東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

田母神氏のその後

2008-11-29 09:20:54 | 社会・経済

小生は騒動後の田母神氏の言動を注目していた。虚像か実像か、世間では往々にして意外なことがあるからである。

彼のその後の言動を見ていると、やはりしっかりとした人物のようだ。昨日の産経に「田母神前空爆長に聞く」というインタビューがあったが、いうことは落ち着いていてしっかりしている。これなら大丈夫だ。

さて、昨日は雑誌WILLを買った。この雑誌広告がうまくて買いたくなることがあるが、中身が水っぽいこともある。花田さん、ごめんなさい。

昨日の号は粒がそろっていた。中西輝政氏、渡部昇一氏、西尾幹二氏など田母神論文の解説としてはわかりやすい。

かく申す小生、今に至るまで肝心の「田母神論文」は読んでいない。読まず、調べず書く当ブログの面目躍如?だ。したがって田母神論文の内容を評したことはない。

私が過去数回の記事で弾劾したのは、政府が村山談話をタテに処分をした異様さである。村山談話のようなものを閣議決定する権限を国民は政府に与えていない。国家にとって最重要な問題についての重大な越権行為であることである。また、談話発出にいたる経緯のいかがわしさ、その出生の私生児性である。

この問題は上記WILLの各氏も指摘している。

それと、自分の国を悪しざまに教育された隊員に死を賭しての国防活動を要求する矛盾である。これも何回か当ブログで触れたが、毎年5兆円も払ってアメリカから買う武器がその威力を発揮するのは自衛隊員の士気の高さがあってのことである。武器の性能を実地に一度も試さず、隊員の士気を減退させるようなことばかりやっていては5兆円が500万円ぐらいの効果しか発揮できない。

対馬や横須賀基地周辺の重要な拠点を胡散臭い第三国人が手に入れようと、またすでに手に入れたということが問題になっているが、この辺を野放しにしておけば5兆円は5円の価値しかなくなる。

5兆円はアメリカに対するリベートと割り切ればいいんだけどね。武器はほんのオシルシというわけだ。

+ つけたし

政府の処分が村山談話を教育勅語のように振りかざすような狂乱ぶりをしめさずに、自衛隊のトップが政治的見解、歴史的認識を自衛隊以外で公表するのは好ましくないというのなら、なんとなくかっこうはついている。こういうことはほかの役所でも企業でもまま見られることだし、一理はある。

しかし、インチキ私生児文書である村山談話を戦前の軍人勅諭のように神聖冒すべらざるものの如く押し頂くような痴態を演じるなら浜田防衛相は精神病院に入ってもらうしかない。


官僚の寄与率は5パーセント

2008-11-27 08:30:10 | 社会・経済

さて、戦後の日本の奇跡的な経済復興とその後の驚異的な高度成長は日本の官僚の優秀性を示すとしたり顔に言うPAKAがおる。pakaをいってはいかん。

オイラがパソコンで試算してみた。OSはマイクロソフト・DOS5.1だ。最新鋭のOSだぜ、DOS6が出るまではね。

それによると、経済成長に対する寄与率(貢献率)は次の通り。

政治家:15-20パーセント

官僚:  5-10パーセント

国民: 70-80パーセント

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前回述べたように官僚が有用な存在でありうるのは政治のコントロールが効いている場合である。そして取り組むべき課題が単純である場合である。

戦後の経済復興期:

官僚制度は一度崩壊した。一からやり直しで幼児期、つまり明治初期と同じだ。そして経済復興という課題は単純明快である。いくつも手段があるわけではない。基幹産業に資金を集中することである。PAKAでもわかる算術の世界である。官僚制度が脆弱だから政治家が死に物狂いで指導しなければならない。

高度成長期:

官僚制度はようやく少年期を脱しようとしている。国策決定には政治家の役割が圧倒的につよい。課題は欧米先進国に追い付けである。日本人というのはモデルが外にあると真似るのがうまい。だから外国人にはサルと揶揄されるが。課題を解くのにはせいぜい一次方程式だ。中学一年のカリキュラムかね。

そして東西冷戦という世界の「秩序」がゆるぎない。あれこれ迷う余地はまったくなかった。

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問題は平成になってからだ。昭和初期と同じような状態になる。

官僚制度は爛熟完成し「精緻」となり、腐臭を放ち始めている。欧米はもはやモデルにはならない。世界には冷戦という明確な秩序もない。

政治家は官僚制度という「無停電電源装置」に任せておけばその場はしのげる。官僚という「オートパイロット・ソフト」のスイッチを入れておけば、安心して利権あさりに専念できる。政局に没頭できるというわけである。

