石油などにかかわる、暫定税率が”無審議”のまま、時間切れでとにかく安くなる。この暫定税率は、あくまで「暫定」なのであってこれまで、何度も継続となって、事実上固定された法案のようでもある。
自民党は、多数党の経験しかなく、現在のような衆議院と参議議員の多数党が異なる”ねじれ”国会の経験がない。何とかなると、かかをくくっていた節がある。
一方の民主党も、石油の価格を下げることばかりを主張するものだから、自民党が一般財源化の話を持ってきても、ここは妥協しない方が政党として有利になると判断しているようである。 いわゆる、政局判断である。
自民党は、党内をまとめず前提税率の一般財源化を打ち出した、福田首相に冷ややかである。政局判断するなら、ここで協議に応じた方が、自民党内部が混乱して有利になると思われるが、建前を下ろさない。
暫定税率を道路だけの特定財源に留め置くと、官僚のことである。あるだけ使 うし、10億円予定を平気で100億円道路にしてしまう。5年を10年にしてしまう。もちろん無審議で、好き勝手な使い方をするのは、目に見えている。
民主などの野党の追及も、金の使い方を指摘するなら、税の運用を正常にすればいいとするのかと思うと、だから無くせというやや曲った論理しか展開できない。
ガソリンを安くして、どんどん使わせるより一定の金額を環境などに用いるべきである。これが「暫定税率」の正論で、与野党それぞれの腹の中では思っていると推察される。
政党間協議の経験が浅く、ディベートを建前とメンツで語る日本の風土ではそれもかなわぬことのようである。根回しばかりやっているから、成熟した論争ができないのである。
暫定税率は、コメの減反政策に似ている。減反政策は、方向性をもった法律や政策などでなく、補助金の出し方だけの中身的にも暫定のものであった。毎年々々その時々の、自民党の農林族の力関係で決められたもので、その場しのぎの妥協的大局を見失う選択だったのである。
どうやら、今回の暫定税率も同様のものになりそうである。