福島原子力発電所事故調査委員会の報告書、ダイジェスト版を読んだ。本編は600ページを超えるとのことである。僅か12ページにまとめてあるので、下記のサイトから入手できますので目を通される方がいればと思います。
http://naiic.tempdomainname.com/pdf/naiic_digest.pdf
本事故は「人災である」を前面に報道されていたが、中身的には国会報告であることを踏まえ、原子力行政を取り巻く組織の在り方の問題を強く打ち出している。
規制するべき立場の組織が、情報も技術的な知識も不足する中で、ほとんどの情報を東電に依頼していたという全く信じられない事実が指摘されている。
監視も何もあったもではない。新しい規制組織の条件として次の5点を挙げている。
①高い独立性 ②透明性 ③専門能力と職務への責任感 ④一元化 ⑤自律性 いずれも③の中に要約されるが、、委員と組織の高い専門性と責任感が今後求められる。
やはりというか驚かされたのが、周辺住民への対応がほとんどなされていないことである。このことは職員にもいえる。事故の対応能力、訓練あるいは意識そのものが希薄であったことである。事故は起きるはずがないとする呪縛が彼らを縛ったように思える。
そうしたい上で、原子力行政の長期的な思想と、法体系全般の見直しをするべきであるとしている。こうしたことを踏まえての、人災宣言でもある。
事故後の住民対策も不十分である。このことは、長々と述べられている東電の官僚組織体制と、競争のない殿様商売の体質と無関係ではない。誠意がなく十分でないうことも指摘し、今後の継続的なモニタリングの必要性も強調している。
冒頭と結びに出てくる、「福島原発事故はまだ終わっていない」とするフレイズは、首相の12月にパフォーマンスとして述べた「第一段階は終わった」とする出鱈目発言への、挑戦のように思える。
国会の事故調査委員会であるから、原子力そのものへの提言あるいは廃炉への工程や事故原因の究明など突っ込んだところがない。
前回(7月5日)に述べたように、このようにやれば原発はこの国で稼働できる、あるいは安全保障のためには欠かせないと結論付けられても困るのである。
毎週首相官邸を囲む、次第に巨大化する脱原発のデモの声は、国政に届くところはないように見える。
人災であり被害者がいる以上は、加害者がいるハズで、加害者は罰せられるべきと思われるが、現実には1兆円もの支援を我々が供出しているのである。
そりゃおかしいゼ。