加えて二世、三世化が進み、痴呆化が常態となる。本来の政治をやろうとしても出来なくなっている。

めでたし、めでたし、おわり

つけたし:

司馬遼太郎という作家がいる。調子のいい話は一ページおきに陳腐な「教訓」を三ページほどはさんで、退屈な小説を長々とかけるが複雑な時代は描けなかった作家だ。

彼は大正、昭和初期を描かない。また、飛鳥時代とか古代を描かない。描けない。いずれも一次方程式では理解できない時代である。「昭和はわからん、輝かしい明治時代とは国が違うようだ」てなことを言っていたと記憶するが、そうじゃないんだね。彼の手にはあまる時代なのである。

霞が関の高級官僚にはことのほか司馬遼太郎の愛読者が多いそうだ。わかるね。


官僚が使える条件

2008-11-26 07:49:02 | 社会・経済

日本の官僚が優秀である ?

「PAKA」を言ってはいけない。官僚が道具として使える条件は限られている。

1・政治主導の状況にあること。官僚には頭脳がない。あるのは工作機械を制御するCPUだけである。

2・問題に対する解が一つしかない場合のみである。すなわち問題が算術で解ける場合、ゆずっても一次方程式で設問出来る場合だけである。

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道具として、刃物としての官僚には定期的な手入れと管理が必要である。しかし、これは大きな矛盾を含んでいる。官僚というソフトのバージョンアップを繰り返すと、ソフトは肥大化する。コンピュータソフトの場合とことなり、官僚の場合は肥大化は自律化をうながし、肥大化は無責任化を必然的にもたらす。

最初のでき合わせの道具をより強力な道具にするために手入れを加えるたびに、官僚制度の最初の目的を土台から侵食する運命にある。なぜなら、官僚制度が自律化し、無責任化する過程が進むたびに国民福祉の道具としての切れ味は衰えてくる。

寿命は5,60年とみてよいだろう。

+ さてお立ち会い。戦前の日本を滅ぼしたのは軍国主義だという。PAKAを言ってはいけない。

日本を滅ぼしたのは軍事官僚制度である。問題を正しく表現することは非常に重要である。

明治維新後、すぐに軍事官僚作りに着手した。ここでは一応次の官僚養成学校設立を起点として考える。

陸軍:陸軍士官学校創設 1874年、陸軍大学校創設 1883年

海軍:海軍兵学校創設 1876年、海軍大学校創設 1888年

政治のコントロールが利かなくなったのは大正末期から昭和初期であろう。官僚制度が確立し肥大化した。明治維新後政治を主導してきた、幕末の動乱を生き抜いてきた政治家がいなくなった。元老と言われる最後のひとり、山県が死亡したのは大正末年。

皮肉なことだが日本の軍事官僚制度を作り上げたのはその山県有朋であった。

以後、昭和二十年の亡国まではシッチャカメッチャカの軍事官僚横行時代である。

明治初期から昭和初期まで約50年あまり。その後、昭和二十年までは混乱時代といっていい。

国家予算に占める軍事費は時には50パーセントを超えた。これをほしいままにしたのは議会でも政府でもない。軍事官僚たちである。

軍事官僚と言うと若い諸君には見たこともなく、実感がわかないかもしれない。そういうのを想像力の欠如というのである。

現在の国家予算を一番使うのはどこかね。厚生労働省だろう。次が国交省かな。この辺の官僚の弊害は戦前の軍事官僚と同じレベルに達しておる。なぜなら1945年の戦後から5,60年たっておる。弊害の極にある。はやくぶっ壊さなければいかん。厚生労働省の高級官僚が日本を破壊しつつあるといってもいい。

いま、うまく手早く処理しないと今後の十年、二十年は昭和初期の混乱、疲弊と同じになる。

ちなみに、ソ連だ。もともと社会主義というのは官僚制度そのものだが、ソ連で官僚制度が確立したのはスターリンが完全に国内の政治抗争に勝利した1920年代末だろう。ベルリンの壁崩壊が1988年だったかね。やはり5,60年間しかも持たなかった。もっともスターリンの官僚主義があったからこそ、ロシアは軍事大国になったのだが、やがて官僚制度の肥大化で恐竜のように倒れた。

