菅首相が小沢外しを鮮明にし始めた。官房長官はともかく、民主党幹事長に枝野氏にしたことでそれが一層鮮明になった。内閣支持率も一気に、60%ほどまで回復している。少なくとも小沢外しは、国民にアピールしてものと思われる。菅の思惑は成功している。
しかし、これで参議院選挙の成果がおもわしくないようだと、9月の定期大会に向けての小沢の逆襲が始まるであろう。居所を失くした小沢は何をするか解らない。
日本の政局は、この20年間は小沢一郎の評価の在り方について、逡巡してきたとも言える。次期総裁の座をけって、自民党を飛び出した。その後小沢憎 しで、自民党はこともあろう長年の政敵である社会党委員長を首相に担ぎ出したり、「腰だめ」消費税に激怒した小沢のために細川は連立政権を失くしてしまった。自自公連立政権は、彼の思惑を大きく外してしまった。
自民党連立を離れた自由党を、選挙対策として鳩山は民主党に抱き込んでは見たものの、母屋を乗っ取られる寸前まで小沢は存在感を示した。党首になり、西松問題で下野したが、選挙に勝利した論功で幹事長になった。
小沢のこれまでの行動パターンでは、今回の小沢外しの行きつくところ、民主党を飛び出し新たな政党をつくることになりはしないかと思われる。問題は、小沢にそれだけのエネルギーや人材が集まるかどうかである。
菅直人は、今の小沢にはそれがないと見たのであろう。もうすでに60代後半の心臓に爆弾を抱える身である。今回、菅の支持に回った一年生議員も少なからずいた。党を割って出ても、それほどの人数は集められるとは思えない。菅の判断は間違ってはいないようである。
民主党が、いまだに田中角栄を崇める小沢一郎の存在、即ち数は力、力は数という結論から入る古い体質に依存している限り、真の意味での次はない。小沢の論理は、民主主義の根幹の選挙を、数獲りの手法の手練手管としか捉えていないからである。菅の選択が功を奏するかは、次期参議院選挙結果にかかっていると言える。