30年近く前の、いわゆる”ロス疑惑”で、三浦和義がアメリカ司法によって裁かれることになるかもしれない。この事件は、日米双方の協議で日本側が裁くことになって、結果無罪が確定している。
個人的な感情などから見ると、この男はかなり胡散臭いところがある。言動を見ても好きになれないし、直感的にもこの事件に関しては有罪を個人的には強く疑っている。
しかし、アメリカ(カルフォルニア)がとった今回の行動は、きわめて高圧的で問題である。自国の主権の及ぶ地域に彼が来るのを確認して、逮捕した。しかも、無罪が確定した資料を法務省に提出を求める。どうやらこれに応じるようである。困ったことに、独立国家ととても思えないような法務省の対応である。
アメリカに言われるままに、インド洋で燃料補給するしアメリカ国債をたっぷり買い込んでやる。日本がアメリカに対する姿勢は、一貫しているともいえる。とっくに退職した当時の担当官を再雇用したのか、ジミー佐古田という日系人を担当に充ててまで対応するアメリカ高慢な姿勢も一貫している。
一つの事件で再度裁けない、一事不再理の万国共通の原則などお構いなしである。一時不再理の原則はアメリカ憲法でも規定されている。2004年9月に改正されようだが、法以前に犯したことは問われない「刑罰不遡及」の原則は、どこの国でも法律の大原則である。
日本は自国の法律で判断したのである。しかも両国の事前協議の結果であるから、毅然として一事不再理の原則を貫き、資料提出などこれを拒否すべきである。
アメリカの姿勢は、日本の法律のもどかしさによる苛立たしさからの行為に見えて仕方ない。これだけ資料があれば有罪にできるとした、高慢で感応的な姿勢に思えて仕方ないのは、私だけだろうか。
この反対のこと、つまり日本で有罪が確定した場合は、アメリカは当然拘束などできないわけだから、無罪証明のための行動はとれない。他国の刑務所まで追いかけて再審する権利も資格もない。今回の拘束は、法的には不可能なことなのである。
もしくは、アメリカで無罪になったものを再度日本が審理を行うようなことを、日本がやるだろうか。
政治犯や非人道的なことは別にして、今回のようなことをロシアや中国に対しても同様の行為がとれるだろうか。アメリカの言いなりになるのは、政治の世界だけではないようである。司法上の問題もさることながら、国家としての威信を示せないのだろうか。