それにくらべると、江戸幕府の官僚制度は260年間持たした。やはり大したものだ。260年の間に三回か四回、大きな改革(チェンジね)に成功したのだろう。インターバルは5,60年という計算になるね。

>> 新しい記事へ続く


ヤキのまわった小沢一郎

2008-11-26 06:35:46 | 社会・経済

小沢一郎は地中から掘り出されると、地表で干からびてしまうミミズかもしれない。やはり闇が似合うのか。

相変わらず、マスク、マフラーにコートを着用して屋内を歩き回っている。小沢ファッションは流行るかな。

「国会を解散しろ、解散しろ」と言っている。彼のやり方は、さかりのついた高校生が間抜けなニキビ面で「俺にもやらせろ、俺にも一発やらせろ」といりきりたっているようにしか見えない。

やりかたがあるだろうに、拙劣にして滑稽である。もっとも、おいらは麻生なり自民党がいいといっているわけではない。ほとほと困惑をしておるのである。

解散に追い込みたければもっとスマートな方法がいくらでも正攻法であるだろうに。

今の政界の状況は次のようなものだ。レストランに入って注文したら妙な料理が出てきた。苦情を言って取りかえさせたら裏で同じ皿のものを適当に塩梅してまた出てくるようなものだ。匙が汚れているといったら、真黒な雑巾で汚れをこそぎ落としてまた出してくるようなものである。

国民はどうしたらいいの。教えて蝶チョ。


5兆円のミカジメ料

2008-11-22 17:47:10 | 安全保障

極東最大の軍港横須賀の話。日米両海軍の第一の監視所がおかれるべき地点が私有地でロシア人やチャイナ人が土地買い占めを画策していると産経新聞が数日前報道した。今日の夕刊フジもフォローしている。

5兆円がアメリカに払うミカジメ料と思っているから、自衛隊員の士気に気を使うこともない。レフティに厳正過酷に対峙することもしない。基地周辺の土地をを反日勢力が買い占めることにも危機感がない。

対馬の自衛隊の基地周辺の土地が半島人に買い占められているという報道もある。

毎年数兆円をアメリカに払って買っている武器は、あれは風俗業や盛り場の飲食店がヤクザからばか高い料金で買わされているいオシボリだね。大企業にヤクザ企業がミカジメ料の対価という名目で納入しているチャチな観葉植物だよ。

問題は肝心な時にヤクザが体を張って守ってくれるかということだ。まず期待できない。

あの介護パンツのヒラリー・クリキントキが次の国務長官になるそうだが、そうなると全く期待できない。下手をするとチャイナに売り渡されるゼ。


宅配便のサービス格差

2008-11-22 14:04:52 | 社会・経済

敵もさるものである。宅配便業者でも企業向けが主体のサービス、たとえばビジネスメールなどの配達員は感じのいい人間を当てている。

小包を乱暴に放り投げる個人宅むけの作業員とは別の会社の人間のようである。個人向けのサービスは地元の零細な運送業者や炭屋や氷屋(古いね、むかしそういう商売をしていた店という意味)、に外注していることが多いようだ。

企業向けは利益率が高い分野なのか。企業はサービスに問題があると個人と違ってすぐにクレームをあげてくるからだろう。

地域格差もあるらしい。高級住宅地を担当するサービスと場末では差があるという。顧客からのクレームがきつく響くところではサービスを手厚くするのだろう。当然だ。アキンドというものはそういうものだからね。


5兆円はドブに捨てられる金額ではない

2008-11-21 20:10:34 | 安全保障

防衛予算は5兆円というが、役に立つのかどうか分からない。一度も使ったことがないからね。

毎年5兆円、もちろん30年も40年も前はそんな額ではなかったが、貨幣価値の変動を考えると(現在価値で考えると)5兆円と言ってもいいだろう。50年とすれば250兆円も使っているわけだ。

金は使っているが、武器は使っていないから本当に役に立つかどうかは分からない。

日本の防衛費は人件費が多いからなんて言う。自衛官に民間企業並みの給料を払っているという。自衛隊員と言うのは何人いるのか。ひところ30万人とか言っていたが、一人年間の人件費が福利厚生費などもろもろコミで500万円ということはないだろうが、仮に500万円としても30万人分で1兆5千億か、結構たかいね。ま、1兆円たらずというところかな。こんな数字は防衛白書を調べれば簡単にわかるのかな。

費用の大半は装備費というのか兵器の購入費だろう。ほとんどが米国軍需産業からの輸入だ。その値段がめちゃくちゃらしい。金のない小国には安い値段で売るのを日本にはその何倍もの値段で売りつける。

