そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

変な法律っ

2008-03-24 | 政治と金
Sippo

変な法律ができてしまった。「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律案」であるが、犬猫に問題が起きたら、その製品の販売や製造、輸入を制限することができるというものである。

アメリカで中国から輸入した、ペット飼料を食べて死んでしまった猫が数頭発生した。その後の、国民的大騒ぎになった、農薬入りギョーザの問題がこの背景にあることがはっきり分かる。つまり、ペットの飼料に関する、法律などどこにもなかったのである。なにかあると、動けるように作られたものである。

もうひとつ、昨今のペットブームも背景にある。獣医師も、犬猫のお医者さんになりたい人たちばかりである。産業動物は、汚いし肉体労働なので嫌われる傾向にある。

これはペットだけのことではない。日本では、動物用飼料の中身に関する法律はない。家畜については、製造業者が流通製品の許可をもらったり、販売や中身の報告する程度のものしかない。

つまり食べさせる物の、中身の問題など問われるものはない。今回の法律でも、結局は市場に出回っているペットフードに問題が生じた時に、これに対応する程度のものである。行政のアリバイ的色彩が濃いいものである。

根室地方のように、消耗品となる乳牛を大量に抱える地域では、約5%程度の牛が死ぬ。さらにほぼ同程度の、肉にならないつまり病気や治療中の牛がいるし、腐敗しているものも少なくない。つまり10%少々の牛は、廃棄されることになるが、その多くはペットフードになる。

どんな病気か分からないし、死亡原因など特定されない牛の肉は、加熱処理されてペットフードとなる。ペットフードを食べている、芸人をテレビで見たことがあるが、原材料を知っている者にとっては、とてもできないことである。

ペットフードよりも、乳肉が製品が食料になる家畜の飼料規制の方が、人にとっては重要であろうと思われるが、そんな規制などほとんどないに等しい。肉骨粉の規制が例外的であるが、畜産農家はどんな餌を家畜に与えようとも、基本的な規制はない。乳肉卵などの製品への規制はある。

これはどこか片手落ちの気がしてならない。乳牛など、様々な泌乳効果の高いものを当てられている。健気に必死に牛乳を身を削りながら、泌乳している。乳牛に大量の穀物を投与すると、沢山の乳を出すが、おかげで牛は青息吐息になり、獣医さんは修理に忙しい。

犬猫に問題が起きたら、制限をしますよという今回の法律であるが、これは問題があるから入れない、あれは安全性に問題があるから加えてはならないとするのが、本来の法律であるべきである。変な国である。

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9427

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