法人所得が、57兆円を超し過去最高の金額になった。これは今まで最高だった、バブル期の1990年をも4兆円も上回る のである。国税庁への申告であるが、32%の黒字法人の儲けがいかにすごかを示す数字となっている。日本は、かつてない好景気だそうである。
資本金が1億円以上の企業の黒字割合は、50%を超えている。黒字企業の平均所得額は、6200万円である。いかに少数の企業が儲けているかがわかる。
これに比して、多くの国民は好景気の実感がわいていない。人件費を、臨時雇用や派遣社員で極端に抑え込んでの業績である。もちろん労働条件も悪化の一途をたどっている。
これは一昔前なら、「企業が労働者を搾取している」と表現されたことである。マルクス経済学の表現になることが嫌われているらしいが、どう見てもこれは”搾取”と表現した方が的確である。それが"格差”と呼ばれるのは、労働者にかつての力がないからであろう。
そういえば、”労働者”とい言う言葉も禁句になりつつあるようである。労働組合の加入率が、30%を切っているとのことである。どこか、食糧自給率に似た動きでもある。
こうした法人の儲けで、日本はかつてないほどの好景気であるそうである。景気の動向そのものが、マルクス経済学と長年対峙してきた近代経済学の評価である。GDPによる経済動向の評価そのものが、大企業中心の考え方なのである。
大企業の収入が増えると、景気が上向き税収が上がるとする市場経済主義は、小泉・竹中路線の結果の今日の状況である。しかし現実には、法人税の収入は政府の優遇税制のために、バブル期に追い付いていない。企業の儲けに比して、法人税の収入は上がっていないのである。
そのため、これ以上の税収が欲しいと、異論を唱える人たちが消費税を17%にするべきと言い始めた。本末転倒である。取りやすいところから取りたいのである。
搾取される一方の国民には、賃金や労働条件の向上ではなく消費税の増税が待っている。これは、国家からの搾取であると表現されないのであろうか?