鳩山由紀夫が失脚した大きな理由は、「抑止力を勉強していなかった」ためといえる。鳩山自身が知らなかったと、吐露する抑止力とは一体何だろう。社民党の照屋寛徳氏が、<在沖米海兵隊の「抑止力」に関する質問主意書>を提出していた。
その回答が閣議で答弁書がやっと決定されて、照屋氏に回答が来た。答弁書は2週間も延長されたとのことである。前例のないことを、照屋氏はよほど困ったのだろうと皮肉っている。照屋氏の質問は、かなり微細で具体的なことを例に挙げて、これは抑止力なるかという言葉を並べている。
答弁書は、それらについてはいちいちほとんど答えることなく総論的に冒頭で、「日米安全保障体制の下でのアメリカ合衆国の軍隊の抑止力については、我が国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊のみならず、来援するアメリカ合衆国の軍隊の運用等も併せて総合的に考える必要があるものと認識しており、幅広い任務に対応可能で機動性と即応性に優れた海兵隊は、その重要な要素の一つであると考えている。」と回答している。
抑止力は特定の国家に対してではないと、回答しているものの、韓国の哨戒船の沈没が北朝鮮が犯人と韓国が発表した直後にこれを例に挙げている。明らかに北朝鮮を意識した抑止力の必要性を唱えているのである。
普天間基地がどれほど抑止力を持つのかについても述べることはないが、それでいて沖縄の地理的な重要性が抑止力にとって必要と説いている。
沖縄にほぼ限定されていると言ってよい、日本の米軍基地の果たす役割についての詳細な記述もない。アメリカ軍は、これまで最も機能してきたのは、ベトナムやアフガニスタンへの兵士や武器の供給の前線基地としである。抑止力などという絵空事を提供して、自らの国の戦闘の前線基地として利用しているに過ぎない。
アメリカは、安全保障や抑止力の名の元に、兵士に安全で待遇が良く地協定が限りなく自国に有利な日本から離れたくないのである。