライング・タイガーというのだが、このなれのはては数年前まで日本に民間貨物航空会社として乗り入れていた。フライング・タイガーというとおどろおどろしいイメージの付きまとうCIAのような秘密テロ行為と破壊工作をもっぱらにする暗黒集団という印象をもっていたものだが(どうもわたしも古いね)、その興味もあって書店で見つけて購入したわけだ。

読みさし書評、その一、つづく

そうそう、日本の出版社は日経新聞出版社というんだね。これも意外だった。産経新聞なら「らしい」んだけどね。もっとも、日経は12月8日に日米交渉を担当した野村大使の昭和天皇への言上書(報告書)を紹介していたが、これも日経新聞だからおやとおもったね。こんなくだりがある。

「米国政府は終始東亜の現実を無視し、その抱懐する空疎なる独善的理念を固執し、これを帝国に強要」(イラン、イラクに対するブッシュみたいだね)、また「国交断絶または戦争状態となることは国務長官も予期しており、陸海軍に警告していた」、そして「大統領はじめ帝国が不意打ちをあえてせりと言うは自己弁護にすぎぬ」などなど。

+ 百四、五十ページあたりまで読んだんだけどメリハリのない記述でどうもすっきりしない。巻末に年表があるからそれを最初に頭に入れるのがいいのかもしれない。

アメリカの援助で蒋介石が空軍を作って日本に対抗したいというのは満州事変のすぐあとかららしい。1935年にはアメリカに軍事援助の働きかけを始めている。アメリカ空軍のパイロットで冷や飯を食っている連中を高給でシナに誘っている。

中立関係にあった日本に宣戦を布告しないまま、アメリカがチャイナを使って本腰を入れて実質的な戦争を仕掛けようと策略をめぐらし始めたのは1940年らしい。

1940年の12月8日にはホワイトハウスで大統領が計画の検討をしている。これがちょうど真珠湾攻撃の1年前というのも妙な気がする。もちろんアメリカ東部時間だろうから一日ずれてはいるのだが。

1941年に入ると国民にも本当の意図を隠して、蒋介石に武器、パイロット、航空機を供与できる法律を作っている。

そして大量の戦闘機、爆撃機、アメリカ軍パイロットの供与(アメリカ国外でチャイナ本土に設立された民間会社と雇用契約を結ぶ形にして法律をすり抜ける)を開始している。

これに対して日本はどうか、1941年の1月26日になってようやく山本連合艦隊司令長官は真珠湾攻撃の研究を命じている。

アメリカは1941年7月31日対日先制攻撃計画を秘密裏に承認している。

日米交渉は並行して行われていたが、アメリカが真珠湾攻撃後、日本は一方で交渉をしながらうらで攻撃の準備をしていたと非難しているが、この経緯をみるとそんなことが言えた義理かということになる。

1941年2月には東京にあるアメリカ大使館員は日本の都市の建物は燃えやすく、隣家との間が狭く密集しているので焼夷弾を使えば簡単に火の海に出来ると報告して、空爆目標の資料を本国に送っている。日本ではようやく真珠湾の軍事施設に限定した計画を検討し始めたばかりである。

アメリカやチャイナは最初から都市に住む民間人の大量殺傷を目的としていたのである。

++ 本書で利用されている原資料はすでにアメリカで公表開示されているものという。日本人研究者も今後積極的に研究してほしい。あわせて日本側の資料もさらに発掘するような努力を期待したい。勝者の書いた歴史もそろそろ本腰を入れて見直さなければならない。

NHK篤姫の怪我の功名で明治維新勝者の書いた歴史にも別の角度から光が当てられたわけだからね。


開戦5年前に日系人強制収容所

2008-12-04 08:25:37 | 社会・経済

産経新聞はマイナーで読む人も少ないと思うので昨日の記事をひとつ紹介しておく。

『日系人収容所、開戦5年前に構想、ルーズベルト大統領覚書、ハワイ上陸警戒

産経新聞12月3日朝刊7面』

昨今の情勢を勘考すると、対馬、日本海沿岸の防衛のために日本も早急に考えないといけない。隔離の必要性は白人の中の日本人以上に外見上から識別が難しい国内反日分子対策として喫緊の急務である。


小泉容疑者って曽我兄弟みたい

2008-12-03 18:51:05 | 社会・経済

厚労省もと次官殺傷事件の小泉容疑者は愛犬仇討の目的で10年前埼玉に出てきたという。

まるで曽我物語だ。忠臣蔵でも準備期間は1年だろ。曽我兄弟は二十年だったかな。

報道で「執拗に強い殺意を持って何回も刺している」なんてことをニュースで言っていたが、これもとどめを刺すというパターンだ。仇打ちという発想、長期間周到な準備、とどめにこだわること、この点だけでいえば武士の行動パターンだ。

さて、この記事を読んで深く考えないこと。浅野内匠頭は切腹する前に吉良上野介に致命傷を与えたかどうかが心残りであった。執拗に問いただしていたという。

+ もちろん、愛犬ポチだったか、シロだったかの仇討というのは変だが、武士の心を忘れてはいけない。数十年前日本に対してホロコースト作戦を強行したアメリカにこそ国民的規模で曽我兄弟的モラルは向かうべきだという意見もあるそうだ。

++ アメリカ占領軍が歌舞伎の忠臣蔵上演を禁止したのは有名なはなしだ。悪いことをして気が咎めていたから怖かったのだろうね。仕返しをされるのが。忠臣蔵、赤穂義士の映画制作も禁止された。だいたい、仇打ちに関する芝居、映画はすべて禁止された。

曽我兄弟の物語は歌舞伎や能にあったと思うがもちろんアメリカが公演を禁止した。修身の教科書にあった曽我兄弟の話も墨で塗りつぶすように占領軍に命令された。修身の教科書に忠臣蔵の話があったかどうかは記憶にないが、曽我兄弟の話はあったらしい。副読本だったかな。