野田ドジョウ首相は、原子力委員会などが安全の担保をしないまま、あるいはインフラ整備を投げだしたまま、大飯原発を再稼働させた。国民のためとか産業の停滞だとか、いろんな理由を挙げているが、もっとも大きな理由は電力会社の経営である。夏の需要期に向けたのではなく、総会対策であったこともはっきりしてきた。
例えば関西電力の資産の7割を占めているのが、原子力発電所という”資産”である。関電は約1兆円の資産とされている。
これを稼働させずに廃炉をまず決めてしまうと、いきなり不良資産になってしまう。1兆円をその時点で失うことになるということになる。
資産の7割がいきなり消えてしまっては、いかに優良な企業でも赤字になってしまう。株も同時に暴落し破産することになる。
これをあからさまに報告に記載しているのが、事故を起こした東電である。事業計画で財政基盤の強化をうたって、政府の支援を前提に、取引金融機関に追加与信(もっと金をくれ)を要請しているのである。
やがてこれは税金で補うことになり、国民負担の最小化と利害関係者全ての負担と、閣議決定された内容に反することになる。
そのために、冷温停止の出鱈目宣言を首相にさせて、補償対象をそこで区切ったり、様々な理由をつけて賠償費用の足枷などをやったりすることになる。
一方未だに廃炉を認めようとせず、計画すら立てようとしないのは、不良資産と認めたくないからである。
結局日本の電力会社は、原発を稼働させなければ、不良資産になるために再建企業に転落するのである。保障などよりも企業の安泰が優先される。理不尽な理由をつけて再稼働を目論む主な理由がここにある。
電力会社をどんな経過でも構わないから、一旦国営にしながら、複数の配電会社を設けるという、長期的展望を政府は持って対策に当たるべきなのである。