胡錦濤体制が2期目に入った。中国共産党大会が閉幕し、定年制をひくために後継体制も用意されたが、なんといっても競争社会がもたらした弊害に言及せざるを得なかったことは、収穫であるかもしれない。
胡錦濤は共産党総書記であると同時に国家主席でもある。中国は共産党一党支配による体制を崩してはいない。年間数億 円の収入のあるものから、わずか数万円の国民まで抱える国家である。この国家が、共産主義体制であると聞いたら、マルクスはきっと驚くことだろう。
数年前に、金正日が「これは共産主義社会でない」と発言して、中国指導者から煙たがられたいきさつがあるが、このことに関しては金正日の感覚の方が正しい。鄧小平の、南巡講和で富めるものから豊かになれば良いと動き出した中国ではあるが、いつまでも富むことができない人たちがいるのはおかしい。
中国は、民意を反映機構が存在しない。その一方で、本来の中国の支配地域である以上の国家になっている。モンゴル、ウイグルやチベット、それに満州も本来の中国ではない。少なくとも漢民族国家の規模を大きく広げ、少数民族の独立を容認していない 。
とりわけチベットは、毛沢東がダライラマの印鑑を偽造し、併合した事実はいつまでも残るし、ウイグル自治区はかつては西トルクメン共和国として、ソビエトが認めていた経緯もある。中国は、ミャンマーに民主化運動に見られるように、民主化や少数民族の独立運動を世界各国で容認する気がない。
中国は世界中に資源を求めて、とりわけ中央アジアとアフリカに着実に地歩を築いている。民族運動や民主化は、中国にとって不都合な要因なのである。自国のそうした運動を認めるわけがない。
しかしながら、中国が世界にとって最も脅威になるのはその人口である。彼らが十分に食べ始めると、世界の食料が一気に底をつく。現実に畜産物の消費が次第に増加しつつある。とりわけ、大豆の消費の増加は、アマゾンの熱帯雨林を破壊することになり、3000万トンを上回る輸入は世界の大豆市場を高騰させている。
日本が、いつまでもアメリカの庇護のもとに経済成長を続けられる保障がなくなりつつある。中国が嫌いな党員を多数抱える、自民党は今後どのように近隣国と付き合うつもりなのだろう。
日本は、中国に対してその社会体制ばかりでなく、経済体制や環境問題など積極的に提言してゆくべきであるしそれができる国家であるが、この国にそんな指導者が出現するのだろうか。