中国の現体制は社会主義国か? 中国の現状は後進国か? 中国は民主化されているか? いずれも答えは"ノー"である。
中国は後進国(発展途上国)であることを理由に、京都議定書に調印しなかった。その一方で中国は、自らを社会主義体制と言ってはばからない。
中国は当時「最高実力者」という、正体不明の肩書で紹介されていた鄧小平が、海南島で行なった「南巡講和」に現在のすべての答えがある。「富めるものから富む」は、明らかに資本主義体制への回帰である。弱者は貧しいままでいろと解釈できるこの、講和からすべてが始まった。
この南巡講和から、中国は大きく経済体制を市場経済へと転換することになる。その一方で、共産 党の一党独裁は堅持されたままである。本来漢民族は、中国の平原地方にしかいなかった。漢民族の持つ、中国は世界の中心であるとする”中華思想”は、曲げることない。
ウイグル族、チベット民族、モンゴル、満洲族などその他の少数民族に、自治権を与えようとはしない。チベットは日本に宣戦布告を行っているし、ウイグル自治区は1950年代、ソビエトは「東トルキスタン共和国」と呼んでいた時期がある。モンゴルは朝鮮同様、中国とソビエトに分断されたままである。中国は少数民族を抑え込み、彼らに民主主義を与えようとしない。
この10年近く、中国は10%前後の経済成長を遂げている。細部はともかく、大きく捉えると我が国の高度成長経済 時期と、類似の道を歩んでいる。汚染物質の垂れ流しや公害が進み、農民が切り捨てられる。異なるのは、この期間に日本は「一億総中流」意識を持たせたことである。
中国は公害と同時に、信じられないほどの格差社会を具現させた。資本家は数千万円の収入がありながらも、労働者は相変わらず年収十万程度である。これほどの格差社会は、その時期日本にはなかった。搾取社会である。社会主義など微塵も感じさせることがない。
それではこの中国に、自浄能力があるだろうか? 少数民族に自治を与え、社会主義理念を復活させて、格差社会をなくすことができるだろうか? 共産党独裁政権を放棄できるだろうか? 選挙を取り入れることができるだろうか?
いずれも答えは"ノー"である。中国の為政者は開かれた論議の中で選出されていない。談合あるいは指名制で得た地位である。彼らが容易に放棄することはない。一時芽生えた民主化運動も、頓挫したままである。したがって答えは"ノー"である。
中国は巨大な国家である。中国の世界進出を最も恐れているのが、アメリカである。今日この頃になって、突如として中国の戦力の脅威を情報を垂れ流している。とりもなおさず、アメリカが危機意識を持っている証明である。
中国は何処に行くかは、オリンピックによる変化が、中国にどのように起きるかが大きな節目になることだけは、はっきりしている。