そのくせ、アメリカは最新兵器を売らない。2級品、中古、型の古いものだけだ。最新兵器を売ると技術が盗まれるとか、日本の防諜対策を信用できないという。たしかにその通りなんだが。

それなら、日本で開発するなんていうと、アメリカは猛烈な圧力をかけて阻止する。

それに武器輸出禁止なんていう「国是」があるから日本は兵器の大量生産ができない。ということは単価が浮世離れして高くなるから、とても競争力を持てない。おそらくアメリカが世界市場の10倍の価格を吹っかけて日本に買わせている金額よりもさらにたかくなっているのだろう。

ようするにアメリカ以上の優秀な兵器を日本に持たせる可能性を排除するわけだ。アメリカの友好国のチャイナや半島をやっつけられたら困るわけだ。もう一度「真珠湾」をされるかもしれないというトラウマをいまだに持っているらしいしね。

アメリカの兵器がいざとなったら日本の役に立たなくても一向にかまわないわけだ。機能しない消火器を高く売りつけて暴利をむさぼる行商人と同じなのだ。

日本はもうこの辺できちんとした検証をすべきだ。何百兆円もかけた自衛隊が1週間も持たずに壊滅して全国土が占領される可能性はゼロなのかね。心配だ。

日本は要するに、いざという時に消火剤の泡の出ない消火器をべらぼうな値段で買わされている消費者のようなものと言える。これを悪徳商法という。

せめて武器を吟味するときには試し切りはしたいね。納税者に対する義務でもある。辻斬りをしろなんて言わないがね。いまは向こうの美々しいが胡散臭い豪華な通信販売のカタログだけで疑似セレブなショッピングしているおバカさんなOLと同じ状態だ。

日米同盟なんていうのはアメリカの軍需産業を太らすためにあるようなものだ。日本の安全保障の専門家がこれを指摘しないのは指弾されるべきだ。

テレビに出てきて御用を勤める「日米問題の専門家」とか「安全保障の専門家」というのはアメリカ産軍複合体の代理人なのだ。真の安全保障の専門家が出てきてほしい。


安政の大獄はじまる

2008-11-21 10:14:59 | 社会・経済

1052号==>防衛省は田母神論文問題をきっかけに思想問題で防衛監察を始めたと報道された。

本日の産経正論欄で百地章氏が触れているが、いよいよ平成の大獄開始である。天下大乱のはじまりであろう。

いままで防衛監察はもっぱら業者との癒着を対象にしてきたらしいが、これもおかしい。片手落ちである。

われわれが防衛監察という言葉からまず思い浮かべるのは外国に我が国の防衛情報を内報する「スパイ、売国奴的」活動の摘発である。

ところが読者もご案内のとおり、これはまったく行われていない。そして今度は村山談話違反を徹底的に調べるというのだ。狂っているね。


坂本竜馬を超えたって

2008-11-20 08:52:22 | 篤姫

昨夜のNHK「その時歴史は動いた」。薩摩の小松帯刀、西郷隆盛、大久保利通を取り上げていた。ゲストは鹿児島大学の原口泉せんせいだ。

この人、折からの篤姫ブームですこし副収入があったようだ。「小松帯刀、竜馬を超えた男」とかいう本を書店で見かけることがある。本は、もちろん買ったことはない。だから読んだこともない。昨夜のテレビね。

不審なことが多かった。私が言うのもおこがましいが、新資料が最近でたのかね。番組の性質からもっぱら結論というか、論文なら見出しだけでつないでいたが「ほんとかね」という印象。もちろん違うという論拠も手元にはないのだが。

いわゆる倒幕の密勅だが、相当前から準備していたというが、私の記憶では徳川慶喜が大政奉還の奏上を行ったと同日づけか一日前後しているだけだ。

それも討幕の密勅を出してくださいという薩摩の三人が出した申請書の日付だ。申請書をうけて出される密勅の日付はさらにそれより後になる。後世伝わる密勅には日付もないはずだ。

もっとも、原本があるわけでもなく、筆写した体裁のものだろうから、コピーした人間がどうにでも作れるものだ。複数違うコピーが存在していた可能性も大きい。現存する密勅と言われるものには当然のことながら御名御璽は欠落している。コピーたるゆえんである。私が見たのは郷土史家の著作だが。

そのうちの一つを最近原口センセイが古本屋かどこかで手に入れたということか。大体が明治になってから後付けで発行した小切手の可能性も否定はできない。いわゆる勝者の歴史ねつ造だ。

倒幕の密勅の申請は小松、西郷、大久保の連名で倒幕側の公家三人に出されている。一方で小松は慶喜が大政奉還について意見を諸侯に求めた時に真っ先に強力に支持したことで知られている。完全な二枚舌ということになる。小松に限って言えば。

もっとも自然な考えは小松の知らないところで、小松の了解を得ないで西郷と大久保が家老の小松の名前を無断で使ったということだろう。

小松が小御所会議に出席するために鹿児島を出発する直前になって急病(歩行困難)を理由に京都へ行かなかった理由を原口センセイは大胆に推理する。

センセイの主張は西郷、大久保のクーデターをやりやすくするために、小松が自ら身を引いたというわけだ。

つまり脚疾というのは仮病だというわけね。大分苦心の跡がみられる。やはり鹿児島大学の教授としてセンセイは鹿児島の県民感情との折り合いをつけなさったのかな。

数年前から私の主張しているところは、小松の病気の原因は西郷にありというものだ。

慶応三年の末はひと月足らずの間に京都御所でのクーデターに不可欠な二つの事件が起こっている。すなわち、小松帯刀の鹿児島残留、坂本竜馬暗殺。そして徳川慶喜の会議参加への禁止である。クーデターの必須要件がそろったわけだ。この背後に作為されたプロットの存在を否定することは難しい。

もっとも、二つの事件、竜馬の暗殺と小松の病気が西郷たちにとって僥倖的に重なったまったくの偶然ということも言える。しかしその可能性は確率的には天文学的に極微細な可能性である。ナノの世界である。

+ つまり冷酷なテロリスト、非情な謀略の天才、西郷隆盛のえがいた絵図によるものと見るのが無理のない説である。

++密勅という言葉について:

もともと存在していなかった可能性が高い。何もないから、相手の耳元で恩着せがましく「ミッチョク、密勅」と囁くのが陰謀家が用いる密勅の密勅たる所以である。岩倉具視が拵えた偽書であろう。

+++  頭のいい徳川慶喜がなぜ錦の御旗に肝を抜かれたのか。まるでテレビのインチキ誇大広告にてもなくだまされる昨今の主婦のようではないか。

たぶん、慶喜も同じ手を考えて朝廷の徳川寄りの公家に工作をしていたのだろう。密勅が偽であることは分かっていたが、そこは水戸徳川家だ。先を越されたとおじけずいたか。

なぜ、偽の錦旗を正面から踏みつぶそうとしなかったのか。ガッツの問題もある。慶喜の諜報能力がどの程度だったか分からないが、薩摩、長州が欧米から輸入した最新兵器が徳川にまさると判断したのか。徳川側の戦意や戦闘能力に疑問を持っていたのか。

内戦を避けるためにあえて身を引いたというきれいごとが通説である。篤姫でもそうなっている。私には作り話のように思える。


篤姫、資料のない領域に

2008-11-03 08:48:16 | 篤姫

坂本竜馬がぶった切られたとなると、小御所会議まであとわずかだ。たしか一月だったか、このブログで予想したとおり11月中の放送になるだろう。

竜馬の暗殺からインチキ小御所会議(日本語では八百長という)まではほとんど資料のない領域である。歴史家の不勉強、怠慢もある。司馬遼太郎ほかの大衆歴史小説家の安逸に流れた資料集めのサボリもある。

その前に、維新での勝ち組、すなわち長州、岩倉具視らの一部公家の陰謀家、薩摩の西郷たちの跳ね上がりたちが、自分たちに不都合な歴史資料を完全に抹殺したことが大きな理由である。

さて、篤姫のディレクター、脚本家はどう料理をするかな、興味を持って見ているがあまり期待できそうもない。すでに伏線はここ二、三回の放送ではられているわけだが、、

まず、長州の動きが描かれていない。西郷隆盛の描き方があまりにも小物ふうだ。西郷はたしかに小心なおとこで、斉彬の腰ぎんちゃくであり、忠実な狂犬、番犬ではある。

しかし、文久以来の政治的な混乱のなかで日本のアルカイダを率いる首魁として一皮むけている。NHKのテレビにあるように、公家の岩倉具視の御説をかしこまって聞いているようなタマではもはやない。

ちょいとスイートスポットをつっつけば、日本はどのようにも動くという自信をつけたころである。このころの西郷はビン・ラディンを超えたといえる存在である。